2018年1月10日“ファスト”・エディ・クラーク死去。2015年の終わりにフィル・テイラーとレミーが続けざまに亡くなりましたが、それから丸2年と13日。“黄金のトリオ”と呼ばれた最後の1人までもが私たちの前から去ってしまいました。エディは享年67歳。肺炎で入院していましたが、そのまま安らかに息を引き取ったそうです。奇しくも前日には最後のギタリスト:フィル・キャンベルがレミー追悼公演の構想を明かしており、「元メンバーを集め、スケジュールを調整するつもりだ。レミーとバンドへの特別なトリビュートになるだろう」と語っており、エディの参加が注目されたばかりのことでした。レミーの死去を皮切りにミュージシャンの訃報ラッシュに苛まれましたが、それも落ち着きを見せたところでのエディの死去。もう慣れたつもりだったものの、はやり厳しい。なんともやるせない年明けとなってしまいました。“黄金のトリオ”の極上プロショットをご用意しました。本作に収められているのは「1980年8月20日ノッティンガム公演」。以前からマニア筋から「ACE OF SPADESの双子」「NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITHの映像版」と愛されてきた大傑作映像なのです。なぜ、そのように呼ばれるのか。まずは、彼らが全盛を極めていた1980年-1981年を振り返ってみましょう。 【1980年】・2月7日-3月25日:欧州#1(29公演)・4月20日-7月26日:欧州#2(4公演) 《8月4日『ACE OF SPADES』制作開始》・8月20日:ノッティンガム公演 ←ココが【本作】 《9月15日『ACE OF SPADES』完成》・10月22日-12月2日:英国#1(33公演) 【1981年】・2月6日-3月24日:欧州#3(19公演)・3月27日-4月6日:英国#2(5公演)←※極悪ライブ ・4月19日-7月26日:北米#1(59公演) 《6月27日『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』発売》・8月1日-23日:欧州#4(5公演)・11月20日-12月23日:欧州#5(23公演) これが“黄金のMOTORHEAD”が歩んだ2年間。本作のノッティンガム公演は、アルバム・ツアーの一貫ではなく、名盤『ACE OF SPADES』の制作中に1回だけ行われた特別公演。これが「ACE OF SPADESの双子」の所以なのです。そして、これまた大名盤『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH(極悪ライブ)』とも近い。歴史的ライヴアルバムが録音されたのは“1981年3月28日-30日”の3日間でしたが、本作はその約半年前にあたるのです。“黄金のトリオ”の決定映像と言えば、1982年トロント公演の『LIVE IN TORONTO 1982』もありますが、それよりもグッと近く、同じイギリスのライヴ。まさしく「NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITHの映像版」と呼ばれるに相応しいプロショットなのです。本作は、そんな大傑作・大定番の最高峰版。イギリスのテレビ番組“Rock Stage”の放送マスターからDVD化されたもので、ダビング劣化も経年劣化もまるで見られない。当然、画面にはフィルム感も漂いますが、それはむしろ80年代初期の薫りを伝える大事な要素。当時のテレビ電波が38年の時空を飛び越えて届いたようなリアルな映像美が広がるのです。そして、そのクオリティで描かれる“黄金のトリオ”もヴィンテージ。爆撃機が頭をかすめるセットも、オレンジ色に包まれた照明も、正しくあの『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』の世界。LPサイズのアートワークを見つめながら“動くMOTORHEAD”を想像したものですが、まったくそのまんまが目の前に現れるのです。そして、その光景の中でブチかまされるロックンロールもまた、『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』ばりの激走。先述の通り『ACE OF SPADES』制作の真っ最中だったわけですが、早くも「Shoot You In The Back」「Jailbait」を披露。この2曲は正真正銘の初演です。他にも「Overkill」「Metropolis」「Motorhead」では『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』の衝撃が蘇り、「Too Late Too Late」「Leaving Here」「Train Kept A Rollin’」では更なる秘宝ライヴに目が眩む。特に「Step Down」は『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』の拡張版2枚組でも聴けなかった曲ですが、アルバムと同じようにエディがリードを歌う姿が目撃できる。そして、「Bomber」では遂に爆撃機が闇を切り裂いて低空接近!まさしく「ACE OF SPADESの双子」であり、「NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITHの映像版」。その最高峰版プロショットです。向こうに去ってしまった黄金の3人。彼らが最高に輝いていた刹那を思い出し、もう一度逢える1枚です。しみったれていても仕方ない。MOTORHEADには似合わない。今週末はぜひ、爆音で本作をかけながらジャック&コークを飲ってください。 Live at Theatre Royal, Nottingham, England 20th August 1980 PRO-SHOT Broadcasted by Rock Stage 1981 1. Overkill 2. Too Late Too Late 3. Shoot You In The Back 4. Step Down 5. Jailbait 6. Leaving Here 7. Metropolis 8. Train Kept A Rollin' 9. Bomber 10. Motorhead Lemmy - Bass, Vocals Eddie Clarke - Guitar Phil Taylor - Drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 36min.