クリフ時代のサウンドボードは、他にもいくつか存在します。その中でも「1986年5月30日ダベンポート公演」。そう、オークレア公演の翌日ショウを収めたサウンドボード・アルバムです。“DAMAGE, INC. TOUR”は時期が極めて重要。ここでは大量に発掘された公式物も含めてサウンドボード・コレクションを整理してみましょう。・4月21日:イースト・ラザフォード公演 ※公式BOX・5月12日:エル・パソ公演・5月23日:タルサ公演 ※公式livemetallica・5月25日:シカゴ公演 ※公式BOX・5月26日:デモイン公演・5月29日:オー・クレア公演 ・5月30日:ダベンポート公演 ・7月6日:ロスキレ・フェスティバル公演 ※公式BOX《7月26日:ジェイムズ負傷》・7月29日:チャタヌーガ公演 ※公式livemetallica・8月1日:チャールストン公演 ※公式livemetallica・8月3日:ハンプトン公演 ※公式BOX・9月21日:ロンドン公演 ※公式livemetallica・9月24日:ルンド公演 《9月27日:クリフ死去》以上、13公演分。あくまで“DAMAGE, INC. TOUR”でもクリフ存命時代のみですが、昔ながらの定番サウンドボードや公式BOX、さらには公式サイトlivemetallica.comで公開されたものまで、かなりのコレクションになります。本作は、その中でも公式化されていないサウンドボードの1つなのです。そして、本作はアンダーグラウンド発掘が誇る過激サウンドボード。軋むギターも超ダイレクトな卓直結系でして、現場PAがジーッと吐き出すノイズも超リアル。爆音・轟音スレスレながら一線は越えずに踏みとどまるド迫力ぶりが凄まじい。しかも、猛烈にクリア。濁りや歪みはあくまでもバンドが奏でているものであり、曇りはない。そのエッジが恐ろしく鋭利で、リフの1つひとつが鋭利な鉈のように迫り、その波状攻撃は電気ノコギリのようにとどまるところを知らないのです。このサウンドがもう、暴虐METALLICAにめちゃくちゃ似合う。既存のメタルよりも遙かに複雑な楽曲を猛烈なスピードで突っ走るライヴは、破綻寸前の危うさが凄まじい。そこにド迫力ながらギリギリ爆音にはならない本作のサウンドが相まって、得も言われぬスリルと限界の迫力を描き出している。「Welcome Home (Sanitarium)」ではジェイムズが吹き出して歌が途切れたりもしますが、そこにカークのギターが軋みながら乱入し、悲鳴を上げる。この若々しさ。この無鉄砲ぶり。まさに80年代METALLICAを録音するためのサウンド。本作を知ってしまったら、もう小綺麗なスタジオ盤には戻れない……そんなノイズと暴虐のアートなのです。さらに、セットが異なるのも嬉しい。実のところ、オープニングの「Battery」が未収録の不完全版だったりもするのですが、それ以外は全編収録。ラストには、前日のオークレア公演では演奏しなかった「The Four Horsemen」「Motorbreath」も披露してくれるのです。しかも、この2曲の破壊力の凄まじさと言ったら! 特に「Motorbreath」は初期METALLICAを代表する激走ナンバーながら“DAMAGE, INC. TOUR”ではこの日にしか演奏していない。これは即ち、クリフ・バートン最後の「Motorbreath」でもある。そんな激走過激な「Motorbreath」で幕を閉じる本作は、特別なサウンドボードなのです。2日連続で残された準公式サウンドボードと、過激なアングラ・サウンドボード。超貴重な「Motorbreath」も含め、全世界のマニアが話題騒然のオークレア公演を向こうに回して一歩も引かない過激な1枚。 Live at Coliseum Ballroom, Davenport, IA. USA 30th May 1986 STEREO SBD (64:23) 1. Master Of Puppets 2. For Whom The Bell Tolls 3. Welcome Home (Sanitarium) 4. The Thing That Should Not Be 5. (Anesthesia) Pulling Teeth 6. Damage, Inc. 7. Seek & Destroy 8. Creeping Death 9. Am I Evil? 10. Whiplash 11. The Four Horsemen 12. Motorbreath STEREO SOUNDBOARD RECORDING James Hetfield - Guitar, Vocal Lars Ulrich - Drums Cliff Burton - Bass Kirk Hammett - Guitar