近年になって登場したペイジ・プラント1998年のラス・ベガス公演は映像込みの収録であったことから音源と合わせてそれぞれが流出したにもかかわらず、悲しいかなマニアの話題にのぼることがほとんどありませんでした。つい最近でも大手トレント・サイトに本サウンドボードのファイルが登場しましたが、そちらは98年のサウンドボード録音にもかかわらずピッチが速い、ディスク分割が変だわ、さらにアンコール歓声や終演後の歓声が欠落。とどめは音質そのものが落ちるというトンデモなバージョン。特にピッチと音質の両方に問題が生じていたということは、映像経由のVHSダビングを何度も経たバージョンであったことが伺えます。ところが今回リリースに向けて海外マニアから提供されたのは正に別次元のステレオ・サウンドボードDATマスター。先のようなアナログ・ダビングを介さない劣化なしの音質はあまりに鮮烈で、もうこのまま公式でリリースできてしまいそうなほど。これほどまでのクオリティのサウンドボードであればリリースは当然かと。98年プラント・ペイジのステレオ・サウンドボードと言えばツアー始動前のウォームアップをこれまた完璧なステレオ・サウンドボードにて収録、大ベストセラーと化した『SHEPHERDS BUSH 1998 MULTITRACK MASTER』が近年の定番でした。しかし今回はシェパーズ・ブッシュから半年、正にツアー真っただ中で脂が乗り切った演奏のアツさを最高のステレオ・サウンドボードにてドキュメントしてくれる驚きのアップグレードなのです。もっとも、2010年代に流出した本音源自体が見過ごされている感があり、今回の最高音質バージョンで初めて触れられる方が大半かもしれません。何より98年のペイジ・プラントが話題性優先からツアー序盤ばかりがリリースされてきた感が否めず、このツアー本来の魅力が伝わりづらかった。実際のところは1995年や96年のツアーにあった民族音楽風味が一掃され、全編を通してロックなサウンドを放ってくれていた点は今こそ再評価されるべき。それにしてもラス・ベガスでの演奏は激アツ。ツアー開始から半年が経過したからというのはもちろんですが、それ以前の大規模なツアーの経験が見事に反映されている。特にジミーは絶好調であり、これほどまで弾きまくっていたことは当時なかなか伝わって来なかった。もう「No Quarter」などZEP75年から77年を彷彿とさせるような弾きっぷりで、絶好調なジミーの横でロバートも実に気持ち良さそうに歌い上げる。さらに特筆すべきは彼らのロックで攻めな姿勢を刻み込んだ当時のアルバム『WALKING INTO CLARKSDALE』収録曲がライブ演奏を重ねて見事に進化している姿。特にアルバムタイトル曲や「When the World Was Young」の演奏は本当に素晴らしく、弾きまくるジミーやマイケル・リーの縦横無尽なドラムを聞かされると、これほどまで充実した演奏を展開していたのか?と新鮮に映ること間違いなし。そして本ツアーの目玉であった「How Many More Times」に至っては1969年や70年を彷彿とさせつつも、実に見事な1998年バージョンに仕上がっていたのです。この演奏が「Down By The Seaside」へとメドレーする展開も凄くいい。何しろ音質が完璧ですので、ツアー開始から半年が経過して絶頂にあったジミーのプレイを始めとした非常にテンションの高い演奏ぶりが分かりやすく伝わってくる。リーのドラムはZEPクラシックだけでなく『WALKING INTO CLARKSDALE』収録曲でいよいよ輝きを見せているのもこのツアーの大きな魅力。そしてツアー序盤は声のキレが今一つな日が散見されたロバートもここではエンジン全開。過去のレパートリー中心だった95年や96年と違い、新作スタジオ・アルバムを引っさげてのツアーということでジミーやロバートとしても現役感を押し出したステージの絶頂を見事に記録してくれた最高のステレオ・サウンドボード。それでいて単に音質が最高というだけにとどまりません MGM Grand Garden Arena, Las Vegas, NV, USA 23rd September 1998 STEREO SBD(from Original Masters) UPGRADE!!! Disc:1 (59:03) 1. Egyptian Intro 2. The Wanton Song 3. Bring It On Home 4. Heartbreaker 5. Ramble On 6. Walking Into Clarksdale 7. No Quarter 8. When the World Was Young 9. Going to California 10. Tangerine 11. Gallows Pole Disc:2 (61:05) 1. Heart in Your Hand 2. Babe, I'm Gonna Leave You 3. Band Introductions 4. How Many More Times 5. Most High 6. Whole Lotta Love 7. Thank You 8. Rock and Roll Jimmy Page - Guitars Robert Plant - Vocals Charlie Jones - Bass Michael Lee - Drums Philip Andrews - Keyboards STEREO SOUNDBOARD REC