2002年のツアーはアルバム「HEATHEN CHEMISTRY」が脚光を浴びて数多くのアイテムが生み出された印象の強い時期でしたが、来日公演の後になると今も昔もアイテムの数が極端に少なくなってしまいます。それは音質に恵まれない時期であること、それ以上に以前のオアシスのツアーより長い行程に翻弄されたリアムの声が荒れ気味だったことが要因かと。しかしツアー序盤でリアム絶好調の「BERLIN 2002 DAT MASTER」や今回リリースされる「YOYOGI 2002 FIRST NIGHT DAT MASTER」などを聞けば、以降のステージを聞いてみたくなるのがマニアというもの。日本公演後のオアシスはそのままオーストラリアを回ってダウンアンダーなスケジュールを消化、二週間のオフを経てヨーロッパとイギリスを回る2002年最終行程が始まります。この2002年最終ツアー開始当初はそれまでと同じ構成で行っていたものの、みるみるリアムの声が荒み始め、そもそも当時のリアムの為にキーを下げたアレンジを導入していた「Some Might Say」がまずは演奏されなくなります。挙句の果てにフィナーレ「My Generation」までセット落ち。そのせいで11月19日のスペイン公演は構成を変えてノエルの「Don't Look Back In Anger」で締めくくられるという展開に。三日後のミラノでは「Hey Hey, My My」のカバーが引っぱり出され、そして翌日のペーザロからは「Acquiesce」がフィナーレに定着するのです。そのペーザロ公演の次のショーがチューリッヒ。若干リミッターのかかった録音状態ではあるものの、音像が近くて十分に聞きやすいクオリティ。だからこそ序盤から顕著になってしまうのがリアムの不調ぶり。こんな調子でも「Columbia」の「カモーン」連呼を叫んでくれる辺りは痛々しくもあり、次の「Stop Crying Your Heart Out」は途中からノエルに歌ってもらうなど、リアム不調の印がありありと。先のセットリスト変更の件からも解るように、この時期はリアムの不調をカバーすべくノエルのはりきりぶりが目立っており、この「Stop Crying~」の前には構成を間違えて彼が「Cigarettes & Alcohol」のイントロを弾き始めてしまうという、この時期としては非常に珍しいハプニングから勢い余った感すら伝わってきます。その「Cigarettes & Alcohol」では中間とエンディングでノエルがビートルズ「Day Tripper」のリフを弾くというこの時期ならではのアレンジが楽しめるのが魅力的。極めつけは彼の弾き語りコーナー。前妻にインスパイアされた曲ということで2002年のツアー開始当初は封印していた「Wonderwall」を8月のアメリカ(同国で人気の高い曲だからということもあり)からライアン・アダムスがカバーしていたバージョンのアレンジを踏襲して再び演奏し始めますが、ここチューリッヒでは以前のような合唱が起こることをよしとしなかったノエルが最初だけ歌って演奏を取りやめ。代わりに皆が歌える曲をと「Whatever」を珍しく演奏します。ここから仕切り直しで「Wonderwall」を初めたものの、結局合唱となってしまうことから演奏を諦め、11月からノエル弾き語りアレンジで久々にレパートリーへの復帰を果たした「Married With Children」を歌って彼のコーナーを終えました。このようにリアム不調のドキュメントだけに留まっていたら厳しい音源だったのですが、ノエルのコーナーで非常に面白い展開があったことから今回のリリースと選ばれたのです。当時リリースされていた数少ないこの時期のアイテムも完全に入手困難となってしまった2021年。オアシス2002年ツアーの中でもアイテムが少ない時期、なおかつレアな「Whatever」を演奏している日です。 Hallenstadion Arena, Zurich, Switzerland 25th November 2002 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc 1(45:05) 1. Intro 2. Fuckin' In The Bushes 3. Hello 4. The Hindu Times 5. Hung In A Bad Place 6. Go Let It Out 7. Columbia 8. Morning Glory 9. Stop Crying Your Heart Out 10. Little By Little 11. Cigarettes & Alcohol Disc 2(43:53) 1. Live Forever 2. Better Man 3. Whatever (acoustic) 4. Married With Children (acoustic) 5. Force Of Nature 6. Don't Look Back In Anger 7. Born On A Different Cloud 8. Acquiesce Liam Gallagher - vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Gem Archer - guitar Andy Bell - bass Alan White - drums