昨年の欧州ツアーを成功裏に終わらせ、遂に北米へ進出した初期FLOYD復刻プロジェクトNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。その最新・極上ライヴアルバムが登場です。北米ツアーも2週間目に突入しましたが、彼らはますます絶好調。その勢いに押されるかのように、録音状況も活況を呈してきました。本作は、そんな最新レポート「2019年3月24日アーバイン公演」の極上オーディエンス録音です。北米ツアーの開始以来、毎週のようにリリースを繰り返しておりますので日程でコレクションを整理しておきましょう。 ・3月12日『VANCOUVER 2019』・3月13日『SEATTLE 2019』・3月15日『SAN FRANCISCO 2019』・3月16日『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』・3月17日『LOS ANGELES 2019 2ND NIGHT』・3月19日:フェニックス・3月21日:デンバー・3月24日:アーバイン 【本作】 ・3月25日:ヒューストン・3月27日:マイアミビーチ・3月29日:アトランタ・3月31日:セントルイス・4月1日:ミルウォーキー・4月3日-22日:北米(15公演)・4月29日-5月4日:英国(5公演)・7月3日-27日:欧州(14公演) これがSAUCERFUL OF SECRETSの近況。現在、ツアーは13公演目のミルウォーキーまで進んでおり、本作のアーバイン公演は8公演目にあたるコンサートでした。5公演目まで全公演を順当にご紹介できたのですが、ここではややワープ。実のところ、録音自体は登場しているのですが、ご紹介に値するレベルには届いていませんでした。もちろん当店としては完全アーカイヴしたいところなのですが、それ以上に高いレベルをキープし続け、安心してお求めいただける事を重視しました。そして、本作のクオリティはそのレベルをクリア……どころではない。えらく素晴らしい「超」の付く極上サウンドなのです。ここまでの北米ツアー最高傑作は『LOS ANGELES 2019 2ND NIGHT(Amity 538)』ですが、本作もあの大傑作に匹敵する。何よりも凄いのは「まるでサウンドボード」と呼びたい極太の芯と間近感。「ステージ正面の1階席」という以上の細かいポジションは分からないのですが、とにかく距離感がない。高音から重低音までのバランスも素晴らしく、手応えにもスキがない。それだけのパワフル・サウンドでありながら、まったくビビらず、マイクの方向に迷うような揺れも起こさない。『LA 2019 2ND NIGHT』が一気に引き上げてしまった基準を見事にクリアする極上録音なのです。もちろん、そうは言っても本作のサウンドは『LA 2019 2ND NIGHT』とも違う。一番異なるのは鳴りでしょうか。両作とも距離感ゼロではあるものの、ヘッドフォンで耳を澄ませばホール鳴りの存在にも気づき、それが音色レベルに影響も与えている。『LA 2019 2ND NIGHT』がギラギラと光り輝くタイプだったのに対し、本作はより丸出しのPAサウンドに近く、特にスネアの打音は卓直結サウンドボードっぽくさえある。そこに極々微量な鳴りが被り、初期FLOYDの幻想感を(うっすら)と演出するのです。このサウンドの秘訣は恐らく会場にあるのでしょう。現場となった“トヨタ・ミュージック・ファクトリー”は、オープンからまだ1年半という最新会場なのですが、構造も独特。天井のある屋内スペースではあるものの、客席の脇や後方に壁がなく、大きく野外へ開かれている。そのため、天井からの反響は降り注ぐものの、それが回り込みを起こさない。野外のような芯のダイレクト感と開放感を湛えつつ、スペクタクルもほんのりとまぶす絶妙なサウンドを実現しているのです。そのクオリティで演じられるのは、もはや鉄壁の域に達したSAUCERFUL OF SECRETSの世界。これまでの解説でセットは詳しくご紹介しましたが、本作のアーバイン公演は完全に固まってから6公演目。もはやアンサンブルに揺るぎはなく、流れも淀みない。それでいて本作の前には2日間のオフもあるため、コンディションも万全。完全に完成された初期FLOYDの復刻世界を存分に味わう事が出来るのです。連作でお届けしているNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETSの最新レポート。プロジェクトが進化していく歩みをアーカイヴしておりますが、それは同時に日々進歩していくコンサート会場やオーディエンス録音の最前線でもある。それを実感する超極上サウンドのライヴアルバム。「半野外」という独特にして最高なサウンド環境を、初期FLOYDの名曲群で体験できる1本。 Live at Toyota Music Pavilion, Irving, TX, USA 24th March 2019 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND Disc 1 (50:13) 1. Intro 2. Interstellar Overdrive 3. Astronomy Domine 4. Nick Mason Introduction 5. Lucifer Sam 6. Fearless 7. Obscured By Clouds 8. When You're In 9. Remember A Day 10. Arnold Layne 11. Vegetable Man 12. Nick Mason Introduction 13. If 14. Atom Heart Mother 15. If (reprise) Disc 2 (56:57) 1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is The Colour 4. Gary Kemp Introduction 5. Let There Be More Light 6. Childhood's End 7. Nick Mason Introduction 8. Set The Controls For The Heart Of The Sun 9. See Emily Play 10. Bike 11. One Of These Days 12. A Saucerful Of Secrets 13. Point Me At The Sky