全米制覇に向け、順調に歩みを進めている初期FLOYD復刻プロジェクト、NICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。その最新レポート第3弾が登場です。そんな本作に収められているのは「2019年3月15日サンフランシスコ公演」。その極上オーディエンス録音です。当店では、1年前のプロジェクト始動から常に音のレポートを続けており、世界中のマニアから支持を頂いております。本作は、その最新弾にして、ついに北米ツアーからも誕生した問答無用の極上録音。そのクオリティこそが衝撃なのですが、まずはショウのポジション。昨年のツアーから約半年が経過し、新たに初期FLOYD復刻プロジェクトの存在を知った方もいらっしゃるようですので、活動の全体像からショウのポジションを確かめてみましょう。 ●2018年・5月20日-24日:英国#1(4公演)・9月2日-21日:欧州(15公演)・9月23日-29日:英国#2(6公演)●2019年・3月12日-4月22日:北米(28公演)←★ココ★・4月29日-5月4日:英国(5公演)・7月3日-27日:欧州(14公演) これがSAUCERFUL OF SECRETSの活動全像。昨年5月にお披露目のシークレット・ギグを行った後、9月に全欧の本格ツアーを実施。約半年のオフを開け、2019年3月から北米大陸へ上陸したのです。そして、この北米ツアーがまた凄い。上記をご覧の通り昨年はトータルで25公演でしたが、北米ツアーは約1ヶ月間でそのすべてを超える28公演を予定。いかに初期FLOYDの音楽も求められ、なおかつ現在の彼らが上り調子であるかが日程からもうかがえます。本作のサンフランシスコ公演は、そんな「北米」ツアーの序盤、3公演目にあたるコンサートでした。ご新規の方のために基礎から始めましたが、実は本作のクオリティはそんな方のためにもピッタリな銘品。実のところ、北米ツアーはすでに『VANCOUVER 2019』『SEATTLE 2019』の2作で第一報をお届け済みなのですが、両作は新ツアーを知る意味では十分以上の傑作ではあっても、クオリティ面では超絶とまでは行かなかった。しかし、本作は違う。本作が初SAUCERFUL OF SECRETSとなってもまったく問題ナシ。実のところ、このショウは名門「Krw_co」からも独自録音が発表されているのですが、本作はさらに上を行く。しかも、本作は細心マスタリングで磨き上げ、原音のクリアさをさらに鮮烈にアップグレード。3公演目で早くも頂点を究めてしまったのか?と思うほどの極上録音なのです。実際、そのサウンドは文句の付けどころがない。熱狂も生々しいオーディエンス録音には違いないものの、極太の芯がオンに迫って距離感を感じさせず、ディテールまで超克明。それでいてうっすらほんのりとしたホール鳴りがムキ出しの芯を艶やかに彩り、初期FLOYDの幻想感も見事に甦らせている。綺麗に伸びる高音、手応え満点の中音域、五臓に響き六腑を揺するずっしりと低音、綺麗にセパレートしたステレオ感……どの観点でアラを探しても文句が付けられない。そして、その極上サウンドで描かれるショウがまた、ご新規様にも味わっていただきたい素晴らしさ。そもそも、SAUCERFUL OF SECRETSはPINK FLOYDが巨大化する寸前までの初期ナンバーをたっぷりと演奏するプロジェクト。そのレパートリーは『狂気』以降の有名ヒット曲を一切廃し、60年代のシングル曲から1972年の『雲の影』までにこだわり抜いている。しかも、活動が続くほどにレパートリーは増量し、現在の北米ツアーが最大になっているのです。良い機会ですので、ここでその構成も整理し直しておきましょう。 ●60年代シングル(3曲)Arnold Layne、See Emily Play、Point Me At The Sky ●『夜明けの口笛吹き(4曲)』Interstellar Overdrive、Astronomy Domine、Lucifer Sam、Bike ●『神秘(5曲)』Let There Be More Light、Set The Controls For The Heart Of The Sun、A Saucerful Of Secrets、Remember A Day(2019年から)、Vegetable Man(アウトテイク)●『モア(2曲)』The Nile Song、Green Is The Colour ●『原子心母(2曲)』If、Atom Heart Mother ●『おせっかい(2曲)』Fearless、One Of These Days ●『雲の影(3曲)』Obscured By Clouds、When You're In、Childhood's End(2019年から) ご覧の通り、実に渋い。しかし、英国ロック黄金時代を駆け抜けた名曲ばかりなのです。昨年の欧州ツアーでも絶賛を集めましたが、今回の北米ツアーからは「Remember A Day」「Childhood's End」が追加。一時は「Point Me At The Sky」がセット落ちすることもありましたが、それも復活し、SAUCERFUL OF SECRETSすべてのレパートリーが1回のショウで披露される大ボリュームとなっている。本作は、そのすべてを客録の常識を超えたサウンドでたっぷりと楽しめるのです。今回は基礎の基礎からおさらいしましたが、それもこれも本作が素晴らしすぎるからこそ。サウンドも極上ならセットも最大。新規の方でもいきなりNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETSの真価を味わえる決定盤なのです。初めての方も、アーカイヴし続けている方も見逃せない1本が堂々の登場です。 Live at Masonic Auditorium, San Francisco, CA, USA 15th March 2019 TRULY PERFECT/ULTIMTE SOUND Disc 1 (56:57) 1. Intro 2. Interstellar Overdrive 3. Astronomy Domine 4. Nick Mason Introduction 5. Lucifer Sam 6. Fearless 7. Obscured By Clouds 8. When You're In 9. Remember A Day 10. Arnold Layne 11. Vegetable Man 12. Nick Mason Introduction 13. If 14. Atom Heart Mother 15. If (reprise) Disc 2 (58:30) 1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is The Colour 4. Gary Kemp Introduction 5. Let There Be More Light 6. Childhood's End 7. Nick Mason Introduction 8. Set The Controls For The Heart Of The Sun 9. See Emily Play 10. Bike 11. One Of These Days 12. A Saucerful Of Secrets 13. Point Me At The Sky Nick Mason - drums Guy Pratt - bass & vocals Gary Kemp - guitar & vocals Dom Beken - keyboards Lee Harris - guitar & vocals