マイク・ミラードによるムーディー・ブルースのライブ記録と言えば「L.A. FORUM 1974: MIKE MILLARD MASTER TAPES」、「LONG BEACH ARENA 1981: MIKE MILLARD 1ST GENERATION TAPES」そして「COSTA MESA 1990: MIKE MILLARD MASTER TAPES」といった極上タイトルが輩出されてまいりましたが、まるで歯抜けのようにアルバム「OCTAVE」を引っ提げたツアーの音源が欠けていたのです。ところがミラードはしっかり同ツアーの模様も録音してくれていました。公開されたのは1978年12月11日のLAフォーラム。そう「L.A. FORUM 1974」以来のフォーラムへの帰還を果たした日であり、なおかつ78年ツアーのラスト一日前(フォーラム二日連続)のステージをミラードが録音してくれたのでした。ジャスティン・ヘイワード曰くバンドとしては休養していただけだったのに、解散からの再結成にとられてしまった1978年の再始動。バンド創設者だったマイク・ピンダーが「OCTAVE」制作中に脱退するというハプニングが起きたものの、代わりにパトリック・モラーツという腕利きを迎えて新たな黄金時代が始まった年の終盤。録音された会場がLAフォーラム、しかも78年とくればミラードの長い録音キャリアの中で正に絶頂期であった70年代後半の真っただ中。それだけに今回も素晴らしいクオリティで捉えてくれました。JEMSによればこの日のミラードは前から二列目(!)を確保しての録音だったそうで、中でもレイ・トーマスのタンバリンに至っては生音で拾ってしまっている(!)ほど克明に聞き取れるレベル。問題はレイの目の前という位置にて録音されたせいでヘイワードとジョン・ロッジのボーカルが奥まった音像となってしまった。そこでJEMSチームは初の試みとして、最新のソフトを駆使して彼らのボーカルを浮き立たせる処理を施しています。それが威力を発揮してロッジやヘイワードが歌う曲になると彼らの声がしっかり聞き取れる。これは大正解な処理かと。74年までと違い、この頃になると日本では過去のバンド扱いされてしまったムーディーズですが、再始動を待ち望んでいたアメリカのオーディエンスは大いに熱狂してツアーは大盛況。それを物語るようにこの日も凄まじい盛り上がり。そこはミラード録音らしく、この盛り上がりが演奏を妨げることは一切ありません。またドラマーとしてのグレアム・エッジはこのツアーから「LONG DISTANCE VOYAGER」辺りまでがピークだったのではと思えるほど絶好調で、ピンダー在籍時の74年以前よりはるかに卓越したドラミングが圧巻。さらにピンダー脱退によってヘイワードのギターの比重が高まったアルバム「OCTAVE」でしたが、「Top Rank Suite」でのギターソロは絶品。憂いのある歌声とルックスが注目されがちな彼ですが、ギタリストとしても超一流であったことを思い知らされます。そしてモラーツの加入によって「Twilight Time」、さらにはエッジの語りをフィーチャーした「The Balance」といったピンダー期ナンバーがライブで演奏されるようになったものこのツアーの大きな魅力。翌年の「OCTAVE」ツアーからはシアトルのラジオ放送という定番が存在していますが、遂に78年のツアーを代表するライブ音源が最高のミラード録音にて登場しました!The Forum, Inglewood, CA, USA 11th December 1978 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (49:26) 1. Intro 2. Steppin' In A Slide Zone 3. Tuesday Afternoon 4. Twilight Time 5. The Day We Meet Again 6. The Story In Your Eyes 7. I'm Your Man 8. Top Rank Suite 9. Isn't Life Strange 10. I'll Be Level With You 11. Driftwood Disc 2 (46:51) 1. Gypsy 2. Survival 3. The Balance 4. I'm Just A Singer (In A Rock And Roll Band) 5. Nights In White Satin 6. Legend Of A Mind 7. Question 8. Ride my See-Saw Justin Hayward - vocals, guitar, keyboards John Lodge - vocals, bass, guitar Ray Thomas - vocals, flute, harmonica Patrick Moraz - keyboards, synthesizers Graeme Edge - drums, percussion, vocals