『神』の30周年でゲイリー・バーデンと共に来日を果たした2010年のマイケル・シェンカー。その極上プロショット映像が登場です。そんな本作に収められているのは「2010年1月13日:中野サンプラザ」公演。そのマルチカメラ・プロショットです。もうお気づきかと思いますが、このショウは『THE 30TH ANNIVERSARY CONCERT: LIVE IN TOKYO』としてオフィシャル作品化。現在でも定番として愛されています。本作は、そのコピー。。。ではありません。公式に商品化されるよりも半年以上も前に、某放送協会で放映された日本放送バージョンなのです。その気になる中身の前に、まずはショウのポジション。当時はゲイリーと再タッグを組んでから2度の来日が実現。良い機会ですので、ここで2回分をまとめて整理してみましょう。2008・8月25日:なんばHATCH・8月27日:ダイアモンドホール・8月28日+29日:中野サンプラザ(2公演)2010年・1月12日+13日:中野サンプラザ(2公演) ←★ココ★ ・1月14日:ダイアモンドホール・1月15日:なんばHATCH・1月17日:C.C.レモンホール(追加公演) 以上、2度の来日で全9公演。中野サンプラザでは4公演が行われており、本作は2010年編の2公演目にあたります。先述のように、このショウは公式に商品化されているわけですが、本作は別バージョン。もちろんライヴ自体は同じですし、ミックスもカメラワークも酷似。クオリティも完全オフィシャル級です。とは言え、やはりまったく同じではない。まず、カット割り。おおよそは公式版に準じるものの、部分的にには別カットを使用されている(「Let Sleeping Dogs Lie」のイントロ等が分かりやすいでしょう)。1つひとつは短いものですが、オフィシャルでは見られない光景がほとんど全曲に散りばめられています。そして、それ以上なのがインタビュー。実のところ、全12曲のボリュームも公式似は及ばなかったりもするのですが、その代わりに当日のインタビューを6カ所ほど挿入。マイケルだけでなく、メンバー全員に個別でインタビューしており、サイモン・フィリップスやニール・マーレイもマイケルとの出会いや参加の経緯を語っています。しかも、これが結構面白い。マイケルがゲイリーについて「ソウルフルでブルージー。驚くようなビブラートを持ち、心地よい声だった」と評したり、ジェフ・ベックやジミー・ペイジについて熱く語ったり。「キャリアのハイライトをマイケル・シェンカー・クラシックとしてスペシャルなバンドで演奏したい」と、現在のMSFを予言するようなコメントも話しています。さらに面白いのが10代の頃にストーンズから誘われたエピソード。いわく「ちょうどブライアン・ジョーンズの死亡直後」だったそうですが、そうなると1969年ですからマイケル14歳の夏。その一方でギターを始めたキッカケを「14歳の時、BLACK SABBATHやLED ZEPPELINといった人々が作った音を聴いた」とも語っている。総合すると、ギターを始めて数ヶ月でレコーディング経験もないドイツ少年がストーンズから誘われた……という凄い話になるわけです。その真偽はさておき、そうした秘話の数々が日本語字幕でビビッドに伝わってくるのです。そんなインタビューも必見ではありますが、やはり要なのはライヴ。先述の通り、公式版よりも曲数は少ないのですが、その分濃縮感はたっぷり。ここで、その内容も整理しておきましょう。 クラシックス(9曲)・現象:Rock Bottom・神:Armed and Ready/Cry for the Nations/Into the Arena/Lost Horizons・神話:Let Sleeping Dogs Lie/On and On/Attack of the Mad Axeman・限りなき戦い:Rock My Nights Away IN THE MIDST OF BEAUTY(3曲)・I Want You/A Night to Remember/Ride on My Way ……と、このようになっています。公式より短いとは言え12曲のボリュームがあり、ゲイリーと創り上げたアルバム4枚の名曲を濃縮還元。後年のMSFでも来日公演を映像作品化していますが、そこでは聴けない『IN THE MIDST OF BEAUTY』ナンバーや「Lost Horizons」「Rock My Nights Away」「On and On」も楽しめます。このショウからさらに10年。マイケルは、本作の予言通りにMSFとして来日を果たそうとしています。オリジナルMSGの再来でもありMSFの原型でもあった30周年コンサートを、オフィシャル作品とは異なる編集で組み上げられた1枚です。 Live at Nakano Sun Plaza, Tokyo, Japan 13th January 2010 PRO-SHOT The 30th Anniversary Concert Broadcast Date: 27th March 2010 1. Intro 2. Armed and Ready 3. Interview (Michael Schenker) 4. Cry for the Nations 5. Let Sleeping Dogs Lie 6. Interview (Michael Schenker / Gary Barden) 7. I Want You 8. A Night to Remember 9. Into the Arena 10. Interview (Simon Phillips / Neil Murray) 11. Guitar Intro 12. Lost Horizons 13. Interview (Michael Schenker) 14. Rock My Nights Away 15. Interview (Michael Schenker / Wayne Findlay) 16. On and On 17. Attack of the Mad Axeman 18. Interview (Michael Schenker) 19. Ride on My Way 20. Rock Bottom 21. Lipstick Traces (Outro) Michael Schenker - guitars Gary Barden - vocals Neil Murray - bass Simon Phillips - drums Wayne Findlay - keyboards, rhythm guitars, backing vocals PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.89min.