世紀のコンセプト・ライヴの完全映像がリリース決定です。本作は「RADIO K.A.O.S.」に伴うツアーから「1987 年11月6日ケベック公演」をシュートした客席映像。ただでさえ貴重な“RADIO K.A.O.S.ツアー”の一部始終を目撃できるだけでなく、極めて珍しい「Another Brick Jam」まで収録した決定的タイトルです。コンセプト・ライヴの多いロジャー・ウォーターズですが、その中でも“RADIO K.A.O.S.ツアー”は特別。他のコンセプト・ライヴは、“アルバムの完全再現パート”と“グレイテスト・ヒッツのお楽しみパート”が分断されていま すが、このツアーでは、エンターテインメントとストーリーが融合している。アルバムが架空のラジオ局「RADIO K.A.O.S.」をモチーフにしていることで、ストーリーの中に過去のヒット曲を自然と混ぜることができたのです。その「RADIO K.A.O.S.」のあらすじを簡単にご説明しますと…… ラジオ局「RADIO K.A.O.S.」の人気D.J.ジムと、植物人間でありながら超能力を持つ少年ビリーによる物語。ビリーは、生身でラジオ電波を交信でき、D.J.ジム と交信を重ねていくうち、その超能力はどんどん強力になっていく。物語は、第二次大戦中の原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」やレーガン大統領、 サッチャー首相ら、当時の政治家を交えながら、核の脅威が描かれる。終盤には、ビリーの超能力は政府のスーパーコンピュータを操作できるほど強力になり、 核兵器を制御して世界の混乱を収め、大団円を迎える。 ライヴもこうしたストーリーを展開させ、アルバム「RADIO K.A.O.S.」全曲が披露されます。しかし、単なるアルバム再現ではなく、そこにラジオから流れる設定で過去のヒット曲が演奏されるのです。コンセプ ト・アルバムの始祖「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」を彷彿とさせる手法であり、その伝統をコンサートの次元で表現している。ここまで完成度の高いショウは、ロジャーのキャリアでも唯一無二ではな いでしょうか。実際、本作は開演を告げるDJとビリーのマシン・ヴォイスによる会話からスタート。少々、画面が揺れるパートもありますが、ステージ正面の上方から見下 ろすアングルは観客の影ゼロ。ステージ全景を収めた視界は実に広々としており、見どころを逐一押さえていく。ロジャー自身や各楽器のソロシーンはもちろ ん、コーラス隊が歌うパートでさえ逃さないのですから、PINK FLOYDもソロ曲も総てを知り尽くしたマニアの撮影なのは間違いありません。こうなってくると、D.J.や円形スクリーンをふんだんに使った演出が素晴らしく活きてくる。アルバム「RADIO K.A.O.S.」も傑作でしたが、やや難解でもありました。ところが、「THE WALL」の発展形となるアニメーションやニュース映像が繰り出されることですんなりとストーリーに入り込めるのです。もちろん、過去局にはお馴染みの映 像もたっぷり。あの“金槌の行進”が映し出された際の盛り上がりようと言ったら!音声もまた実に素晴らしい。ロジャーの繊細なニュアンスさえ聴き取れるクリアな楽音はもちろんのこと、一緒に聞こえる歓声の生々しさが凄い。デイヴ・ギ ルモアの新生PINK FLOYDとバッティングし、商業的に惨敗だったと言われるツアーですが、本作から聞こえる大歓声は、そんな話がウソのような大盛況。しかも、巨大なス ケール感を感じさせながら、不思議と楽音を邪魔しない。上方から見下ろす位置のためか、大歓声の上に楽音が覆い被さるような感覚なのです。 「Another Brick In The Wall Pt. 2」では、あまりの大ウケにD.J.が「Thank you, thank you」を連呼するばかりで、なかなか先に進めなくなってしまいます。アルバム通り「The Tide Is Turning」でピースフルな大団円を迎え、ロジャーがギターを高々と掲げて本編セットは終了。アンコールは「狂気」の「Breathe」「Brain Damage/Eclipse」でお祭り騒ぎです。このツアーの音源・映像は、ほとんどがここで終焉なのですが、本作はまだ終わりません。その後、カメラ は会場をなめ回すのですが、客電が付いているというのに、会場中のスタンディングオベーションは鳴り止まず、誰も帰ろうとしない。その熱狂は、ついにはバ ンドを呼び戻し、貴重な「Another Brick Jam」を演奏させるのです。極めて貴重な上に、会場中が歌いまくる様も圧倒的なシーン。これは必見です!コンセプトアルバムの再現コンサートは、美しく完成されてはいても、先が見え見えな予定調和感も付きものです。ところが“RADIO K.A.O.S.ツアー”は、壮大なストーリーを表現しつつ、ライヴ本来のスリルや楽しさも存分に味わわせてくれる例外中の例外。本作は、その凄みを目で 見られるだけでなく、当時の生々しい反応もダイレクトに感じられる貴重な生録なのです。2015年秋、世紀の大コンセプト「THE WALL」のライヴ映画が公開されようとしています。はやる気持ちが抑えきれない方もさぞや多いと思いますが、そんな時だからこそ、また違った意味の完成 度を極めていた“RADIO K.A.O.S.ツアー”も思い起こしていただきたい。そのための傑作映像を、ぜひ。 The Forum, Montreal, Quebec, Canada 6th November 1987 AMAZING SHOT Disc 1(81:03) 1. Radio Waves 2. Welcome To The Machine 3. Who Needs Information 4. Money 5. In The Flesh? 6. Have A Cigar 7. Pigs (Three Different Ones) 8. Wish You Were Here 9. Mother 10. Molly's Song 11. Me Or Him 12. The Powers That Be 13. (Calls From The Hall) Going To Live In LA 14. Sunset Strip Disc 2(79:10) 1. Fish Report With A Beat 2. Get Your Filthy Hands Off My Desert 3. Southampton Dock 4. Arnold Layne 5. If 6. 5:06am (Every Strangers Eyes) 7. Not Now John 8. Another Brick In The Wall Pt. 1 9. The Happiest Days Of Our Lives 10. Another Brick In The Wall Pt. 2 11. Nobody Home 12. Home 13. Four Minutes 14. The Tide Is Turning 15. Breathe 16. Brain Damage 17. Eclipse 18. Another Brick Jam Roger Waters - Guitars, Bass, Vocals Jay Stapley - Guitars, Vocal Andy Fairweather-Low - Guitars, Vocal Mel Collins - Saxophone Graham Broad - Drums, Percussion Paul Carrack - Keyboards, Vocals Doreen Chanter – Vocals Katie Kissoon - Vocals COLOUR NTSC Approx. 160min.