『BLACK ALBUM』でヘヴィメタル史上並ぶもののない史上最大の怪物となった1993年のMETALLICA。そんな一大全盛期のライヴ・イン・ジャパンを記録した伝説サウンドボードの新発掘マスターが登場です。そんな本作に刻まれているのは「1993年3月23日:名古屋センチュリーホール公演」。その超極上ステレオ・サウンドボード録音です。『BLACK ALBUM』時代のMETALLICAは、丸3年に及ぶ長大なワールド・ツアーを行っており、その最中に二度来日。ここで、その日程の中から称のポジションを確かめてみましょう。1991年“WHEREVER WE MAY ROAM TOUR”・12月31日:東京ドーム 1993年“NOWHERE ELSE TO ROAM TOUR”・3月16日:国立代々木競技場・3月17日:国立代々木競技場・3月18日:横浜アリーナ・3月21日:福岡サンパレス・3月22日:大阪城ホール・3月23日:名古屋センチュリーホール ←★本作★ これが『BLACK ALBUM』時代の全来日公演。本作の名古屋公演はその最終日にあたるコンサートでした。このショウは従来から極上の流出サウンドボードが残されている事でも知られ、特に名門Bondageレーベルの『BLACKEN ‘EM ALL』は長年コレクターの愛蔵盤となってきました。本作もまた大元は同じ流出サウンドボードでありつつ、その最高峰を更新する新マスターなのです。その更新ぶりを語る前に、『BLACKEN ‘EM ALL』をご存じない方のためにもイチから始めましょう。このサウンドボードは、まさに超極上。公式盤やFM放送のように整えられたタイプではなく、ミックス卓からの直結系。そのため、大歓声も激しく遠く、コンサートの雰囲気を再現するような加工もゼロ。ただひたすらゴリッゴリの演奏音とヴォーカルが流れ出すタイプです(「One」オープニングのSEなど、とんでもなく豪快なステレオ感です)。そして、これがまた強烈極まりない。当時のMETALLICAはヘヴィネスとスペクタクルを追究しており、『LIVE SHIT: BINGE & PURGE』を始めとしてあらゆる公式ライヴも放送も「重く」「ダイナミック」に仕上げられていました。それはそれで良いものの、本作はそれとはまったく異なり、ムキ出しのエッジが凄い。リフの1つひとつがギャリギャリ・ガリガリと尖っており、ベースもブリブリとえらく鋭角的ならドラムもバスドラまで超硬質。明らかに「ヘヴィ」よりも「メタル」な金属サウンドなのです。当時は「なんかヌルくなった」とも言われたものですが、それはあくまで音作りの結果であって、演奏そのものは相変わらずスラッシーなエッジが効いていた……そんな事実を突きつけてくるシャープな極上サウンドボードなのです。では、本作はそんな伝説サウンドボードをどのように超越しているのか? 実のところ、流出サウンドボードだけにクオリティや質感自体は伝統盤『BLACKEN ‘EM ALL』とほとんど変わらないのですが、ポイントはシームレスであること。『BLACKEN ‘EM ALL』では(普通に聴いていると気づかない瞬間レベルではあるものの)「Harvester Of Sorrow」や「Seek And Destroy」「Last Caress」の冒頭に音落ちがありました。ところが、今回の新発掘マスターにはその音落ちが一切ない。流出の経緯が不明なために断言は出来ませんが、恐らく『BLACKEN ‘EM ALL』はどこかの複製段階で機材に接触不良が発生したのではないでしょうか。本作はその前段階と思われるパーフェクト・マスターなのです。そんな超シャープ&パーフェクトなサウンドで描かれるショウは、まさに重金属パラダイス。セットは『LIVE SHIT: BINGE & PURGE』のメキシコ・シティ公演に準じるものの、さらに圧縮したような特濃ぶり。ここで、その内容を整理してみましょう。 ・KILL 'EM ALL:Seek And Destroy/Whiplash・RIDE THE LIGHTNING:Creeping Death /For Whom The Bell Tolls/Fade To Black・MASTER OF PUPPETS:Welcome Home (Sanitarium)/Master Of Puppets・...AND JUSTICE FOR ALL:Harvester Of Sorrow/Justice Medley/One・BLACK ALBUM:Sad But True/Wherever I May Roam/Of Wolf And Man/The Unforgiven/ Nothing Else Matters・カバー:Am I Evil?/Last Caress ……と、このようになっています。ショウ自体がメキシコ公演よりもタイトにまとまっていましたが、さらにベース&ギター・ソロや「Through the Never」「Enter Sandman」がなく、「One」の途中で録音が終了してしまいます(これは録音漏れであり、既発と同じです)。正直言って不完全盤ではあるのですが、実際に聴いているとあながち欠点にも思えないから不思議。これまた『LIVE SHIT: BINGE & PURGE』を思い出すと実感していただけると思いますが、当時のMETALLICAのショウはとにかく長い。特にショウ中盤のベース&ギターソロは『LIVE SHIT: BINGE & PURGE』でも20分近く延々と弾いており、思わずスキップした経験があるのではないでしょうか。本作は、そうしたパートがない。アグレッシヴな演奏が間延びする事なく次々と繰り出され、激シャープなサウンドと相まって終始メタリックなエッジが炸裂し続けるライヴアルバムなのです。英雄ひしめくHR/HMの歴史でも、最大の怪物にのし上がったMETALLICA。音楽シーンが変質した現代では、もはや彼らを超える存在は現れないでしょう。本作は、そんな永遠の威光が決定づけられた時代の来日公演を超絶ライン・サウンドで浴びられるライヴアルバムなのです。伝説的なサウンドボード・マスターがまさかのアップグレードを果たした永遠の1本。 Live at Century Hall, Nagoya, Japan 23rd March 1993 STEREO SBD(from Original Masters)*UPGRADE Disc 1(61:55) 1. The Ecstasy Of Gold 2. Creeping Death 3. Harvester Of Sorrow 4. Welcome Home (Sanitarium) 5. Sad But True 6. Wherever I May Roam 7. Of Wolf And Man 8. The Unforgiven 9. Justice Medley Disc 2(57:57) 1. For Whom The Bell Tolls 2. Fade To Black 3. Master Of Puppets 4. Seek And Destroy 5. Whiplash 6. Nothing Else Matters 7. Am I Evil? 8. Last Caress 9. One STEREO SOUNDBOARD RECORDING James Hetfield - Guitar, Vocal Lars Ulrich - Drums Kirk Hammett - Guitar Jason Newsted - Bass