新型コロナ・パンデミックに対抗するチャリティとして立ち上げられ、絶大なクオリティで衝撃を振りまいているエルトン・ジョンの“CLASSIC CONCERT SERIES”。おの第二弾となる1986年の極上プロショットが登場です。このシリーズは、まさに衝撃でした。2020年7月になってエルトンが発表したプロジェクトで、6回に渡ってキャリアの節目となった記念碑コンサートの映像を配信するというもの。もちろん、大定番ですからそれだけなら大した意味はないのですが、実際に公開されたクオリティが事情を一変させた。エルトン所蔵の大元マスターなのはもちろんのこと、最新デジタル技術で磨き込まれたと思しき映像美は、間違いなく過去最高峰。問答無用の完全オフィシャル作品クラスであり、そのままリリース可能……と言いますか、「ここまで磨き込んでおいて限定配信!?」と驚くレベル。第一弾の『EDINBURGH 1976』で、その衝撃を実感された方も多いのではないでしょうか。そして、本作はそのシリーズ第二弾。オーケストラ共演コンサートとなった「1986年12月14日シドニー公演」のマルチカメラ・プロショットです。1986年と言えば“ICE ON FIRE TOUR”が行われ、『LEATHER JACKETS』がリリースされたことでも記憶される年ですが、本作はそのどちらとも異なるプロジェクト。まずは、その事情を把握するためにも当時のスケジュールから振り返ってみましょう。1985年《11月7日『ICE ON FIRE』発売》・11月14日-12月31日:英国(32公演)1986年・1月3日-11日:英国(8公演)・3月1日-4月26日:欧州(41公演)・8月17日-10月15日:北米(41公演)《10月15日『LEATHER JACKETS』発売》“TOUR DE FORCE TOUR” ・11月5日-12月14日:豪州(28公演)←★ココ★ これが1985年/1986年のエルトン・ジョン。1985年秋にリリースされた『ICE ON FIRE』に伴うワールド・ツアーは1年に及び、その終了と同時に『LEATHER JACKETS』を発表。しかし、アルバムのツアーは行われず、代わって実施されたのはメルボルン・シンフォニー・オーケストラとの共演ツアー“TOUR DE FORCE”。オーストラリアだけで28公演が行われました。そのハイライトはシドニーでの13連続公演で、その最終日はライヴアルバム『LIVE IN AUSTRALIA WITH THE MELBOURNE SYMPHONY ORCHESTRA』としても大ヒット。当時、映像編もVHS/レーザーディスクでリリースされましたが、本作はそのアップグレード版というわけです。そのクオリティ関しては繰り返しになるので避けますが、ざっくばらんに言って完璧・鉄壁・完全無欠。第一弾『EDINBURGH 1976』にも劣らぬ素晴らしさです。その映像美で描かれるのは、壮麗豪華なオーケストラ共演ショウ。ステージは二部構成になっていて、第一部(10曲)はレギュラー・バンドとの通常コンサート・スタイル。そして、50分ほど経ったところでオーケストラが登場。残り約1時間(11曲)で共演を楽しめるのです。ここで、そのセット内容も整理しておきましょう。 70年代(17曲)・僕の歌は君の歌:Sixty Years On(★)/I Need You To Turn To(★)/The Greatest Discovery(★)/The King Must Die(★)/Take Me To The Pilot(★)/Your Song(★)・エルトン・ジョン3:Burn Down The Mission(★)・ホンキー・シャトー:Rocket Man ・ピアニストを撃つな!:Daniel/Have Mercy On The Criminal(★)・黄昏のレンガ路:Bennie And The Jets/Candle In The Wind(★)/Saturday Night's Alright For Fighting(★)・カリブ:The Bitch Is Back/Don't Let The Sun Go Down On Me(★) ・蒼い肖像:One Horse Town/Sorry Seems To Be The Hardest Word(★)80年代以降(5曲)・ジャンプ・アップ:Blue Eyes・トゥー・ロウ・フォー・ゼロ:I Guess That's Why They Call It The Blues/I'm Still Standing・ブレイキング・ハーツ:Sad Songs (Say So Much) ・その他:A Song For You(レオン・ラッセル)※注:「★」印がオーケストラとの共演。……と、このようになっています。上記では融合させていますが、セットも第一部・第二部で大きく異なる。第一部(バンド編)では80年代以降の曲に重点を置き、各アルバムから偏りのないよう幅広い選曲。それに対し、第二部(オケ共演編)では、『僕の歌は君の歌』から『蒼い肖像』までに絞り込み、オーケストラによって豪華に甦った70年代クラシックスを披露するのです。前述の通り、その模様は公式ライヴアルバムでもお馴染みなわけですが、やはり映像は凄い。このショウはエルトンがド派手な衣装を着た最後の夜でもあり、バンド編ではモホーク族やティナ・ターナーを模した姿でド肝を抜き、オケ共演編ではモーツァルトに扮している(当時は映画『アマデウス』が大ヒットしていた時代でもありました)。さらに88人に及ぶメルボルン・シンフォニー・オーケストラのスケール感……。実のところ、エルトンはこの2ヶ月後にノドの手術を受けるだけあって本調子とは言えないのですが、壮麗なアレンジと光景はそれを補って余りあるのです。伝説的な名作映像が公式にブラッシュ・アップされた最高峰更新版です。オフィシャルが配信だけで済ますというのであれば、誰かが作品化しなくては。そんな次元の超極上な1枚。 with the Melbourne Symphony Orchestra Live at Sydney Entertainment Centre, Sydney, Australia 14th December 1986 PRO-SHOT(BEST QUALITY) (108:49) 1. One Horse Town 2. Rocket Man 3. The Bitch Is Back 4. Daniel 5. A Song For You 6. Blue Eyes 7. I Guess That's Why They Call It The Blues 8. Bennie And The Jets 9. Sad Songs (Say So Much) 10. I'm Still Standing With The Melbourne Symphony Orchestra 11. Sixty Years On 12. I Need You To Turn To 13. The Greatest Discovery14. Sorry Seems To Be The Hardest Word 15. The King Must Die 16. Take Me To The Pilot 17. Have Mercy On The Criminal 18. Don't Let The Sun Go Down On Me 19. Candle In The Wind 20. Burn Down The Mission 21. Your Song 22. Saturday Night's Alright For Fighting Elton John - lead vocals, piano Davey Johnstone - lead guitar, backing vocals David Paton - bass guitar Fred Mandel - keyboards, rhythm guitar Charlie Morgan - drums Ray Cooper - percussion Jody Linscott - percussion Alan Carvell - backing vocals Helena Springs - backing vocals Shirley Lewis - backing vocals Onward International Horn Section The Melbourne Symphony Orchestra PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.109min.