古くはLP「KASHMIR WIZARD'S」、CDだと「A QUICK GETAWAY」などでマニアに知られる1975年のグリーンズボロ。まだジミーの指もロバートの声も回復しきらない時期であり、それでいて「How Many More Times」が演奏されていたという時期のステージをそこそこ良好な音質で捉えてくれていたという点でもマニアにはおなじみでした。最初に触れたように過去にもいくつかアイテムがリリースされていた75年アメリカ・ツアーの前半音源ですが、今回は最近になってネット上に現れたファースト・ジェネレーション・バージョンを収録。つまりロージェネ・バージョンという位置づけになるのですが、それでも「The Rain Song」がエンディングぎりぎりのところでフェイドアウトしてしまうといった現象などは「A QUICK GETAWAY」と変わらず、それ以上に音質も劇的な向上が見られた訳ではありません。マニアの方であれば「貴重な時期だがあの程度の音質」という印象の強い日であり、その印象が今回も覆ることはないかと。よってちょっと遠い音像のモノラル・オーディエンス録音なのですが、それでもフロント両人がそれぞれに不調である様はしっかり伝わってきてしまう。まずロバートに関してはボロボロで、声を張り上げる個所になるとほとんど壊滅状態。そんな中で初期のレパートリーだった「How Many More Times」を取り上げたというのも酷な話でしょう。ジミーの指の問題のせいで「Dazed And Confused」のような長いインプロビゼーションが難しく、代わりにボウイング・パートという観客を喜ばせる見せ場のある曲ということから久々に復活を遂げたものの、それが終わった後の歌い出しなど、いかんせんこの時期のロバートには厳しかった。そのジミーも指が完治していないせいでフレーズが随所で荒いという始末。まだ新曲の「Trampled Underfoot」では閃きを見せますし、先の「How Many~」では69年の再来かと思わせるような早弾きまでこなしてみせるものの、それが続かないのがこの時期の症状。同じように「Stairway To Heaven」も途中まではいつもと変わらないほど激しく弾いているのですが、つい治りきってない指で無理をしてしまうからか、変なタイミングでフレーズがおかしくなったり、あるいは音が外れてしまう。こうしたプレイ全体の印象から、75年としては貴重な「How Many More Times」を取り上げていた日だったにもかかわらず「コア・マニア向け」な音源という位置づけからどうしても逃れられないのにはそう言った事情があったのです。海外のサイトなどでも「quite possibly the worst Led Zeppelin concert ever!」と評されたほど。それでも今回はライブ後半で顕著だったピッチの狂いを始めとして、随所で生じていた音源のトラブルもすべてアジャスト。 Greensboro Coliseum, Greensboro, NC, USA 29th January 1975 *UPGRADE Disc 1 (66:30) 1. Rock and Roll ★0:18の極端なテープ速度劣化は緩和しました 2. Sick Again 3. Over the Hills and Far Away 4. In My Time of Dying 5. The Song Remains the Same 6. The Rain Song 7. Kashmir 8. No Quarter Disc 2 (62:58) 1. MC ジミーの指の怪我のことを説明 2. Trampled Underfoot 3. Moby Dick 4. How Many More Times 5. Stairway to Heaven 6. Whole Lotta Love 7. Black Dog 8. Communication Breakdown