初期FLOYDミュージックの最新形を描き出す衝撃の復刻プロジェクト、NICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。その最新にして最高傑作候補となる極上ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年4月7日コロンバス公演」。その超極上オーディエンス録音です。毎週毎週、現在進行形のツアーをライヴアルバムでリアルタイム・レポートしておりますが、今週は本当に凄い。同時リリースの2タイトルとも、他とは違うスペシャルな大傑作揃いなのです。その中身をご紹介する前に、まずはいつものようにツアー・スケジュールでショウのポジションを押さえておきましょう。 ・3月12日『VANCOUVER 2019』・3月13日『SEATTLE 2019』※機材トラブル・3月15日『SAN FRANCISCO 2019』※セットが完成・3月16日『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』・3月17日『LOS ANGELES 2019 2ND NIGHT』・3月19日:フェニックス・3月21日:デンバー ・3月24日『IRVING 2019』・3月25日『HOUSTON 2019』・3月27日:マイアミビーチ・3月29日『ATLANTA 2019』・3月31日:セントルイス・4月1日『MILWAUKEE 2019』・4月3日:ミネアポリス・4月4日:シカゴ・4月5日『INDIANAPOLIS 2019』・4月7日:コロンバス 【本作】 ・4月8日-22日:北米(11公演)・4月29日-5月4日:英国(5公演)・7月3日-27日:欧州(15公演)これが現在までに公表されているスケジュール。コレクションの整理と同時にツアーの進行をイメージするため、すでに終了した分だけ細かく表記しておりますが、この日程もだいぶ長くなってきました。そんな中で、本作のコロンバス公演は北米ツアー17公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、「超」の付く極上オーディエンス録音。これが本当に素晴らしい。同時リリースの『INDIANAPOLIS 2019』は個性派のハイクオリティ録音でしたが、それに対し本作は王道中の王道サウンド。「まるでサウンドボード」「まるでオフィシャル」の言葉がピタリとハマる万人向けの極上録音なのです。実際、本作のサウンドには文句の付けようがない。素晴らしくオンな芯は距離など微塵も感じさせず、キリッとした輪郭は細部まで鋭利でディテールも細やか。それでいて鳴りは艶やかに輝いており、高音のどこまでも伸び、中音域は手応えたっぷり、重低音はヴァイヴまで手触り感に充ち満ちている。さらに現場の熱気までもが素晴らしい。アメリカらしい盛り上がりも吸い込んでいるのですが、間近な拍手や演奏中の声援がなく、会場のスペクタクルだけが見事なバランスで記録されているのです。良い点を探そうとしているのではなく、全力で欠点を探しても見つからない……いや、1つだけありました。実はネットに公開された原音ではアンコールの「A Saucerful Of Secrets」のイントロでノイズが散見していました。もちろん、本作では細心のマスタリングで可能な限り補正。結局、唯一の欠点も克服した名盤に仕上がっているのです。しかも、そのサウンドで描かれるショウも絶品。セットはすでに固定された最長・最大のもので、その流れは鉄壁の域に達している。クリアなサウンドだけにいつも以上にキレを感じますが、それに輪をかけているのが日程。上記のスケジュールをご覧の通り、前日に休みが入ってコンディションも絶好調。ニックのビートもキレにキレ、キビキビとした快演がたっぷりと楽しめるのです。これまでの傑作群の中では『LOS ANGELES 2019 2ND NIGHT』や『ATLANTA 2019』が最高峰を競ってきましたが、本作はクリアさで前者を凌駕し、中低音の迫力で後者を超越している。特に個性の近い『ATLANTA 2019』よりは本作の方に軍配が上がるかも知れません。オーディエンス録音は好みの差が激しいだけに最高傑作を断じるのは難しいものの、思い切って断言したい……そんな頂点的な名録音です。これまで何度もお伝えしてきましたが、現在の北米ツアーは彼らのレパートリーを最大漏らさず演奏する長大なショウ。それだけに、現在の最高傑作がSAUCERFUL OF SECRETSトータルでの最高傑作に直結します。本作は、その最有力候補となる1本。コンプリートを目指す方だけでなく「ちょっと聴いてみようかな」という方にも全力でお薦めしたい傑作中の大傑作です。 Live at Palace Theater, Columbus, Ohio, USA 7th April 2019 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND Disc 1(50:56) 1. Intro 2. Interstellar Overdrive 3. Astronomy Domine 4. Nick Mason Introduction 5. Lucifer Sam 6. Fearless 7. Obscured By Clouds 8. When You're In 9. Remember A Day 10. Arnold Layne 11. Vegetable Man 12. Nick Mason Introduction 13. If 14. Atom Heart Mother 15. If (reprise) Disc 2(57:29) 1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is The Colour 4. Gary Kemp Speaking 5. Let There Be More Light 6. Childhood's End 7. Nick Mason Speaking 8. Set The Controls For The Heart Of The Sun 9. See Emily Play 10. Bike 11. One Of These Days 12. A Saucerful Of Secrets 13. Point Me At The Sky Nick Mason - drums Guy Pratt - bass & vocals Gary Kemp - guitar & vocals Dom Beken - keyboards Lee Harris - guitar & vocals