マニアだけが知る“最強のオジー・オズボーン・バンド”、ジェイク&カーマイン時代。その最高傑作となるライヴアルバムが2作同時リリース決定です。全世界初公開となった傑作『HAMMERSMITH ODEON 1983 1ST NIGHT』をご紹介したばかりですが、なんと更なる大傑作録音が発掘されました。しかも、これまでの最高峰を超えるクオリティのとんでもない録音が2本も。本作は、そんな2連作の第一弾となる「1984年1月13日ビンガムトン公演」。その極上オーディエンス録音です。とにかく、この時代は特別。“BARK AT THE MOON TOUR”ではお馴染みのジェイク・E・リー/ドン・エイリー/ボブ・デイズリーが揃っているだけでなく、さらに伝説的な名ドラマー:カーマイン・アピスまで参加。技術面でもセンス面でも、全パートが歴代最高の達人という奇跡のラインナップでした。しかし、惜しむらくはロック史でも最強となる5人組は短命で崩壊してしまった。まずは、そんな泡沫の頂点時代を振り返り、ショウのポジションを確かめてみましょう。1983年 《ジェイク加入》・1月12日-30日:欧州#1(13公演)《ブリッジウォーター→エイリー交代》・2月11日-4月5日:北米#1(34公演)《コスタ→デイズリー交代》・5月29日:US FESTIVAL ←流出SBD《トミー・アルドリッチ→カーマイン・アピス交代》《11月15日『月に吠える』発売》 ・11月10日-12月22日:欧州#2(32公演)1984年・1月10日-2月20日:北米#2(31公演) ←★ココ★《アピス→アルドリッチ交代》 これがジェイク加入からカーマイン離脱までの歩み。伝説的な“US FESTIVAL ‘83”の後でトミー・アルドリッジが家庭の事情(お子さんが生まれたそう)で離脱。『月に吠える』リリース前後から始まるツアーのためにカーマインが加入しました。その後、欧州と北米で約30公演ずつを行ったわけですが、これまでの記録はすべて「欧州#2」。それに対し、本作は年の改まった「北米#2」のライヴアルバムなのです。 【超進化を果たしたカーマイン最高の超名演】実は、この「北米#2」というのが超・重要。レッグが違うだけかと思いきや、とんでもない。「欧州#2」を経験したカーマインが超進化。実のところ、「欧州#2」でも序盤より終盤の方が明らかにこなれていたのですが、クリスマス休暇の後にリハーサルでもし直したのか、曲の馴染み方もアレンジ・フレーズも格段に進歩しているのです。その凄みは冒頭の「Crazy Train」から圧倒的(この曲がオープニングというのも珍しい)。完全に身体に染み込んだビートがビッシビシと気持ちよく、遊び心満載。とにかくAメロからブリッジにかけてのリズムを聴いていただきたい。他の歴代ドラマーが単なるリズム・キープで済ませるパートも躍動感たっぷりな独自のリズム・パターン(何となく「汽車っぽい」と思えてしまう表現力が凄い)で組み上げ、合間合間の決めフレーズもオリジナルより遙かに細やか。しかも、同じ繰り返しパートも1回目と2回目ではまるで違い、歌うように多彩。普通のドラマーが「リズム→キメ→リズム→キメ……」と繰り返していくとするなら、本作の「Crazy Train」は全編が「キメ」だけ。まるで「Crazy Train」を流しながらのドラム・ソロかのようです。1曲だけでも目眩がするのですが、それが延々続くから恐ろしい。「Mr. Crowley」や「Rock 'n' Roll Rebel」にしても裏拍の効いた遊びのオカズが盛りだくさんですし、かっ飛ばす「Bark At The Moon」のキレといったら……。トミー・アルドリッジも名手ではあるのですが、完全に役者が違う……と言いますか、カーマイン時代の全記録でも本作の名演ぶりは群を抜いています。 【カーマイン時代No.1となる超ダイレクト・サウンド】あまりに凄絶なドラミングにすっかり書き忘れていましたが、本作はクオリティも最高傑作の名に相応しい。実は、最近になって発掘の名門「Krw_co」された新マスターなのですが、これがただ物ではない。今話題の「luvsufo」コレクションなのです。発音しにくい名称ではありますが、このコレクションはRAINBOWの名盤『HARRISBURG 1982』を筆答に、SCORPIONSやQUEEN、DEF LEPPARD、IRON MAIDEN、RIOT等々、極上マスターが次々と発掘されている。本作はその最新弾なのです。実際、本作のサウンドはオンで極太。距離感のまったくない力強さと鮮やかすぎるディテールは完全サウンドボード級。オーディエンスらしさが出やすいスネアの鳴りにも客録感がまったくなく、1打1打が猛烈にクッキリ。しかも、それがジェイクのギターやドンのキーボード、オジーのヴォーカルのすべてに当てはまる。これまでカーマイン時代の最高サウンドは『BARK AT THE PARIS』でしたが、本作の登場を持って過去の話。前半ではピーク部分(「Mr. Crowley」や「Bark At The Moon」のイントロ等)でビビリ気味にもなるので完全無欠とは言えませんが、カーマイン時代ではこれ以上望めない最高傑作サウンドなのです。とにもかくにも、史上最強ラインナップの超名演を凄まじいダイレクト・サウンドで味わえる新発掘ライヴアルバムです。本来なら若きジェイクの技やカーマインが甲高い声でコール&レスポンスを盛り込んだドラム・ソロにも触れるべきなのでしょうが、そこまでいちいち挙げていったらキリがない。これまでも「カーマイン時代は凄い!」と口を酸っぱくして繰り返してきましたが、正直これほどとは……。先日『HAMMERSMITH ODEON 1983 1ST NIGHT』の解説で「加入直後のカーマインはコージーSABBATHほどの深みには至っていない」と書きましたが、本作のカーマインは間違いなくコージー時代SABBATHにも匹敵する。“カーマイン時代のオジー”に惚れている方でも驚く大名演であり、これまでの諸作で「トミーとそんなに違う?」と感じられた方もカーマインの凄みにノックアウトされる事でしょう。ロック史にこれほど凄いバンドが存在していた……その事実自体に震撼する新発掘ライヴアルバム。 Live at Broome County Arena, Binghamton, NY, USA 13th January 1984 TRULY PERFECT SOUND (72:07) 1. Carl Orff "Carmina Burana" 2. Crazy Train ★オープニング珍しい 3. Mr. Crowley 4. Rock 'n' Roll Rebel 5. Bark At The Moon 6. Revelation (Mother Earth) 7. Steal Away (The Night) 8. Suicide Solution incl. Guitar Solo 9. Center Of Eternity 10. Drum Solo 11. Flying High Again 12. Iron Man 13. I Don't Know 14. Paranoid Ozzy Osbourne - Vocals Jake E. Lee - Guitar Bob Daisley - Bass Carmine Appice - Drums Don Airey - Keyboards