2年ぶりに日本に帰って来た現代ギター・ジャイアンツの大競演プロジェクト:GENERATION AXE。その最新オリジナル録音が登場です。そんな本作が記録されたのは「2019年11月26日:Zepp Namba公演」。その一部始終を記録した絶品オーディエンス録音3枚組です。彼らのジャパン・ツアーはつい先日終了したばかりで、これから各所から録音が飛び出してくるというタイミング。まずは、その日程からショウのポジションを確かめておきましょう。・11月25日:Zepp Fukuoka・11月26日:Zepp Namba ←★本作★・11月28日:Zepp Nagoya・11月29日:豊洲PIT 以上、全4公演。2年前の前回は東名阪のみでしたが、今回は福岡も実現。本作の大阪公演は、その2公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに傑作。HR/HMを録らせたら右に出る者はない現代の名手“西日本最強テーパー”氏の最新作でして、距離感のない芯も、サウンドボードばりの手応えも、詳細極まるディテールも絶品。いつもの“最強”氏録音に比べると生々しく感じますが、それも悪かろうハズがない。恐ろしく音数の多いヒーロー達がよってたかって弾き倒しても1人ひとりがキッチリ聞き分けられる。実のところ“最強”氏はHR/HM専門ではなく、幅広いジャンルを録音しつつも共通しているのはギター・サウンドが巧いこと。その結果、ギターが全面に出るHR/HM系に名作が多くなるわけで、まさにGENERATION AXEを録るのにこれ以上の録音家はいないのです。そんなサウンドで描かれるショウは、まさに英雄達の大競演。基本のショウ構成は前回と同じく5人のギタリストのソロ・ステージを共演コーナーで繋いでいくというもの。3枚組の内訳と共に整理してみましょう。●DISC 1・5人セッション:Hocus Pocus・トーシン・アバシ(3曲)・アバシ&ヌーノ:Physical Education・ヌーノ・ベッテンコート(3曲)●DISC 2・ヌーノ&ザック:Sideways・ザック・ワイルド(3曲)・ザック/ヌーノ/ヴァイ:Still Got the Blues・スティーヴ・ヴァイ(3曲) ●DISC 3・イングヴェイ・マルムスティーン(8曲+α)・イングヴェイ&ヴァイ:Black Star・ヴァイ/ザック/ヌーノ/アバシ:Frankenstein・5人セッション:Bohemian Rhapsody/Burn ……と、このようになっています。共演コーナーのみ曲名を付しました。実のところ、登場順は2年前と同じですし、ヌーノのステージは演奏曲も完全一致。とは言え、他4人は大なり小なり変化を付けており、アバシなら「CAFO」、ザックなら「Into the Void」「War Pigs」、ヴァイなら「There's a Fire in the House」「The Animal」、イングヴェイなら「Top Down, Foot Down」「From a Thousand Cuts」といった前回来日では聴けなかったレパートリーを披露してくれます。それ以上にフレッシュなのが総入れ替えとなった共演パート。オープニングから5人全員でFOCUSの「Hocus Pocus」を共演しますし、アンコール共演でも「Bohemian Rhapsody」や「Burn」を披露しています。これがもう、最高に熱い。特に圧巻なのが「Bohemian Rhapsody」。オリジナルからしてギターとヴォーカルを際限なくダビングしているわけですが、GENERATION AXEではインストながら5人のヒーローがさまざまなパートを受け持ち、あの重厚世界を再現していく。シンプルなフレーズもハモりまくってブライアン・メイのオーケストレーションを再現し、複雑極まるコーラス・ハーモニーも完全再現。しかも、その1音1音が超個性的なために目眩がするほどにゴージャス。最初は流行っているから取り上げただけかと思いましたが、まさかこれほぞGENERATION AXEの真価を引き出す曲だったとは……。さらに注目したいのは、ザックとヴァイの間で行われた「Still Got the Blues」共演。もちろん、ゲイリー・ムーアのあの代表曲。苛烈に盛り上がった「War Pigs」がフィニッシュするとそのままあのフレーズに切り替わり、ザックが漢臭く歌い、熱く弾く。サザンロック丸出しのザックとアイリッシュなゲイリーはややイメージが違うのですが、ブルースとねちっこいギターを介した相性はフィット。そして、曲が一度ブレイクするとヌーノが登場し、2人がかりでギター・クレイジーに捧げる泣きの速射をぶちまけるのです。交互に泣きまくるバトルを繰り広げたところで、ひときわ個性的なトーンが割り込み、ヴァイが登場! 最後はトリプル・ハーモニーであの名曲のハイライトを異次元に引き上げていく……。シンプルなフレーズだからこそバトルでもハーモニーでも個々人の個性が強烈で、6人目のヒーロー:ゲイリー・ムーアの存在も感じられる。まさに大競演プロジェクトの旨みを濃縮した1曲なのです。共演ばかりで長くなってしまいましたが、5人のソロ・ステージもそれぞれ強烈。ギターまみれの3時間20分にどっぷり疲れる3枚組です。ギター弾きにとって必聴・必聴なのはもちろんですが、ここまで濃ゆいと楽器を弾かなくても笑っちゃうほどに凄い。ボリュームもたっぷりなら一瞬一瞬まで特濃。まさに究極のギター・アルバム。 Live at Zepp Namba, Osaka, Japan 26th November 2019 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (55:07) 1. Intro Steve Vai, Zakk Wylde, Yngwie Malmsteen, Nuno Bettencourt, Tosin Abasi 2. Hocus Pocus Tosin Abasi 3. Tempting Time 4. The Woven Web 5. CAFO Tosin Abasi & Nuno Bettencourt 6. Physical Education Nuno Bettencourt 7. Get the Funk Out 8. Midnight Express 9. Extreme Medley Disc 2 (73:59) Nuno Bettencourt & Zakk Wylde 1. Sideways Zakk Wylde 2. N.I.B. 3. Into the Void 4. War Pigs Zakk Wylde, Nuno Bettencourt & Steve Vai (joins at end) 5 Still Got the Blues Steve Vai 6. There's a Fire in the House 7. The Animal 8. Tender Surrender Disc 3 (69:53) Yngwie Malmsteen 1. Top Down, Foot Down 2. Into Valhalla / Baroque & Roll 3. Overture / From a Thousand Cuts / Arpeggios from Hell 4. Badiniere / Concerto #4 / Adagio 5. Far Beyond the Sun 6. Trilogy Suite Op: 5 7. Fugue / Cadenza #3 / Echo 8. Acoustic Cadenza Yngwie Malmsteen & Steve Vai 9. Black Star Steve Vai, Zakk Wylde, Nuno Bettencourt, Tosin Abasi 10. Frankenstein Steve Vai, Zakk Wylde, Yngwie Malmsteen, Nuno Bettencourt, Tosin Abasi 11. Bohemian Rhapsody 12. Burn