絶対名手マイク・ミラードが数々の傑作を残したことでも知られる伝説クラブ“The Roxy”。そのコレクションに新たなる名盤が加わりました。そんな本作に吹き込まれているのは「1978年9月30日ロキシー公演(アーリーショウ)」。“SCRATCH Tour”の一幕を真空パックした極上オーディエンス録音です。「1978年ロキシー/ガブリエル/ミラード」と言えば、大傑作『ROXY 1978 1ST NIGHT(Amity 640)』をご記憶の方もいらっしゃるでしょうが、本作は同日・同会場ながら、実は完全に別コンサート。他にも『THE ROXY 1977 2ND NIGHT』やGENESISの『THE ROXY 1980』など、似たタイトルも混乱しがちでもある。今回は「ロキシー公演」に絞り込んで音源整理をしてみましょう。1977年(ガブリエル)・4月8日・4月9日:アーリー ←※FM放送?・4月9日:レイト・4月10日:アーリー ←※FM放送?・4月10日:レイト 1978年(ガブリエル)・9月30日:アーリー ←★本作★・9月30日:レイト ・10月1日:アーリー/レイト 1980年(GENESIS)・5月25日 これが1977年ー1980年に行われたピーター・ガブリエル/GENESISの“ライヴ・アット・ロキシー”。1日2公演が頻繁に行われ、6日間で10公演も集中していました。本作と『ROXY 1978 1ST NIGHT』は1日2公演のアーリー・ショウとレイト・ショウだったわけです。そんな本作のサウンドは、同日・同会場のミラード作品だけあって姉妹作にかなり近い。ただし、まったく同じというわけでもありません。“The Roxy”では、1日2公演のチケットを両方買うとレイト・ショウでステージに近い席にしてくれたそうですが、その違いがサウンドにも反映されている。レイト・ショウの『Amity 640』はいかにもステージ直近という感じで、出音がタイムラグなしに飛び込んでくる。特に演奏陣は強烈で立ち上がりも鋭いシャープ・サウンドでした。それに対して本作は少し下がったポジションで録音されていたわけですが、かと言って遠くはない。ダイレクト感はそのままに、ちょっと離れたからこそアンサンブル全体の均整が取れている。特にヴォーカルに至ってはホール鳴りが回り込んでいたレイト・ショウ『Amity 640』よりも本作の方が鮮やかなくらいなのです。この感覚を別の表現にするなら「いつも通りのミラード録音」と言えば良いでしょうか。『Amity 640』が間近席の熱狂とワイルドなバランスで異形の迫力を醸していたのに対し、本作は音楽作品としての完成度に優れた名作然としたライヴアルバムなのです。そして、サウンドだけでなくショウ内容も『Amity 640』とは似て非なるフルセット。早速、比較しながら整理してみましょう。SCRATCH(8曲)・On The Air/Perspective/Indigo(★)/White Shadow/D.I.Y./Mother Of Violence/Flotsam And Jetsam/Animal Magic その他(10曲)・CAR:Moribund The Burgomaster/Waiting For The Big One/Slowburn/Solsbury Hill/Modern Love/Here Comes The Flood・その他:Me And My Teddy Bear(★)/On Presuming To Be Modern/I Don't Remember/The Lamb Lies Down On Broadway ※注:「★」印は同日レイト・ショウの『ROXY 1978 1ST NIGHT』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。4曲「Humdrum」「A Wonderful Day In A One-Way World」「Home Sweet Home」「A Whiter Shade Of Pale」を落とし、2曲「Me And My Teddy Bear」「Indigo」を盛り込んだスタイル。曲数的には少なくなっているものの、これで姉妹作を併せて『SCRATCH』から「Exposure」以外の全曲が聴けるようになったわけです。そして、それ以上なのが開演時の「Me And My Teddy Bear」。ローズマリー・クルーニーのヒット曲ですが、しっかりと練り込んだカバーと言うよりは、エレピだけをバックに即興的に歌った同じ。しかし、これが大ウケ。観客も笑い出し、それがクラブのアットホームな親密感をグイッと引き上げているのです。これだから“The Roxy”は特別。本作は、他のどの会場とも異なるクラブ・ギグを極上体験できるミラードの新名盤なのです。姉妹作『ROXY 1978 1ST NIGHT』を体験された方ならすでに心を決められているでしょうし、もし未経験の方ならぜひ本作からお試しください。素肌感覚の密室感に、きっと姉妹作も聴きたくなることしょう。単に極上なだけではない、個性派コレクションの最新弾。「1978年9月30日ロキシー公演(アーリーショウ)」の極上オーディエンス録音。絶対名手マイク・ミラードのマスター・カセットから起こされた銘品で、レイト・ショウの大傑作『ROXY 1978 1ST NIGHT』と同日・別コンサートの姉妹作。均整の取れたサウンドが素晴らしく、そこでは聴けなかった「Me And My Teddy Bear」「Indigo」も楽しめる。The Roxy, West Hollywood, CA, USA 30th September 1978 (Early Show) TRULY PREFECT SOUND Disc 1 (37:50) 1. Me And My Teddy Bear 2. On Presuming To Be Modern 3. On The Air 4. Moribund The Burgermeister 5. Perspective 6. Indigo 7. White Shadow 8. D.I.Y. 9. Waiting For The Big One Disc 2 (44:03) 1. Band Introductions 2. Mother Of Violence 3. Slowburn 4. Flotsam And Jetsam 5. I Don't Remember 6. Solsbury Hill 7. Modern Love 8. The Lamb Lies Down On Broadway9. Animal Magic 10. Here Comes The Flood Peter Gabriel - Vocals Timmy Capello - Saxophone, Keyboards Larry Fast - Synthesizers Tony Levin - Bass, Chapman Stick, Backing Vocals Sid McGinnes - Guitar, Backing Vocals Jerry Morrata - Drums