最高傑作『SYNCHRONICITY』と共に時代の寵児となった1983年のTHE POLICE。絶頂の生演奏を脳みそに流し込んでくれるサウンドボード・アルバムが登場。そんな本作に刻まれているのは「1983年8月2日モントリオール公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。“SYNCHRONICITY Tour”と言えば、公式作『LIVE!』『SYNCHRONICITY CONCERT』ともなったアトランタ公演が象徴となっておりますが、本作とはやや時期が異なる。まずはワールド・ツアーの全体像を俯瞰し、それぞれの位置関係からショウのポジションもイメージしてみましょう。1983年《6月1日『SYNCHRONICITY』発売》・7月23日ー9月11日:北米#1(31公演)←★ココ★・9月17日ー10月14日:欧州(18公演)・10月28日ー11月28日:北米#2(21公演)←※公式・12月8日ー31日:英国(16公演)1984年・1月30日+31日:イタリア(2公演)・2月4日ー25日:北米#3(14公演)・2月29日ー3月4日:オセアニア(3公演)《THE POLICE活動停止》これが1983年/1984年のTHE POLICE。大洋を行き来しながら北米と欧州を行ったり来たり。公式作のアトランタ公演は「北米#2」でしたが、本作のモントリオール公演はその3ヶ月前。「北米#1」の7公演目にあたるコンサートでした。スティングは、この「北米#1」の“シェイ・スタジアム”公演でTHE POLICE解散を決意した(SHEA STADIUM 1983』でお楽しみ頂けます)と言われていますが、本作はその約2週間前でもありました。そんなショウはTV放送されたことで知られ、数々の既発群を生み出して来た定番。本作はその音声サウンドボードなのです。定番映像だけに録画違いやジェネ違い、経路違いで様々なマスターがあるわけですが、本作はその中でもサウンド面でベストとされるものからCD化されている。TV放送では所々でインタビューも挿入されていましたが、本作ではそうしたシーンもキレイに削除。音楽アルバムとして楽しめるように仕上げられています。実際、本作は元がTV放送とは思えないほど見事なライヴアルバム。普通、80年代のTV放送と言えばモノラルがほとんどでしたし、エアチェック・テープも受信ノイズやテープ劣化があっても当たり前。映像なら見ていられても、音声だけに集中すると厳しい事が珍しくありません。しかし、本作はステレオ感も見事ですし、劣化や不安定さがまるでない。ひたすら美しく艶やかで、それこそFM放送の原盤起こしかのような瑞々しさ。音声だけで録音したのか、あるいは映像トラックに傷でもあったのかは分かりませんが、あえて映像ではなくライヴアルバムとして流通したのも納得の極上サウンドです。そんな美麗サウンドボードで描かれるのは、栄光の“SYNCHRONICITY Tour”のエッセンスを濃縮したセット。ここで公式盤『LIVE!』のDISC 2(1983年アトランタ)と比較しながら整理してみましょう。シンクロニシティー(7曲)・Synchronicity I/Synchronicity II/Walking In Your Footsteps/Wrapped Around Your Finger/Tea In The Sahara/Every Breath You Take/King Of Pai その他(6曲+α)・アウトランドス・ダムール:Hole in My Life(★)/Roxanne/So Lonely/Can't Stand Losin' You (incl. Reggatta de Blanc)・その他:Message In A Bottle/Spirits In The Material World ※注:「★」印は『LIVE!』のアトランタ公演では聴けなかった曲。 ……と、このようになっています。約64分の放送枠に沿った内容はフルショウとはかけ離れているわけですが、その濃縮された時間内に『SYNCHRONICITY』ナンバーとクラシックスが約半々で詰め込まれています。そんなセット以上に重要なのが演奏そのもの。前述したように、本作のモントリオール公演はツアー序盤の7公演目。ライヴの得意なバンドでもツアー開始時には緊張で演奏が堅くなりがちで、一般的に5公演目くらいから本領を発揮するもの。7公演目というタイミングは、ツアー疲れなど微塵もなく、今まさにエンジンが全力全開に入ったばかりという一番オイシイ時期なのです。しかも、解散を決意した“シェイ・スタジアム”公演よりも前。キャリアの頂上に限りなく近づきつつ、あくまでまだ上り坂の最中だった。まさに歴史的にも二度とないベストな刹那だったわけです。極上のマルチカメラ映像ですら邪魔に思えるほど見事なサウンドボード音声。そのベスト・マスターから生まれたライヴアルバムの大傑作です。あと少しで歴史的な絶頂に手が届くという寸前の生演奏。「1983年8月2日モントリオール公演」のステレオ・サウンドボード録音。TV放送の音声トラックながら、ベスト・マスターから仕上げられたサウンドは極上。ステレオ感も見事ですし、ひたすら美しく艶やかで、それこそFM放送の原盤起こしかのよう。インタビューも綺麗に編集削除され、ライヴアルバムとしての完成度もピカイチ。栄光のSYNCHRONICITY Tourでありつつ、まだ解散を決意していなかった最後の上り坂ステージを楽しめます。Le Spectrum, Montreal, QC, Canada 2nd August 1983 STEREO SBD(UPGRADE) (64:24) 1. Synchronicity I 2. Synchronicity II 3. Walking in Your Footsteps 4. Message in a Bottle 5. Wrapped Around Your Finger 6. Tea in the Sahara 7. Spirits in the Material World 8. Hole in My Life 9. Every Breath You Take 10. Roxanne 11. Can't Stand Losing You / Reggatta de Blanc 12. King of Pain 13. So Lonely STEREO SOUNDBOARD RECORDING Sting - bass, vocals Andy Summers - guitars Stewart Copeland - drums