空前のバブル景気とHR/HMブームに沸き、誰もが“終わらぬ春”を信じ切っていた1988年。その最後一夜に実現した巨大イベント“HEAT BEAT LIVE '89 IN BIG EGG”の極上タイトルが登場です。 このコンサートは、当時全盛を極めていたBON JOVIをメインアクトに据え、LAメタルの大御所RATT、新進気鋭のKINGDOM COME、BRITNY FOXが参加した東京ドームでのフェスティバル。その模様はテレビ放送でも有名ですが、本作はその極上マスターも含め、当日の記録を大ボリュームに集成した1本。「1988年12月31日」のフル・ライヴアルバムをディスク1-2、明けた「1989年1月1日」のフル・ライヴアルバムをディスク3-4、「12月31日」の放送プロショットをディスク5-6に配した6枚組です。それでは、各ディスクを詳しくご紹介していきましょう。
【ディスク1-2:1988年12月31日フル・ライヴアルバム】
まず登場するのは、大晦日コンサート“FINAL COUNT DOWN”。その模様をリアルに捉えたフル・オーディエンス録音です。かつてShadesレーベルから『BLAST OFF TOKYO』と題して登場したオリジナル録音。わずか20枚の限定リリースであっと言う間に市場から消えた伝説的な録音で、そのマスターを再度デジタル化しなおした逸品です。何と言っても素晴らしいのは、そのサウンド。東京ドームと言えば、ボケボケにぼやけたサウンドでも致し方ないのが相場ですが、本作は目も覚めるほどにクリア。遠近感もたっぷりの大歓声に巨大な会場スペクタクルは感じるものの、楽音には距離感がほとんどなく、透き通った空気をレーザービームのようにまっすぐ飛び込んでくる。高音域にややチリチリとしたオーバーピークもありますが、楽音そのものは滑らかに捉えられています。オープニングの「Lay Your Hands On Me」ではジョンのマイクがオフ気味で「あれ?」となりますが、これは現場PAのミス。1分も経たずに回復し、あとは最後まで安定したサウンドがたっぷりです。そんなクオリティ以上に嬉しいのが完全収録。このショウはテレビ放送もされたわけですが、そちらは放送枠に編集された不完全版でした。このディスクでは放送ではカットされた曲間MCや「Homebound Train」「Pink Flamingos」「Let It Rock」「Get Ready」もすべて記録されている。もちろん、「Bad Medicine」を終える際の「Happy New Year!」の声も聞こえます(実は、この時11時35分。ちょっと気の早い挨拶ですね)し、イベントに出演したRATTやKINGDOM COME、ブリトニー・フォックスを交えての「It's All Over Now」もしっかり収録。大晦日ならでは、このショウならではの聴きどころを漏らさず堪能できます。
【ディスク3-4:1988年1月1日フル・ライヴアルバム】
続いては、年の改まった元旦の“BLAST OFF TOKYO”。こちらもディスク1-2と同様に『BLAST OFF TOKYO』で初登場したオリジナル・マスターを再度デジタル化しました。そして、このディスクも素晴らしいオーディエンス・サウンド。ディスク1-2ほど異様な近さではないものの、それでも十分にクリアで東京ドームらしからぬ晴れ渡ったサウンドが鮮烈です。そして何より美しい。先述の通りディスク1-2ではチリチリしたオーバーピークも感じられましたが、こちらにはそれがない。「Get Ready」中盤でテープチェンジのカットがありますが、自然で艶やかなサウンドは変わらず全編を貫く名録音なのです。そして、この元旦ショウはテレビ放送がなかっただけにすべてが目新しい。セットは年越しジャムの「It's All Over Now」がないだけでBON JOVI編は大晦日と同じ。しかし、そこは別コンサートであり、雰囲気はまるで違う。3曲目の「Wild In The Streets」後に最初のMCを入れますが、そこで「Happy New Year! 昨日来てくれた人はいるか?」と語るのあたりも新年ムード満点です。
【ディスク5-6:1988年12月31日プロショット】
最後のディスク5-6は、有名なテレビ放送の過去最高峰版。この放送はお茶の間にまでHR/HMを浸透させた伝説的な番組ですが、本作は近年になって発掘された極上マスターです。そのクオリティたるや凄絶なほど素晴らしい。BON JOVIをイメージ・キャラクターに起用していたS電機のテレビCMも収録されているので、恐らくはエアチェックだと思うのですが、超鮮明にして線ノイズも劣化も一切感感じられないクオリティは「オフィシャルDVDか? ミント状態のレーザーディスクか?」といったレベル。実のところ、極々わずかにトラッキングノイズのような音声ノイズが入るのでビデオマスターと判別できるものの、29年の時を超えてきた80年代映像とは信じられないハイパー・クオリティなのです。そんなクオリティで描かれるのは、バンドも観客も“我が世の春”に全身を浸した1989年の匂い。出演バンドがすべて登場しますが、あくまでもバンドの主軸はBON JOVI。当日の全17曲のうち12曲が放送され、その合間にBRITNY FOX(1曲)、KINGDOM COME(1曲+ドラムソロ)、RATT(2曲)が挟まる構成。そこに映し出されるBON JOVIの姿は、まさに「Bad Medicine」のPVそのまんま。若々しくも青臭くはなく、かと言って渋さへの色気も見せない。颯爽と全身に大全盛の風を受け、真っ直ぐに迷いのない表情で歌い、弾く“あのBON JOVI”の姿なのです。そんな彼らを見つめ返すビッグエッグの大観衆もまた、1988年の光景。黄色い嬌声を返す女性たちはボディコンに身を包み、ワンレンをたなびかせて身体を揺らす。太い眉が感極まる想いに歪んだかと思えば、その間にはアラレちゃん眼鏡の男性客もあらん限りの声で歌う……。まさに、あの時代、1988年だからこその光景が画面いっぱいに広がるのです。そんなBON JOVIに紛れて放送される他3組も美味しい。当時はLAメタルの大御所だったRATTが2曲だけというのも日本らしいところですが、放送してくれただけでありがたいBRITNY FOXも、一瞬の大全盛に輝くKINGDOM COME(ジェイムズ・コタックのドラムソロよりSTONE FURYの「Break Down The Walls」が見たかったっ!!!)も極上クオリティで味わえる。年越しカウントダウンに続き、出演バンド総出のジャム「It's All Over Now」でお祭り騒ぎ。堂々とカンペを見ながら歌うレニー・ウルフ、「ひいとびいとらいぶ’89」と書かれた法被に袖を通したスティーヴン・パーシー。すべてが“あの時代”に包まれ、本作は幕を閉じます。とにかく光り輝く、大全盛期のBON JOVI。そのBON JOVIと共に1988年を彩ったバンド達の姿。そして、大晦日と元旦だからこその特別な熱狂。暮れと正月だからこその熱気がモニターから立ち上り、熱風となってスピーカーから吹き出す大傑作3枚組です。年末年始だからこそ感慨もひとしおのお祭りビッグ・タイトル。
Tokyo Dome, Tokyo, Japan 31st December 1988 & 1st January 1989 TRULY AMAZING/PEREFCT SOUND(from Original Masters)/PRO-SHOT
Live at Tokyo Dome, Tokyo, Japan 31st December 1988
Disc 1(58:02)
1. Lay Your Hands On Me 2. I'd Die For You 3. Wild In The Streets 4. You Give Love A Bad Name 5. Tokyo Road 6. Born To Be My Baby 7. Homebound Train 8. Pink Flamingos 9. Let It Rock 10. I'll Be There For You
Disc 2(44:18)
1. Blood On Blood 2. Get Ready 3. Livin' On A Prayer 4. Ride Cowboy Ride 5. Wanted Dead Or Alive 6. Bad Medicine 7. It's All Over Now (with Ratt, Kingdom Come, Britny Fox)
Live at Tokyo Dome, Tokyo, Japan 1st January 1989
Disc 3(58:05)
1. Lay Your Hands On Me 2. I'd Die For You 3. Wild In The Streets 4. You Give Love A Bad Name 5. Tokyo Road 6. Born To Be My Baby 7. Pink Flamingos 8. Let It Rock 9. I'll Be There For You 10. Blood On Blood
Disc 4(32:58)
1. Get Ready 2. Livin' On A Prayer 3. Ride Cowboy Ride 4. Wanted Dead Or Alive 5. Bad Medicine
Jon Bon Jovi - Vocal Richie Sambora - Guitar David Bryan - Keyboards Alec John Such – Bass Tico Torres - Drums
DVD
Live at Tokyo Dome, Tokyo, Japan 31st December 1988
Disc 5(55:15)
1. CM 2. Lay Your Hands On Me 3. I'd Die For You 4. Wild In The Streets 5. CM 6. Long Way To Love (Britny Fox) 7. Get It On (Kingdom Come) 8. James Kottak Drum Solo (Kingdom Come) 9. CM 10. Way Cool Jr.(Ratt) 11. Chain Reaction (Ratt) 12. CM 13. You Give Love A Bad Name 14. Tokyo Road
Disc 6(55:23)
1. Born To Be My Baby 2. CM 3. I'll Be There For You 4. Blood On Blood 5. Livin' On A Prayer 6. CM 7. Ride Cowboy Ride 8. Wanted Dead Or Alive 9. Bad Medicine 10. CM 11. Countdown 1989 / It's All Over Now (Jam Session)
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.111min.
Jon Bon Jovi - Vocal Richie Sambora - Guitar David Bryan - Keyboards Alec John Such – Bass Tico Torres – Drums