コンセプト・アルバムの大傑作『MISPLACED CHILDHOOD』を発表し、アルバム完全演奏ツアーで世界を沸かせていた1986年のMARILLION。そのフルショウを超極上体験できるオリジナル録音が奇跡の発掘です! 【世界の名匠が自ら認める最高傑作録音】そんな本作に刻まれているのは「1986年1月29日レスター公演」。その一部始終を記録した超絶級オーディエンス録音です。……と、いつも通りに始めてしまいましたが、正直なところ動揺が隠せない。何しろ、本作を記録したのは、かの名匠“Crazy S.”氏。その最高傑作と言っても過言ではない超絶の1本だからです。「MARILLION」「Crazy S.録音」「最高傑作」とキーワードが並んだところで、大名盤『WELCOME TO THE GARDEN PARTY: MILTON KEYNES 1986』を思い出された方もいらっしゃるかも知れません。あの3枚組も「Crazy S.の最高傑作」とご紹介しましたが、本作も同じ表現を使わざるを得ない。最高峰は連峰だったのです。やや取り乱し気味になってしまいましたが、頭を冷やしてイチから。まずは世紀の名盤ツアーの全体像からショウのポジションを振り返ってみましょう。1985年・5月26日-6月18日:欧州#1(12公演)《6月17日『MISPLACED CHILDHOOD』発売》 ・8月17日:MONSTERS OF ROCK出演・9月4日-11月28日:欧州#2(50公演)・12月3日-7日:日本(5公演)・12月10日-20日:英国#1(8公演)1986年・1月8日-2月6日:英国#2(23公演)←★ココ★・2月26日-4月29日:北米(30公演)《6月:EP『Brief Encounter』発売》 ・6月11日-8月3日:欧州#3(13公演)・12月27日-31日:英国#3(5公演) これが1985年/1986年のMARILLION。前述した『MILTON KEYNES 1986』も同じツアーの英国公演ですが、あれは「欧州#3」の一幕。本作のレスター公演は、その約半年前となる「英国#2」の17公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作ですが、これがもう凄まじい超・高音質。実のところ、“Crazy S.”氏自身が「KILLER RECORDING!!」と自負されていた(普段は決して自賛しないので非常に珍しいです)のですが、確かにケタ違い。とにかくダイレクトで超ビビッドで力強い芯には微塵の距離感もなく、ディテールの鮮やかさもサウンドボード並。1986年と言えば、“Crazy S.”氏にとっても全盛期で「ハズレが1本もない」と言われるほどなのですが、その奇跡の時期にあっても最高峰。まさに「最高傑作」以外に表現のしようがないのです。もちろん、本作が登場しても『MILTON KEYNES 1986』の素晴らしさは些かも色あせませんが、個性がだいぶ違う。『MILTON KEYNES 1986』は野外フェスらしい反響ゼロの骨太感が凄かったのですが、本作は(ほんのり極々わずかながら)ホール鳴りも拾っている。しかし、それが距離感や濁りを生み事なくアンサンブルの厚みと迫力と艶を倍加させており、超クリアなままに美しい。まさに奇跡の銘品録音なのです。 【ホールならではの感動に彩られた物語の大名盤】さらに客録の旨み、ホールの醍醐味を味わわせてくれるのが大合唱。英国ロックの理想像を一身に体現していたMARILLIONの人気は凄まじく、各曲でもサビを待たずに口々に歌い出す歌声が沸き上がり、メロディがぶ厚いぶ厚い波となって会場を満たしていくのです。しかも、間近声ではない。もちろん、会場には感極まった絶叫野郎もいるハズなのですが、本作からは感じ取れず、大合唱も骨太・肉厚な演奏音を下が炙るような立体感で間に入ってこない。それでいて1人ひとりの声が鮮明で、まるで五月雨のように優しく細かく広がっていく……。幾多のバンドの無数の記録を扱って参りましたが、これほど厚く美しい唱和はちょっと記憶にない。サウンドだけでなくムードまでもが奇跡的なのです。そして、演奏されるのはストーリー・アルバムの大名盤だから恐ろしいほどドラマティック。アルバムの発売から半年が経っており、観客は物語も歌詞も熟知。新曲の連続にも関わらず歌う歌う! その象徴ともなるのが「Lavender」。サビの歌詞「for you」に合わせ、観客が「Lisa, for you Lisa」とつぶやく。この物語と曲に没入している感覚、大合唱が拡散しない密室感。野外フェスの『MILTON KEYNES 1986』とも、公式盤『THE THIEVING MAGPIE』とも違う深い深い感動は、「ホール版MISPLACED CHILDHOOD」とでも呼ぶしかありません。また、本作の旨みは『MISPLACED CHILDHOOD』パートだけではない。アルバム再現ライヴと言えば、2017年のデラックス・エディションで公式化された1988年ユトレヒト公演サウンドボードもありますが、本作は時期が違うこともあってセットが異なる。ここで比較しながら整理してみましょう。DISC 1:第一部(5曲)・SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR:Script for a Jester's Tear/The Web・FUGAZI:Emerald Lies/Incubus/Jigsaw(★)DISC 2:第二部(MISPLACED CHILDHOOD) ・全曲:Pseudo Silk Kimono/Kayleigh/Lavender/Bitter Suite/Heart Of Lothian/Waterhole (Expresso Bongo)/Lords Of The Backstage/Blind Curve/Childhoods End?/White Feather DISC 2:アンコール(4曲)・FUGAZI:Fugazi/Punch & Judy(★) ・その他:Giz a Bun(★)/Market Square Heroes(★)※注:「★」印は公式化された1985年ユトレヒト公演SBDでも聴けない曲。……と、このようになっています。『MISPLACED CHILDHOOD』再現パートの前後をクラシックスで固める構成はツアー全体で共通しつつ、そのセレクトが変わっている。何度も言及しているCrazy S.氏の超傑作『MILTON KEYNES 1986』と比較しても、被っていないレパートリーも5曲「Emerald Lies」「Jigsaw」「The Web」「Giz a Bun」「Punch & Judy」が楽しめる。「矢がフェス版MISPLACED CHILDHOOD」に対する「屋内ホール版」ではありますが、同時にさらに多彩な名曲網羅できる姉妹作でもあるのです。当時の英国シーンを象徴する野外フェスの『MILTON KEYNES 1986』と、ホールの旨みを想像外のクオリティで真空パックした本作。いずれも個性は違いながら世界の名匠“Crazy S.”の最高傑作と呼ぶに相応しい超絶ライヴアルバムです。この2本のスペクタクルを体験してしまったら、もう『THE THIEVING MAGPIE』には戻れない。それほどまでに絶世な姉妹作。そのホール篇。 Live at De Montfort Hall, Leicester, UK 29th January 1986 TRULY PERFECT SOUND(from Original Master) Disc 1 (40:08) 01. The Thieving Magpie (La Gazza Ladra) 02. Emerald Lies 03. Script For A Jester's Tear 04. Incubus 05. Jigsaw 06. The Web Disc 2 (72:29) Misplaced Childhood 01. Pseudo Silk Kimono 02. Kayleigh 03. Lavender 男性客がサビのfor youに合わせて「Lisa, for you Lisa」と言う。感動的 04. Bitter Suite 05. Heart Of Lothian 06. Waterhole (Expresso Bongo) 07. Lords Of The Backstage 08. Blind Curve 09. Childhoods End? 10. White Feather Encore 11. MC 12. Giz a Bun 13. Fugazi 14. Punch And Judy 15. Market Square Heroes Fish - Vocal Steve Rothery - Guitar Pete Trewavas - Bass, Vocal Mark Kelly - Keyboards Ian Mosley - Drums