1971年のトロントと言えばGRAF ZEPPELINによる各音源の集大成「MAPLE LEAF GARDENS」のリリースも記憶に新しいところですが、まるでそれに触発されたかの如く現れたのが今回のCD。トロントのオーディエンス・ソースではもっとも有名な「recorder 1」はカセット・トレードの時代にセカンド・ジェネレーションの状態で出回ったものが2006年になってファイル化された結果、現在までポピュラーな存在となったのですが、最近になって元のカセットから改めてトランスファーされたものがネット上に現れました。しかも改めてトランスファーされただけでなく、それをリマスターしてネット上に公開してくれたのがおなじみdadgad。トロントのオーディエンス「recorder 1」と言えば、たまに音が割れたり曲間のカットが頻発したりという欠点を抱えてはいたものの、1971年USツアーのオーディエンス録音としてはもっともオンな音像を誇る音源の一つであり、実際とても聞きやすい。それに何といってもLAフォーラムなどと違ってプラントの調子が非常によく、それが近い音像のおかげでなおさら楽しめるという、マニアには人気のある音源の一つでした。それともう一つ。71年のトロントと言えば「Stairway To Heaven」からショー中盤部分を収めたPAアウトのサウンドボード録音も昔から有名ですが、あまりに不完全でこの日の再現という意味では大きな不満が残るものだった。その点オーディエンス「recorder 1」は71年トロントの音源ではもっともメジャーなサウンドボードでは伝わらないショーの魅力を伝えくれるという点でも大きな価値がある。それだけに今回は敢えて別ソースによる補填などを行わず、この「recorder 1」のニューバージョンを楽しんでいただきたく、最小限の調整だけを施してギフト化しています。この音源は音像が近いというだけでなく、縦横無尽なプレイを迫力の存在感で鳴らすジョンジーのベースも見事なバランスで捉えているという点も大きな魅力。ですからサウンドボードには収録されず、それでいて彼のベースソロが盛り込まれた「Communication Breakdown」はブリブリと凄い迫力。確かに遂に今回マスターテープからの音源がリリースされるエディーの日ほど優等生的なオーディエンス録音ではありませんが、この手の音源に慣れたマニアなら最高に楽しめる音源でもある。何しろ1971年のZEPは演奏のイキがよく、なおかつプラントのスクリーミングが冴えわたる。メンバー全員の力が絶妙なバランスで保たれていた時代。そんなバランスはここトロントでも遺憾なく発揮されていて、やはり特別な一年であったことを痛感させてくれる。 Live at Maple Leaf Gardens, Toronto, Ontario, Canada 4th September 1971 Disc 1 (68:07) 1. Immigrant Song 2. Heartbreaker 3. Since I've Been Loving You 4. Black Dog 5. Dazed And Confused 6. Stairway To Heaven 7. Celebration Day 8. That's The Way 9. Going To California Disc 2 (54:12) 1. What Is And What Should Never Be 2. Moby Dick 3. Good Times Bad Times (intro)/Whole Lotta Love (medley) - Boogie Chillen' - My Baby Left Me - Mess O' Blues - You Shook Me - Kind Hearted Woman Blues 4. Communication Breakdown 5. Organ Solo 6. Thank You