ツアーの千秋楽でもあるハリウッドはハードロック・ホテル内にある会場でも録音を敢行してくれました。彼の2ショー連続参戦という事が見事に功を奏しており、実に素晴らしい音質だったオースティンをも超えてしまうほどのクオリティ。ストーンズ登場前に会場へ流されるチャーリー・トリビュートの映像のBGMが流れただけで「こ、これは近いぞ」と確信できるほどの音像でして、そこから演奏が始まれば凄まじいまでの迫力。まるで大好評発売中の「LAS VEGAS 2021」を聞いてテーパーたちが触発されたかのごとく、ツアー後半になって極上音質オーディエンスが連発される状況となってきました。おまけにツアー最終日…それどころか、いつもと違うチャーリー不在で初めて敢行されたツアーのフィナーレでもあり、コロナが蔓延する中、ワクチン接種が取り入れられた状況で初めて行われたツアーでもある。まだまだ続いてくれるであろうストーンズのライブ史において今なお新章が訪れたツアーだったという点においても、それが完遂できたという喜びは彼らにとって大きな喜びだったのではないでしょうか。何しろ音像が近いので、そうした喜びもひしひしと伝わってくるのですが、オープニング「Street Fighting Man」からしてミックは気合が入りまくっている。そこからのブライアン期レパートリー二連発という展開はチャーリー不在の中、スティーブという代役を立ててツアーをいざ始めてみれば、突如としてブライアン期のナンバーが息を吹き返した。これにはメンバーも新鮮な驚きだったのでしょう、果ては「Let's Spend the Night Together」と「19th Nervous Breakdown」が立て続けに演奏されるというパターンが定着する事態にまで発展。これら二曲の演奏はこの日も実に素晴らしい。どちらの曲もびっくりするくらい力強く、それでいて勢いに溢れている。後者に至ってはミックにコーラス隊とキースが絡み合うボーカルパートがつぶさに聞き取れてしまう。そこまで音質が極上ですので、生まれ変わった演奏から溢れんばかりの活気までも生々しく伝わってくる。後者が終わるとミックによるおなじみチャーリー追悼コメントが飛び出すのですが、ここもツアー最終日ならではなハイテンション。もっとも客席から沸き上がったチャーリー・コールからの「Tumbling Dice」という流れに関してはオースティンの方がキマッていましたが。 それにしてもダンによる二つ目のオーディエンス録音は本当に音像がオン。「You Can't Always Get What You Want」で鳴らされるピアノやオルガンの音色と言ったら、もはや完全にサウンドボード。この演奏でのミックがまた絶好調でして、余裕たっぷりに演奏をリプライズへと導いている。実を言えばこの日はツアー最終日にも関わらずレアなレパートリーが皆無であり、セットリストだけを見たらやり慣れたレパートリーだけでまとめたフツーの一日かと錯覚してしまうかもしれない。ところが実際に聞いてみればツアー最終日に相応しい大充実な演奏が最高の音質で捉えられた極上音源であるということを思い知らされることかと。そうしてスティーブを配した新生ストーンズがコロナ下においても無事にツアーを遂行できた喜びがミックを中心としてステージ上に溢れかえっている。「Midnight Rambler」に関してはツアーが終盤を迎えてようやく「煽りのコツ」を掴み始めたスティーブをサポートするかのごとくロニーがアグレッシブに弾いて攻めまくるという光景はオースティンでも見られましたが、そこはツアー最終日らしくエスカレート。そんなロニーにスティーブがさらに食らいついてきたところでミックが「もうその辺にしといて」と収めてしまうほど演奏が暴走したのでした。そして同じくブライアン期レパートリーでありながら、長年の定番として演奏されすぎた感が否めなかった「Paint It Black」に関してもスティーブによって一気に息を吹き返した本ツアー、最後の演奏らしく激しい勢いが加速。ツアー開始前はチャーリーを失うという大きな悲しみを背負ったままスタートしたことでどうなることかと杞憂された2021年版「NO FILTER」ツアーですが、いざ終わってみれば2017年以降においてベストではと思えるほど充実したライブ演奏が毎晩繰り広げられました。その最終日に相応しい名演を最高の音質で!Hard Rock Live at Seminole Hard Rock Hotel & Casino, Hollywood, FL, USA 23rd November 2021 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (60:49) 1. Intro 2. Street Fighting Man 3. Let's Spend the Night Together 4. 19th Nervous Breakdown 5. Words For Charlie 6. Tumbling Dice 7. You Can't Always Get What You Want 8. Living in a Ghost Town 9. Start Me Up 10. Honky Tonk Women 11. Band Introductions 12. Connection 13. Slipping Away Disc 2 (64:43) 1. Miss You 2. Midnight Rambler 3. Paint It Black 4. Sympathy for the Devil 5. Jumping Jack Flash 6. Gimme Shelter 7. Satisfaction