あの1986年「ロスキルデ・フェスティバル」の、ステレオ・サウンドボード・マスターを入手! 2014年5月にリリースし、そのハイクオリティが評価され完売した超高音質オーディエンス録音「ROSKILDE FESTIVAL 1986」。このタイトルは1986年7月4日にデンマークで開催された「ロスキルデ・フェスティバル」に出演したクラプトンと彼のニューバンドのパフォーマンスを捉えたもので、一聴すると、サウンドボードではないのかと聞き違えるほどの、非常にクリアで楽音が目の前で鳴っているかのようなオンな音像、抜群のステレオ・オーディエンス録音の完全収録盤でした。それ以前には、サウンドボード録音の不完全収録盤(頭がカットイン、そして終盤の聴かせどころであるCocaine以降が未収録という、何とも残念なPAアウトもの)が存在していましたが、それを補って余りあるクオリティと内容でサウンドボードを凌駕したタイトルでした。ところがこのたび、お馴染みのイギリス在住の重鎮テーパーから、そのサウンドボード・マスターがもたらされたのです。音質はまさにオフィシャル級。カット部分がなければ完璧なクオリティのマスターです。そこで既発盤「ROSKILDE FESTIVAL 1986」の極上オーディエンスマスターの登場です。サウンドボードマスターの欠落箇所(ソングリストに記しています)に、この極上ステレオ・オーディエンスマスターを補填して完璧な内容にしました。オーディエンスマスターは極めて音質が良いので、サウンドボードと繋げてもほぼ不自然さは感じられません。既発盤をお持ちの方も、当音源の決定盤として評価いただけるでしょうし、初めて聴かれる方もオフィシャル盤「モントルー・ジャズ・フェスティバル」並みのクオリティで楽しんでいただけます。1986年ツアーの代表的タイトルと断言できるクオリティです。AUGUSTツアー最初期の貴重なステージ それではここで、このツアーのベースとなったアルバム「AUGUST」のレコーディングからのこの年のクラプトンの活動をおさらいしましょう。それは以下でした。・1986年2月23日:ロンドンの「100 CLUB」で開催された、故イアン・スチュワート(ローリング・ストーンズの実質6人目のメンバー)の追悼コンサートに出演・1986年2月25日:ロンドンのケンジントン・ルーフガーデンズ・クラブから生中継された「グラミー賞」セレモニーで、ローリング・ストーンズへの「特別生涯功労賞」のプレゼンターを務める ≪1986年4月〜5月:アルバム「AUGUST」のレコーディング≫・1986年4月6日:ロンドンで開催された「コメディ・エイド」に飛入り出演・1986年6月20日:ロンドンのウェンブリー・アリーナで行なわれた「プリンシズ・トラスト10周年記念コンサート」に出演 ・1986年7月3日〜15日:ヨーロッパでのジャズフェスティバルに出演するため短期ツアーを実施 ←★ココ★・1986年8月14日:ロンドンのケンジントン・ルーフ・ガーデンにて、プリンスとジャムセッション ・1986年8月15日:イギリス、フィンチレーのクリケットクラブにて行なわれたチャリティイベントに出演し、チキン・シャックのスタン・ウェッブとセッション・1986年8月15日:ロンドンのクラブ、ロニー・スコッツにて、新曲Tearing Us Apartのプロモーションクリップを撮影(スタジオバージョンでデュエットしているティナ・ターナー役は代役のモデルを立てて撮影した)・1986年8月27日、28日:ロンドンのタウンハウス・スタジオにて、急遽渡英してきたボブ・ディランとサントラアルバムのレコーディングを行なう・1986年9月:映画「ハスラー2」のサントラ盤のため、It’s In The Way That You Use Itをレコーディング(この曲は最終的にアルバム「AUGUST」にも収録された)≪1986年10月1日:アルバム「AUGUST」リリース≫・1986年10月16日:アメリカ、セントルイスのフォックスシアターにて行なわれたチャック・ベリーの生誕60年祝賀コンサートに出演(この模様は映像収録され、キース・リチャーズが指揮を執って制作したベリーの伝記映画に使用された)・1986年10月27日:アメリカ、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行なわれたライオネル・リッチーのコンサートに飛入り参加・1986年10月29日:アメリカ、ニューヨークのNBCテレビジョンスタジオで行なわれた音楽番組「ナイトライフ」に出演・1986年11月8日:ロンドンのクラブ「ミーン・フィドラー」にて行なわれたロバート・クレイのギグに飛入り参加・1986年11月20日、21日:アメリカ、ボストンのクラブ「メトロ」に出演・1986年11月23日、24日:アメリカ、ニューヨークのクラブ「ザ・リッツ」の?落しギグに出演(23日にはローリング・ストーンズのキース・リチャーズが飛入り参加した)・1986年12月8日〜16日:ロンドンのタウンハウス・スタジオにて、映画「リーサル・ウェポン」のサントラをレコーディング・1986年12月23日:イギリス、サリー州ダンズフォールドのヴィレッジホールにて行なわれたゲイリー・ブルッカーのチャリティコンサートに出演 チャリティを含むイベントにも多く出演した多忙な一年でしたが、トピックは、前年、アルバム「BEHIND THE SUN」のリリースに向けて、ロサンゼルスで追加セッションを行なったクラプトンは、そこで知り合った「チームA」と呼ばれた現地の名セッションマン、ネイザン・イースト(ベース)とグレッグ・フィリンゲインズ(キーボード)と意気投合し、それまでのサポートバンドのメンバーと袂を分かち、彼らをニューアルバムのレコーディングに招いたことでした。プロデューサーは前作に続き、友人ミュージシャンのフィル・コリンズを起用、ロサンゼルスのサンセット・サウンド・スタジオにてレコーディングを行ないました。クラプトンがノリにノッていたため、楽曲も次々生まれ、レコーディングは2週間で終了したと言います。そして新メンバーとのプレイ意欲旺盛だったクラプトンは、アルバムのリリースを待たず、7月に開催されるヨーロッパ各国でのジャズ・フェスティバルを回る短期ツアーを実施しました。アルバムのリリース前に新曲でセットリストを構成したツアーを行なったことは、過去には74年のカムバックツアー、77年のジャパンツアーくらいでした。それくらいクラプトンは新曲を披露したくてウズウズしていたということでしょう。オフィシャルでリリースされている「モントルー・ジャズ・フェスティバル」もこのツアーからのライブ作品ですが、本作の日はそれよりも1曲After Midnightが多いセットリストとなっていました。このAfter Midnightのテンポとリズムはこの時だけのレアなアレンジです。ニューアルバムからのナンバーは、Wanna Make Love To You(この曲は最終的にIt’s In The Way That You Use Itとの入れ替えで、アルバム収録からはずされましたが)、 Run、Miss You、Tearing Us Apart、Holy Mother、Behind The Maskの6曲。躍動する二人の黒人ミュージシャンに刺激を受け、クラプトンも弾き捲っています。面白いのは、この二人に影響され、新曲およびこれまでの代表曲の印象がブラックコンテンポラリー風のテイストに変わっていることです。イーストはチョッパー奏法も決めるフュージョン風のプレイ、フィリンゲインズもジャジーなコードとシンセを多用して、クラプトンの楽曲に新風を吹き込んでいます。十八番のCrossroadsから始まるステージは新鮮で、クラプトンのやる気がひしひしと感じられます。White Room、I Shot The Sheriffの切れ味も最高。 Same Old Bluesは、前年の演奏よりもはるかに拡大された長尺バージョンとなっています。クラプトン談によると、イーストと フィリンゲインズはジャズ、フュージョン畑の人たちだったため、プリミティヴなブルースの素養がなく、この曲を演奏することで自分たちのルーツに関する意識が明らかに変わった、という瞬間があったそうです。互いに刺激を与え合う理想的なバンドがこの年に誕生したのです。YMOのBehind The Maskは、アルバムにも収録された意外なナンバーですが、ここではグレッグ・フィリンゲインズがボーカルをとっています。これには実は裏話があります。フィリンゲインズはこれ以前にマイケル・ジャクソンにこの曲を提言し、マイケルは歌詞まで書いたのですが、結局アルバムには収められませんでした。それでフィリンゲインズがもらい受ける形で自身のソロアルバム「PULSE」に収録しました。クラプトンとのセッションに当たり、フィリンゲインズはクラプトンにも再度この曲を提案し、クラプトンは採用しました。しかし初期のライブステージでは、その立役者であるフィリンゲインズをフィーチャーしてやろうというクラプトンの気遣いで彼がボーカルをとっているというわけです。実力派精鋭ミュージシャンで固められたバンドメンバー ニューバンドのメンバーに抜擢された黒人ミュージシャンは、日本にも馴染みのある人たちでした。ネイザン・イーストは、L.A.の一流セッションミュージシャンとして名を馳せていた84年、ケヴィン・ベーコン主演で日本でも大ヒットした青春映画「フットルース」のテーマ曲にも参加し、これを歌ったケニー・ロギンスの日本公演のメンバーとして既に来日経験があり、日本のテレビにも出演していました。グレッグ・フィリンゲインズは、あのマイケル・ジャクソンの音楽監督として重責を果たしていた人物でした。共に主役を陰で支える役割ながら、その実力は折り紙付きだったのです。そしてこのツアーのもう一つの魅力は、ドラムがフィル・コリンズだったことです。古くはイギリスのプログレバンド、ジェネシスのドラマーとして活躍し、その後はバンドの中心人物となり、ソロでも大ブレイクした人です。クラプトンとは家が近かったというよしみで知り合い、親しくなったとのことです。79年にはコリンズのファーストソロアルバムにクラプトンが参加したりして、音楽面でも接点ができ、80年代半ば、コンピューターやエコーマシーン全盛の時代に逸早くサウンドを確立したコリンズに、自分の新境地を開拓してもらおうとクラプトンが考え、プロデュースを依頼したのが「BEHIND THE SUN」でした。その仕事ぶりを気に入り、「AUGUST」でもプルデュースを依頼しましたが、何とコリンズは全曲でドラムも叩くという入れ込みようでした。そしてレコーディング完了後のこのツアーにも、そのまま参加したという流れでした。ブラックミュージックが大好きなコリンズだけに、新加入の二人はコリンズにもはまったのでしょう。まさに精鋭4人が研ぎ澄まされたパフォーマンスを展開するこのステージ。聴きものです。余談ですが、Further On Up The Roadでのクラプトンによるメンバー紹介を聞いても、サポートメンバーは彼ら三人だけなのですが、なぜかWanna Make Love To Youには女性コーラスが入っています。この曲だけです(厳密にはBehind The Maskにも入っているのですが、これはフィリンゲインズが仕込んだ、いかにもシーケンサーという感じなので、この際除外しますが)。何故でしょう?それならばSame Old BluesやTearing Us Apartでも起用すればよかったものを・・・。ひょっとすると、この曲だけクラプトンが必要だと感じて、女性コーラスのテープを流す演出をしたのかもしれません。真相は不明ですが・・・。 ブラッキーに代わるニューギターでの最初のツアー「AUGUST」のレコーディングとこのツアーでは、クラプトンはブラッキー・ストラトに代わり、新しくフェンダーが開発したカスタムメイドのストラトを使用し始めました。ブラッキーのネックがへたり、プレイにも支障が出てきたことで決断したとのことですが、レースセンサーピックアップを搭載したニューストラトは、ヴィンテージのブラッキーとはまったく異なるトーンを生み出しました。トレブリーでブライト、派手なトーンと言えばいいでしょうか。ブラッキーの枯れたハーフトーンサウンドとは異質のこのトーンは、「AUGUST」の楽曲にはぴったりはまっていましたし、このステージでもクラプトンのアグレッシヴさを表現するには最適でした。このカスタムモデルのカラーは、フェラーリレッド、セヴンアップグリーン、ピューターグレイの3色が用意されたのですが、アルバムとこのツアーでは、クラプトンはフェラーリレッドを使用しました。ギター、メンバーと共に、本作は「新生クラプトン」が楽しめる格好のライブ音源と言えます。いろいろな意味ではずせない、クラプトンのキャリア上新機軸となった重要な節目のサウンドボード音源。Live at Roskilde Festival, Roskilde, Denmark 4th July 1986 STEREO SBD(from Original Masters) Disc 1 (59:37) 1. Intro ★全部 AUD補填 2. Crossroads ★0:00 - 1:17 AUD補填 3. White Room 4. I Shot The Sheriff 5. Wanna Make Love To You 6. Run 7. After Midnight 8. Same Old Blues ★10:00 - 最後まで AUD補填 9. Miss You ★0:00 - 0:05 AUD補填 10. Tearing Us Apart Disc 2 (57:31) 1. Holy Mother 2. Behind The Mask 3. Badge 4. Let It Rain ★5:00 - 5:11 AUD補填 5. In The Air Tonight ★6:02 以降 AUD補填 6. Cocaine ★全部 AUD補填 ●5:46テープチェンジ 短くクロスフェード処理 7. Layla ★全部 AUD補填 ●8:01テープチェンジ 短くクロスフェード処理 8. Sunshine Of Your Love ★全部 AUD補填 9. Band Introduction ★全部 AUD補填 10. Further On Up The Road ★全部 AUD補填 STEREO SOUNDBOARD RECORDING Eric Clapton - Guitar, Vocals Greg Phillinganes - Keyboards Nathan East - Bass Phil Collins - Drums, Vocals