相棒ニール・カーターを得て独自のハードロック流儀を完成させた『VICTIMS OF THE FUTURE』時代のゲイリー・ムーア。そのクレイジー・ギターを現場体験できる大元マスターが新発掘。2公演セットでリリース決定です。そんな本作が吹き込まれたのは「1984年5月24日/26日デイリーシティ公演」。その極上オーディエンス録音をディスク1枚ずつに配した2枚組です。相棒カーターを迎えたとは言え、1984年はまだまだリズム隊が流動的。わずかな時期の違いでメンバーも異なります。まずはコレクションを交えつつ、当時の活動概要を俯瞰してみましょう。1984年・1月16日ー2月17日:英国#1(13公演)←※CHIPPENHAM 1984《1月30日『VICTIMS OF THE FUTURE』発売》・2月24日ー29日:日本(5公演)←※PRAY FOR VICTIMS他・3月10日ー30日:欧州#1(17公演)←※LUND 1984《イアン・ペイス→ボビー・チョウナード交代》・5月8日ー7月7日:北米(39公演)←★ココ★《チョウナード→ポール・トンプソン交代》・8月15日ー9月2日:欧州#2(6公演)←※MONSTERS OF ROCK 1984《11月『Out In The Fields』製作》《クレイグ・グルーバー→ボブ・デイズリー交代》・12月12日ー20日:英国#2(5公演)←※EMERALD AISLES これが1984年のゲイリー・ムーア。4月にはDEEEP PURPLE再編のためにイアン・ペイスが去り、年末には第三の固定メンバーとも言うべきボブ・デイズリーが合流。本作のデイリーシティ公演は、その合間の「クレイグ・グルーバー/ボビー・チョウナード」編成。「北米」レッグの9公演目・11公演目でした。“カウ・パレス”では3夜連続公演となっており、本作はその初日・3日目でもあります(余談ですが、実は1984年の「北米」レッグこそゲイリーのソロ・キャリアでも最大の米国ツアー。わずか40公演弱で最大というだけでも、いかに彼の人生がヨーロッパ偏重だったのかが分かります)。そんな現場を真空パックした本作は極上級の銘品。テーパー本人が公開した大元マスターなのですが、オンな芯が実に強力で、スカスカ感皆無でグイグイと間近に迫ってくる。さらに空気感もクリスタル・クリアに透き通っており、細やかなディテールもえらくビビッド。判別にシビアな現代では音色のオーディエンス・テイストが見逃される事はないでしょうが、80年代/90年代だったら間違いなくサウンドボードとして流通していたであろう極太サウンドなのです。しかも、そのサウンドが2公演を丸ごと貫いている。実のところ、「5月26日(DISC 2)」録音はテーパーの隣にいる女性が終始狂ったように叫び続けていたりもしますが、演奏音はそれを遙かに圧倒するほど強靱。もちろん「5月24日(DISC 1)」には間近な嬌声がほとんどなく、更に一層サウンドボード的なライヴアルバムになっています。そんな極太サウンドで描かれるのは、ハード路線の2大名盤『CORRIDORS OF POWER』『VICTIMS OF THE FUTURE』を濃縮還元し、ステージ・テンションで爆上げしたステージ。「北米」レッグはRUSHのオープニング・アクトでショート・セットでして、50分尺の持ち時間に必殺曲を畳みかけています。その濃度を実感していただくためにも、ここでセットを整理しておきましょう。炎の舞(4曲+α)・Shapes Of Things/Murder In The Skies/Victims Of The Future/(So Far Away) Empty Rooms その他(4曲)・G-FORCE:White Knuckles(★)・大いなる野望:Don't Take Me For A Loser(★)/End Of The World/Rockin' Every Night ※注:「★」印はこのツアーまでの限定曲。……と、このようになっています。1公演9曲のステージはさすがに短いものの、だからこそ途切れない緊張感がスゴい。ハードロック時代のゲイリーと言えば、アイリッシュ路線も人気ですが、本作の彼は「ギター・クレイジー」そのもの。猛烈なマシンガン速射をぶちまけ、豪快なチョーキングとヴィヴラートで泣きじゃくる。あくまで「Out in the Fields以前」にこだわるマニアがいるのも納得せざるを得ない灼熱のライヴなのです。そんな大熱演に加え、「5月26日(DISC 2)」にはビッグなゲストも待ち構えている。ラストの「Rockin' Every Night」でJOURNEYのニール・ショーンが登場。豪華なギターヒーローのバトルが楽しめるのです。レア曲なしのショート・セットと「5月26日(DISC 2)」の絶叫女もあってShadesレーベルからのご紹介となりましたが、本作に詰まった激アツな生演奏と極上サウンドは間違いなくプレス級です。本質を鋭く見に抜く目利きのマニアにはぜひ体験していただきたい2枚組。「1984年5月24日/26日デイリーシティ公演」の極上オーディエンス録音。テーパー本人が公開した大元マスターで、オンな芯が実に強力。スカスカ感皆無でグイグイと間近に迫ってくる。80年代当時だったら間違いなくサウンドボードとして流通していたであろう極太サウンドです。RUSHの前座ゆえにショート・セットではありますが、短いからこそ途切れない緊張感が凄まじく、「5月26日(DISC 2)」ではニール・ショーンとのゲスト共演も楽しめます。Cow Palace, Daly City, CA, USA 24th & 26th May 1984 TRULY PERFECT SOUND Disc:1 (47:32) Cow Palace, Daly City, CA, USA 24th May 1984 1. Intro 2. Don't Take Me For A Loser 3. Shapes Of Things 4. Murder In The Skies 5. Victims Of The Future 6. So Far Away/Empty Rooms 7. White Knuckles 8. End Of The World 9. Rockin' Every Night Disc:2 (46:29) Cow Palace, Daly City, CA, USA 26th May 1984 1. Intro 2. Don't Take Me For A Loser 3. Shapes Of Things 4. Murder In The Skies 5. Victims Of The Future 6. So Far Away/Empty Rooms 7. White Knuckles 8. End Of The World 9. Rockin' Every Night (with Neal Schon) Gary Moore - Guitar, Vocals Graig Gruber - Bass Neil Carter - Keyboards, Guitar, Vocals Bobby Chouinard - Drums★