NICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS初のハイライト公演となったロサンゼルス2DAYS。その2日目を記録した最新ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年3月17日ウィルターン・シアター公演」。今週は『SAN FRANCISCO 2019』『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』と合わせ、最新レポートが3タイトル同時リリース。そのコレクションを整理する意味でも、ツアー日程で逐一確認しておきましょう。 ・3月12日『VANCOUVER 2019』・3月13日『SEATTLE 2019』・3月15日『SAN FRANCISCO 2019』・3月16日『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』・3月17日:ロサンゼルス 【本作】・3月19日:フェニックス・3月21日:デンバー・3月24日:ダラス・3月25日:ヒューストン ・3月27日-4月22日:北米(19公演)・4月29日-5月4日:英国(5公演)・7月3日-27日:欧州(14公演) これが現在までに公表されているスケジュール。現在は9公演目のヒューストンまで進んでおり、北米ツアーも1/3が終了しています。その中でハイライトとなるのはロサンゼルスとニューヨークの2公演ずつ。本作は、そのロサンゼルス2日目から生まれた最新ライヴアルバムなのです。そんなショウを記録した本作は、まさに超極上。今週同時リリースの3本はどれも極上レベルなのですが、その熾烈なレースで半歩抜きんでているのが本作。あらゆるノートがクリアなのは3作共通ですが、本作はクリアが凄い。1音1音がクッキリとしているだけでなく、そのスキマの無音部が深い。ヘッドフォンでもホール鳴りが感じられず、ノートの輪郭が輝いているのです。しかも、芯の未着感が絶大。よくよく耳を澄ませば会場音響も存在することに気づくのですが、それも音色の彩りや艶の中にしか感じられず、それこそサウンドボード級の鮮やかさなのです。さらにオーディエンス・ノイズまで極少だから恐れ入る。もちろん、曲間には盛大な喝采が沸き起こり、現在の彼らがいかに求められているかがよく分かる。しかし、その声援の海は広大ではあっても間近な声が飛び出さない。ニックのジョークに笑いが起きても、その一声一声が端正なままに広がる。まるで精緻にミックスされた公式ライヴアルバムのように美しく、それでいて一発録りのナチュラル感には、公式盤のような作為も皆無。無数の記録を扱う中でごく希に「オフィシャル以上のオーディエンス録音」に出逢えますが、本作はその見本なのです。実のところ、『SAN FRANCISCO 2019』『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』に宿るホール鳴りも初期FLOYDの音世界には似合っているので捨てがたい。それぞれ欠点が見いだせない傑作揃いです。しかし、よりサウンドボード的であり、万人に愛されるサウンドなのは、間違いなく本作。「欠点がない」ではなく、長所しかない。減点法でも100点満点、加点法なら120点でも150点でも付けたい気品漂う超極上アルバムなのです。そんな絶品・極上のサウンドで描かれるのは、いよいよ完成度を高めたデフィニティヴな名演。曲目の整理は『SAN FRANCISCO 2019』の、これまでの経緯は『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』の解説に譲りますが、これまで以上に大ボリュームでありながら「コレぞ!」の流れまで固まったショウ。5公演でアンサンブルもエンジンがかかりつつ、現在のセットが固まったサンフランシスコ公演であり、そこから連続3日間で流れもこなれ、同会場のために移動の手間もかからない。まさに良い事ずくめの環境であり、演奏にも万全を尽くしたスキのなさが素晴らしい。その一部始終がサウンドボード以上となる極上サウンドでたっぷりと味わえるのです。過去最長のセット、こなれた演奏、疲れを感じさせないコンディション、そして超の付く極上サウンド……。ここまでさまざまなライヴアルバムでSAUCERFUL OF SECRETSをレポートしてきましたが、ここまですべてがハイレベルに揃ったアルバムはちょっと思いつきません。早く触れていただきたい。連続リリースされた5作品の中でも極めつけの1本にして、進化を続けるSAUCERFUL OF SECRETSの(現時点における)最高傑作。 Live at Wiltern Theater, Los Angeles, CA, USA 17th March 2019 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND Disc 1 (56:21) 1. Intro 2. Interstellar Overdrive 3. Astronomy Domine 4. Nick Mason Introduction 5. Lucifer Sam 6. Fearless 7. Obscured By Clouds 8. When You're In 9. Remember A Day 10. Arnold Layne 11. Vegetable Man 12. Nick Mason Introduction 13. If 14. Atom Heart Mother 15. If (reprise) Disc 2 (56:38) 1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is The Colour 4. Gary Kemp Introduction 5. Let There Be More Light 6. Childhood's End 7. Nick Mason Introduction 8. Set The Controls For The Heart Of The Sun 9. See Emily Play 10. Bike 11. One Of These Days 12. A Saucerful Of Secrets 13. Point Me At The Sky Nick Mason - drums Guy Pratt - bass & vocals Gary Kemp - guitar & vocals Dom Beken - keyboards Lee Harris - guitar & vocals