オジー・オズボーンが衝撃のソロ・デビューを飾った「BLIZZARD OF OZZ」に伴う1980年イギリス・ツアーの模様は、CDタイトル「HAMMERSMITH BLIZZARD」や、ツアー初日の模様を収めた「BLIZZARD OF OZZ FIRST LIVE」など、今回も驚くべき音源が登場しますが、それに併せ、本作「BLIZZARD OF OZZ WORKING TRACKS」も改めて聴いておきたい一本でしょう。ハードロック・ヘヴィメタル史上に残る名盤の"ワーキング・トラック"とされるテイクを、シングルB 面曲の「Looking At Me Looking At You」まで含めて収録した本作は、2006年8月のリリース直後より多くのヘヴィメタル・マニアを騒然とさせ、普段ならばコレクターズ・アイテムに関心 を持たないファンまで本作には関心を寄せました。基本的に聴き取れる演奏は「BLIZZARD OF OZZ」と同じで、デモ・ヴァージョンのみの"新しい音"は特に入ってはいないのですが、生々しくギターが前面に出た「ランディ・トラック・ヴァージョン」と言い切っても良い音像はランディ・ローズファンならば悶絶レベルの圧倒的内容! 本作は1stアルバムにおけるランディのギターフレーズを詳細に知る事が出来る大変重要かつ貴重な音源です。本音源の全体的な特徴として、ヴォーカルやベースは(うっすらと聴こえるものの)かなりオフ気味で、その分ランディのギターやリー・カースレイクのドラム(特にシンバルやハイハット)がオンに収録されています。曲によってはキュルキュルという音が演奏に混ざって聴こえる場面もありますが、音の明度や抜け そのものは大変良好です。このような特性を前もって承知の上で本音源を再生しても、1曲目の「I Don't Know」から、ランディがザクザクと刻み込むリズムが聴き手の耳元にスパークするようなサウンドには誰もが驚かされるでしょう。ギターソロも(後からダビングされたためか)かすかに聴き取れる、という感触。完成されたアルバムとは異なる音像とミックスに馴れているほど、聴き手は新たな発見と意外な喜びを 味わえるはずです。続く「Crazy Train」は、イントロでボブ・ディスリーのベースが聴き取れず、オジーの声とリー・カースレイクのドラムのみが響く斬新なミックス。また完成版においてギターソロは3トラック被せられていましたが、こちらは2トラックになっているなど、随所で違いが見られます(2:45頃、空間へねじ込む様にランディ のソロがインサートされる場面はファン必聴!)。「Goodbye To Romance」さらに「Revelation(Mothe Earth)」でもアコースティック・ギターが一切入っていないなどの特徴が見られ、これらの楽曲は印象が大きく違って感じられます(特に 「Goodbye To Romance」の、より生っぽさを湛えたギターの音色はファンを感動させるはずです)。アルバム中でもハイライトに位置する「Mr. Crowley」は、ドン・エイリーの奏でるキーボード・イントロがトラックを間引きしたような妙なサウンドになっており、曲自体もほとんどランディのバッキングとドラムのみという状態です。ラストはすでにフェイドアウト処理されており、今までカットされていた部分が聴けるという訳ではありませんが、ランディのギターは殊更大きくミックスされており、ギターフリークやギタリスト志望者は、ランディから直接手ほどきを受けるような気持ちで音源に接する事が 出来ます。完成版では「Suicide Solution」冒頭に位置していた小品のインスト「Dee」は、製作過程が公式アルバム「TRIBUTE」に収録されていたためなのか、本音源の元と なったマスターには収められていませんでした。しかしシングルB面曲「Looking At Me Looking At You」まで聴けるのは大きな特徴で、ファンはランディの美しくもワイルドなギターを42分間たっぷり味わえるでしょう(なお、ラストにはランディがラジ オ・インタビューに応じた貴重なトラックを約2分30秒、ボーナスとして追加収録しています)。今年になってこの「BLIZZARD OF OZZ」はオリジナル・テイクを用いた30周年記念リマスター盤がリリースされています。それらオフィシャル・テイクの多くがファンならすでに飽きるほど 聴き込んだ音源であるのに対し、本作は初登場から5年以上を経てもなお驚きが尽きません。"BLIZZARD OF OZZ"期の素晴らしいライヴ音源が多数登場した今だからこそ、本作未体験の方にはこの驚異の"ワーキング・トラックス"をお楽しみ頂きたいと思います! ランディのプレイがド迫力でありありと浮かび上がるサウンドは、文句なしにヘヴィメタルファン必携必聴のサプライズ・タイトルです! Multirack mixes of legendary "Blizzard Of Ozz" album; different mixes from the final takes. 1. I Don't Know 2. Crazy Train 3. Goodbye To Romance 4. Suicide Solution 5. Mr. Crowley 6. No Bone Movies 7. Revelation (Mother Earth) 8. Steal Away (The Night) 9. You Lookin' At Me Lookin' At You 10. Randy Rhoads Radio Inverview Ozzy Osbourne - Vocal Randy Rhoads - Guitar Bob Daisley - Bass Lee Kerslake - Drums Don Airey - Keyboards