本作に吹き込まれているのは「1976年10月24日オッフェンバッハ公演」。その絶品オーディエンス録音です。このショウは本編解説の日程で言うところの「欧州#1」の9公演目。CDの2公演前にあたるコンサートでした。そんなショウを真空パックした本作は、きめ細やかな鳴りが美しい端正サウンド。CDは録音手法が分からないくらいの衝撃サウンドでしたが、こちらはオーディエンスらしいオーディエンス。もちろん、それはまったく欠点ではない。オンな芯は距離をほとんど感じさせないほど力強く、グイグイと前に迫ってくる。エッジに丸みのある鳴りは細やかなディテールまでは伝え切れていないものの、それも奇跡のチューリッヒ録音が相手というだけ。70年代オーディエンス基準に照らせば問題なし……いや、十二分に客録離れしているのです。しかも、本作はそんな名録音をベストとして知られるマスターで起こしており、さらに細心マスタリングで磨き直した最高峰更新盤なのです。原音ではヒスノイズがやや大きめでもありましたが、本作では演奏音に影響が出ないギリギリのノイズリダクションを施して緩和。さらに演奏をグッと前に出すバランス修正で元々の録音が持っていたダイレクト感を強調。原音の可能性を引き出し、格段に聴きやすいサウンドに仕上げているのです。そんなベスト・サウンドで描かれるのはCDと同等の大名演。さすがに2公演違いだけあってセットは同一。CDでは直近プロショットと比較しましたが、ここではオフィシャルの伝統盤『LIVE! BOOTLEG』との比較で整理し直してみましょう。ロックス(5曲)・Lick And A Promise(*)/Rats In The Cellar(*)/Last Child/Sick As A Dog/Get The Lead Out その他(11曲)・野獣生誕:Mama Kin/Write Me A Letter(*)/Dream On・飛べ!エアロスミス:S.O.S. (Too Bad)/Lord Of The Thighs/Same Old Song and Dance(*)/Train Kept A Rollin'・闇夜のヘヴィロック:Big Ten Inch Record(*)/Sweet Emotion/Walk This Way/Toys in the Attic※注:「*」印は伝統盤『LIVE! BOOTLEG』で聴けない曲。さすが長い歴史の間に幾多のマニア達に愛され、「ROCKS Tourの代表作」として君臨してきた名録音です。関係者録音という異常なCDの登場によって王座を追われはしましたが、コンサート客席のリアルな体験感という意味では未だ輝きを失ってはいません。ロック史に名高い“ROCKS Tour”の現場に居合わせられる貴重なフル・ライヴアルバム。Live at Stadthalle, Offenbach, West Germany 24th October 1976 PERFECT SOUND (68:48) 1. Intro 2. Mama Kin 3. Write Me A Letter 4. S.O.S. (Too Bad) 5. Lick And A Promise 6. Big Ten Inch Record 7. Sweet Emotion 8. Rats In The Cellar 9. Dream On 10. Lord Of The Thighs 11. Last Child 12. Walk This Way 13. Sick As A Dog 14. Same Old Song And Dance 15. Train Kept A Rollin' 16. Get The Lead Out 17. Toys In The Attic Steven Tyler - Vocals Joe Perry - Guitar Brad Whitford - Guitar Tom Hamilton - Bass Joey Kramer - Drums