先日、「BARK AT THE TOKYO」でメタルのアングラ音源界に“10年に一度の衝撃”をブチかましたオジー・オズボーン。今回は、まさかの未発表曲を大量に含むデモが発掘されました! デモとは言っても「ヴァースだけ」「リフの練習」のような作りかけは一切なく、アレンジやギターソロまでしっかりした“ほとんど完成”なスーパー音源! マスターカセット直落としのサウンドも最高級で、まさか“10年に一度”だったハズの「BARK AT THE TOKYO」の衝撃を軽く超える事になろうとは……。今回のデモは「OZZMOSIS」のために1992年のロンドンで録音されたもの。「なんだよ、オズモシスか……」などと侮るのは、気が早すぎる!!当時のオジーは引退宣言を逆手にとって多彩なソングライターと曲作りにハマッていた時期。残念ながら「OZZMOSIS」は(オジー自身も認める)マイケル・ベイホーンのオーバープロデュースが冴えないアルバムでしたが、本作にその心配は皆無。“マッドマン”のイメージからも解放されて思う存分に書きまくった“知られざる名曲”が溢れだしています!それでは、1曲ずつ聴いてみましょう…… 1. Feels So Good To Be Bad いきなりの未発表曲。軽いノリのジャブといったアップナンバーですが、オジー印のメロディはたっぷり。軽いドラムがデモっぽいですが、コーラスもオーバーダブされた素晴らしい完成度に、本作の充実ぶりに胸が膨らむ1曲です。2. Denial 「OZZMOSIS」にも収録された、マーク・ハドソン/デュアン・バロンとオジーの共作曲。オーバープロデュースの厚化粧を削ると、ここまで良い曲だったのかと驚く1曲です。正規アルバムを知っているだけに生々しさを感じますが、コーラスやキーボードのダビングもしっかり入り、ギターソロの泣きもダイレクトに伝わる一級テイクです。3. Too Far Gone オリエンタルな響きのイントロリフが耳にこびりつくノリの良い未発表曲。このデモが録られたのは、スティーヴ・ヴァイとのコラボの2年前になりますが、それも必然だったのかも知れません。ぜひ「OZZMOSIS」に収録してほしかった……。 4. Ghost Behind My Eyes 再び「OZZMOSIS」収録のマーク・ハドソン&デュアン・バロン/オジーの曲。ただし、アルバムとは違って、爽やかなバラード調に仕上がっています。「NO MORE TEARS」で“脱マッドマン”、“人間宣言”をしたオジーですが、「OZZMOSIS」では時代が求める“暗黒の帝王”、“サバスのオジー”にすり寄った作風にねじ曲げられていました。そう、このデモこそが「本来のあるべき姿」と言っていいでしょう。「NO MORE TEARS」でソングライティングに目覚めたオジーが目指した音楽が垣間見える絶品テイク。本作の目玉は未発表曲の数々ですが、正規曲のデモも最高に面白いのです! 5. Frustrated Yes I'm Hated 軽快にカッ飛ばすアップテンポの未発表曲。こういう曲を採用していれば、「OZZMOSIS」は「NO MORE TEARS 2」になっていたでしょう。アナウンスっぽい語りも交えて完成度は高いものの、シンプルな構成に「もうひと捻り」が思いついていたら、ライブ映えしそうな曲です。 6. Dream For Tomorrow これぞ、本作最大の超名曲! 絶対、聞き逃すべからず! ピースフルなイントロに驚きつつもポップで心に暖かく染み渡るバラードですが、そこはかとなく漂う哀愁が胸をかきむしる。“暗黒の帝王”イメージとはかけ離れていますが、これほどの曲を未発表にするとは……どれだけ贅沢なんだ!? これを読んでいる方の中で、2007年発表の「Nightmare」が好きな方はどれくらいいらっしゃるでしょうか……え?「そんな曲知らない」? いけませんね。今すぐYoutubeで検索してください。この曲のリリシズムは、あの名曲にさえ匹敵します。今すぐ正式に再録音をして公式リリースすべき名曲! 7. Say Yeah Yeah 一転、不穏なギターリフが主導するミッドの未発表曲。サビではオジーのTHE BEATES好きが見え隠れします。8. Oh No the Bitch Won't Go 「Party With The Animals」さえ超えるほど、軽快で楽しいアップテンポの未発表曲。細かいギターの刻みが印象的ですが、メタリックさがないところが未発表になった所以でしょうか。一度聴いたら忘れられないフレーズの数々はポップと言ってもいいほどです。9. My New Rock And Roll さすがに「ボツになったのも仕方ないかな」と思わせる1曲。もちろん、曲として未完成なわけではありません。シンプルに、さして面白くない曲です。つまり、正直にそう言ってしまえるほど、他の未発表曲が凄い!のです。10. Perry Mason ザック・ワイルド&ジョン・パーデルとの共作となる「OZZMOSIS」を代表する超名曲デモバージョン。ザック以外にあり得ないドヘヴィなギターはここでも凄まじい。ソロや装飾から完成版とはまるで異なりますが、目標は既に見える仕上がりです。エンディングのシンセも素晴らしい。ごく初期から他曲とは力の入れようが違うことがはっきりと伝わるテイクです。11. Old L.A. Tonight これもオジーとザック・ワイルド&ジョン・パーデルの共作。完成版でも感動的なバラードでしたが、こちらは素朴ささえ感じさせる仕上がり。オーバープロデュースを拒絶するかのようなアレンジには、「アラモに立ち小便した男じゃなく、ひとりのソングライターとして記憶されたい」と言ったオジーの本音が痛いほど感じられる。これまた必聴の絶品テイクです。ギター? こんなの弾けるのはザックしかいないでしょう(笑)。12. See You On The Other Side 女声コーラスやホーンをフィーチュアしたアレンジ。公式ボックス「PRINCE OF DARKNESS」に近いですが、あちらより30秒ほど長い長い収録です。残念ながら、これだけは音があまり良くありません。本作を経験したら「OZZMOSIS」の聞こえ方が変わることでしょう。本人による「楽譜が読めない」「楽器が弾けない(サバスではモーグを操っていますが)」告白から「曲が書けない」と誤解されるオジーですが、同じく楽器が不得手でハミングでメロディを紡いだチャールズ・チャップリンも「アカデミー作曲賞」を受賞しています。「OZZMOSIS」は、結果的に代表作にこそなりませんでしたが、この時期の作曲ぶりには、“天才メロディメーカー”と呼んでもおかしなくない作メロ能力をビシビシと感じられるのです。曲順はオリジナルカセットそのままだけに、バラードが続くような事もあり、オリジナル・アルバムのような整然とした流れではありません。しかし、1テイクごとの感動は凄まじい。公式発表されたアルバム未収録曲「Living With The Enemy」「Aimee 」「Voodoo Dancer」「Back On Earth」「Walk On Water」などと共に、あなたの美学に沿った「オジーの幻アルバム」を作り上げみるのはいかがでしょうか。それが可能なほどの完成度とサウンドが、本作にはそろっているのです!オリジナルマスターには「1992年のロンドン録音」とだけ書かれ、各曲のライターも演者も不明。ミステリアスな1枚ですが、ここから聞こえるのは聞き間違えようのない“あの声”、あのメロディです。オジーの歴史を愛してきた方、彼の旋律が忘れられない方にこそ、ぜひとも聴いて頂きたい歴史的な大発掘。 Unreleased studio demo tracks recorded in London 1992 STEREO SBD(from Original Masters) (58:28) 1. Feels So Good To Be Bad ★未発表曲 2. Denial 3. Too Far Gone ★未発表曲 4. Ghost Behind My Eyes 5. Frustrated Yes I'm Hated ★未発表曲 6. Dream For Tomorrow ★未発表曲 7. Say Yeah Yeah ★未発表曲 8. Oh No The Bitch Won't Go ★未発表曲 9. My New Rock And Roll ★未発表曲 10. Perry Mason 11. Old L.A. Tonight 12. See You On The Other Side