『ANIMALS』に伴う“IN THE FLESH Tour”の秘宝音源がブラッシュアップ。「GRAF ZEPPELIN」による細密マスタリングで磨き上げられた最高峰更新盤が登場です。そんな本作が吹き込まれたのは「1977年6月19日シカゴ公演」。そのベスト・オーディエンス録音です。PINK FLOYDのオールキャリアを徹底アーカイヴしており、当然“IN THE FLESH Tour”も様々な名作をご紹介してきました。ここでその一覧を載せる……には多すぎますので、まずはツアー全体像からショウのポジションを俯瞰してみましょう。《1月21日『アニマルズ』発売》・1月23日ー2月4日:欧州#1(9公演)・2月17日ー3月1日:欧州#2(11公演)・3月15日ー31日:英国(9公演)・4月22日ー5月12日:北米#1(12公演)←※ULTIMATE OAKLAND・6月15日ー7月6日:北米#2(14公演)←★ココ★ これが1977年のPINK FLOYD。本作のシカゴ公演は、その最終盤である「北米#2」の一幕。この「北米#2」は名録音の量産地帯として知られ、ツアー3大名作『ULTIMATE OAKLAND』『ULTIMATE BOSTON 1977』『ROAR ENDS』のうち後者2つが生まれてもいます。その中で本作はどんなポジションになるのか。「北米#2」レッグにフォーカスし、コレクションと照らし合わせてみましょう。・6月15日+17日(2公演)・6月19日:シカゴ公演 ←★本作★・6月21日+23日(2公演)・6月25日『ONE FLEW OVER THE BOARD(クリーヴランド)』・6月27日『ULTIMATE BOSTON 1977』・6月28日:フィラデルフィア公演・6月29日『PHILADELPHIA 1977 2ND NIGHT』・7月1日:MSG公演・7月2日『DEFINITIVE MSG 1977』・7月3日『MSG 1977 3RD NIGHT』・7月4日『MSG 1977 FINAL NIGHT』・7月6日『ROAR ENDS(モントリオール)』※各日とも代表的なプレス名盤のみ。8本ものライヴアルバムがひしめき合っており、本作が記録されたのはその中でも最も序盤。「北米#2」の3公演目で、『ULTIMATE BOSTON 1977』の約1週間前にあたるコンサートでした。他公演と同じように、このショウもいくつかの記録が知られていますが、ベスト・マスターを『CHICAGO 1977』としてご紹介してきました。本作も同じマスターではありますが、他の記録も活用して最長/最高峰サウンドを更新した決定盤なのです。その内容をご説明する為にも、今回使用された3種のマスターを整理しておきましょう。A:Recorder 1(Neonknightマスター) このショウのベスト・マスター。ステレオ・サウンドが絶品で、前回作『CHICAGO 1977』と同様に本作のメイン音源でもある。B:Recorder 1(Weedwackerマスター) 「A」と同録音の経路違い。ジェネは良いが、かなりモノラル寄り。一部「A」で欠けたパートが残されていたので補填に使用。C:Recorder 2 上記と異なる完全な別録音。クリアで感触もオンだが、カットが多く、一部で酷い歪みも否めない。補填用に使用。……と、このようになっています。前回作『CHICAGO 1977』は「A」そのままでしたが、本作はさらに2種の録音を使用し、史上最長を更新しています。しかも、その補填は10秒20秒の話ではありません。開演前から6分以上も長ーく収録していますし、その他の曲間が何ヶ所も伸張している。さらに重要なのは肝心要の演奏パートも増量したこと。特に「Pigs (Three Different Ones)」は曲中2ヶ所のカットが補填され、1分37秒も長い完全版になったのです。そんな増量だけでも決定的ではありますが、本作はさらに全編を貫くサウンドも向上している。本稿に目を留められた方なら「GRAF ZEPPELIN」マスタリングの精度を実感されていると思いますが、今回特に絶妙なのはヒス・ノイズの処理でしょうか。ヒスは「A」マスターの特性でもあり、完全に除去しようとすると演奏音も変質させることになる。「GRAF ZEPPELIN」は、帯域分析の上で変質が発生するギリギリのラインを確定。その一歩……いや、半歩手前の寸止め処理に留めることで、演奏はナチュラルなままにノイズを可能な限り拭っているのです。特に大きいのは左チャンネル。「A」マスター最大の美点はステレオ感覚でもあり、厳密な位相補正と組み合わせる事で“IN THE FLESH Tour”特有の空間感覚を現場通りに味わえるようになったのです。定評のベスト・マスターを磨き込み、さらに別マスターも駆使することで実現した最高峰更新盤です。特に演奏パートを完全収録したのは、本作こそが史上初なのです。さすがに『ULTIMATE BOSTON 1977』の牙城を脅かすようなタイプではありませんが、シカゴ公演の頂点には違いない。46年の時空を超えて甦った現場サウンド。 (リマスター・メモ)★音源整理Rec1 1st Gen Weedwacker (2010) ・・・今回補填音源。 1st Genで鮮度は良いがモノ寄り/但しイントロなど長い箇所が複数あるため、最大限に活用 Rec1 2nd Gen Neonknight (2015) ・・・既発Sigma 147 今回もメインのステレオ音源 Rec2 Low Gen(2000年代前半)・・・今回補填音源。クリアで非常に近いが、演奏部などにザラっとした歪みの頻発するソース。カットも多い ★Rec1 2nd Genをベースに二種類のサブ音源で補填し全曲完全収録を初めて実現 ★位相修正 ★メインソースはヒスが目立ちますので帯域分析のうえ左chを中心に補正★「1977年6月19日シカゴ公演」の最高峰オーディエンス録音。前回作『CHICAGO 1977』でもお馴染みのベスト・マスターを「GRAF ZEPPELIN」が磨き込み、他マスターも駆使して実現した最長・最高峰更新盤です。録音時間の拡張は目覚ましく、開演前から6分以上も長ーく収録していますし、演奏パートは完全収録を実現。特に「Pigs (Three Different Ones)」は曲中2ヶ所のカットが補填され、1分37秒も長くなっています。シカゴ公演の高みを一気に引き上げたアップグレード盤です。Soldier Field, Chicago, IL, USA 19th June 1977 TRULY PERFECT SOUND (UPGRADE) Disc 1 (59:51) 1. Introduction ★0:00-6:11Weedで補填。開始前がかなり長く収録されてるのは貴重 2. Sheep 3. Pigs On The Wing 1 4. Dogs ★16:56-17:13(演奏後)Weedで補填 5. Pigs On The Wing 2 6. Pigs (Three Different Ones) ★5:23-6:48 / 13:46-13:58Rec2で補填 Disc 2 (67:25) 1. Shine On You Crazy Diamond Parts 1-5 ★0:00-0:15 / 13:37-13:44Weedで補填 2. Welcome To The Machine 3. Have A Cigar 4. Wish You Were Here ★6:01-6:06Rec2 / 6:06以降Weedで補填 5. Shine On You Crazy Diamond Parts 6-9 ★0:00-0:02Weed / 0:02-0:23Rec2 / 19:45以降(演奏後曲間)Weedで補填 6. Money ★11:06以降(演奏後)Weedで補填