コンテンポラリー・ミュージックに踏み込んだ意欲作『MERCURY FALLING』を全米5位に送り込み、キャリア最大級のワールド・ツアーに乗り出した1996年のスティング。その傑作サウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作が記録されたのは「1996年9月8日ヒューストン公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。スティングと言えば常に膨大なライヴをこなしているワーカホリックですが、そのソロ・キャリアでも200公演を超えたツアーは“MERCURY FALLING Tour 1996-1997”と“BRAND NEW DAY Tour 1999-2001”だけ。まさに生涯屈指の巨大プロジェクトでした。まずは、その全景を振り返ってショウのポジションを確かめてみましょう。1996年・2月15日ー3月5日:プロモーション(3公演)《3月8日『MERCURY FALLING』発売》・3月9日ー6月18日:欧州#1(57公演)←※ROCK AM RING 1996・6月21日ー9月8日:北米#1(56公演)←★ココ★・9月21日ー11月11日:アジア/オセアニア(34公演) ・11月17日ー12月22日:欧州#2(27公演)1997年・1月13日ー2月8日:欧州#3(20公演)・2月28日ー3月6日:北米#2(6公演)・6月20日ー7月13日:欧州#4(12公演)《7月21日:“Superstar Concert”放送》これが1996年/1997年のスティング。本作のヒューストン公演は、アルバム発売からちょうど半年となる「北米#1」の最終日。“MERCURY FALLING Tour”では来日公演も実現したわけですが、本作はその直前となるコンサートでもありました。このショウはFM放送された事でも知られ、そのエアチェックが数々の既発群を生み出して来た大定番でした。本作もその放送サウンドボードではあるのですが、その最高峰クオリティを更新するもの。実のところ、このFMサウンドボードは2枚組の長尺バージョンも出回っているのですが、本作はそれとは別物。WESTWOOD ONEの名物番組“Superstar Concert”の放送前マスターから起こされた銘品なのです。実際、そのクオリティは過去最高。長尺マスターはmp3圧縮を経た歪みが発生していましたが、今回のプレFMマスターは放送電波を介していないだけではなく、完全なロスレス・マスター。ダビング痕も圧縮痕もなく、伸びるノートの端の端まで歪みのない艶やかさが素晴らしい。デジタル・リマスターもしていないのに輪郭もくっきりと鮮明で、従来の丸くシュワシュワと劣化したサウンドとは完全に別物なのです。そんな極上サウンドで描かれるのは、巨大ツアーを満喫するようなショウ。前述のように、本作はあくまで“Superstar Concert”のプレFMマスターであってフル収録ではないのですが、それでも約75分の放送枠に名曲がギッシリ。“MERCURY FALLING Tour”のサウンドボードと言えば、傑作『ROCK AM RING 1996』もお馴染み。ここでは比較しながらセットを整理してみましょう。ソロ(8曲)・マーキュリー・フォーリング:The Hounds Of Winter(★)/I Hung My Head(★)/You Still Touch Me(★)/Lithium Sunset(★)・テン・サマナーズ・テイルズ:Fields Of Gold(★)/If I Ever Lose My Faith In You(★)・その他:If You Love Somebody Set Them Free/Englishman In New York(★)ポリス(4曲+α)・ゴースト・イン・ザ・マシーン:Every Little Thing She Does Is Magic(★)/Demolition Man・シンクロニシティー:Synchronicity II/Every Breath You Take(★)・その他:Roxanne/Bring On The Night-When The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around ※注:「★」印は『ROCK AM RING 1996』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。『ROCK AM RING 1996』がやや物足りなかったせいもありますが、『MERCURY FALLING』の新曲をメインに幅広い名曲をたっぷり楽しめるのがご理解いただけるでしょう。ちなみに、放送から外されたのは5曲「I Was Brought To My Senses」「Let Your Soul Be Your Pilot」「Seven Days」「I’m So Happy That I Can’t Stop Crying」「Fragile」です。返す返すもカットは残念ではありますが、それを差し置いてもご紹介せずにはいられない極上のサウンドが素晴らしい。究極ジェネのプレFMマスターだからこそのリアルでナチュラルな美音が胸に染みるサウンドボード・アルバム。「1996年9月8日ヒューストン公演」の極上ステレオ・サウンドボード録音。名物番組“Superstar Concert”のプレFMマスターから起こされた最高峰クオリティ版で、圧縮痕のあった従来マスターとは一線を画するサウンドが絶大。伸びるノートの端の端まで歪みのない艶やかさが素晴らしく、当時ならではの『MERCURY FALLING』ナンバーもたっぷりのショウを楽しめる準オフィシャルの名作です。Cynthia Woods Mitchell Pavilion, Houston, TX, USA 8th September 1996 STEREO SBD Westwood One Superstar Concert Series for broadcast the week of 21st July 1997 (74:55) 00. J.J. Jackson Broadcast Introduction 01. The Hounds Of Winter 02. I Hung My Head 03. If You Love Somebody Set Them Free 04. Every Little Thing She Does Is Magic 05. Fields Of Gold 06. You Still Touch Me 07. Synchronicity II 08. Roxanne 09. Bring On The Night / When The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around 10. Demolition Man 11. Englishman In New York 12. If I Ever Lose My Faith In You 13. Every Breath You take 14. Lithium Sunset 15. End Credits STEREO SOUNDBOARD RECORDING Sing - bass guitar, vocals Dominic Miller - guitar Kenny Kirkland - keyboards Vinnie Colaiuta - drums Clark Gayton - trombone Conrad "Butch" Thomas - saxophone