新型コロナ禍にショボくれた地球のケツ蹴り上げた衝撃のヴァーチャル・コンサート“KISS 2020 GOODBYE”。世紀のショウの通常リリース版『2000 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』も登場しますがこちらは似て非なる別マスターで登場です。通常リリース版との違いもさることながら、まずは“KISS 2020 GOODBYE”について。このライヴが実施されたのは、くそったれな1年にトドメを刺した大晦日「2020年12月31日アラブ首長国連邦」。ドバイの高級ホテル“アトランティス・ザ・パーム”に設営された野外ステージでした。当初の計画では2020年もびっしり最後のツアー“END OF THE ROAD WORLD TOUR”の予定が詰まっていたのですが、3月に入って白紙撤回となってしまった。このツアー中断に対する怒りとフラストレーションが本作の根底でもありますので、ここではいかに大量のショウが失われたか、キャンセルされた日程と合わせて2020年を振り返ってみましょう。・2月1日-3月10日:北米#1a(21公演) ×3月12日-15日:北米#1b(3公演)× ×4月24日-5月21日:中南米#1(13公演)× ×6月12日-7月25日:欧州/南アフリカ(22公演)× ×8月28日-10月7日:北米#2(24公演)× ×11月10日-12月8日:中南米#2(4公演)×・12月31日:ドバイ公演 ←★本作★ これが2020年のKISS。序盤の「北米#1」も佳境に入ったところでいきなりのストップ。その後は北米・欧州・南ア・2度の中南米が丸ごと消えてしまった。その後、現在に至るまで実現しているステージは、本作の“KISS 2020 GOODBYE”1回だけなのです。そんな中で実現した“KISS 2020 GOODBYE”は、いわゆる無観客のストリーミング・コンサート。2020年には様々なバンド/アーティストが同じような形式のパフォーマンスを行いましたが、そこはKISS。そんな無観客コンサートが束になっても敵わない超スペクタクルなステージをブチかましたのです。何しろ、現場からして超ビッカビカの豪華絢爛。客席がない事を逆手に取ったステージは約76メートルにも及び、背面には超巨大スクリーンを背負いつつ、正面には客席の代わりにライトアップされた巨大な“アトランティス・ザ・パーム”がそびえ立つ。ホテルの敷地が丸ごとステージになったような空間をとんでもない数のレーザー光線やLED、最新プロジェクション・マッピングが舞い狂う。そして、その光の狂乱を制圧するのが100万ドル相当のパイロ。コレが文字通り「世界一」でして、ギネスブックに「音楽コンサートで吹き上がった最も高い炎」と「音楽コンサートで同時に吹き上がった炎の数」として正式に認定されたのです。そんな世界No.1・音楽史上No.1な光景は50台以上のカメラで撮影されて生配信。『2000 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』も、本作も、そんな配信マスターをDVD化したもの。どちらも基本的には同じ編集ではあるのですが、ソースとなったマスターが異なるのです。まだ登場したばかりで精密な比較がされていないものの、現時点で判明している違いをまとめてみましょう。 発色の違い2つのマスターで一番異なるのは、恐らく映像の発色でしょう。どちらもブートレッグ基準ではない超極上レベルですが、本作よりも通常リリース版の方が鮮やか。もちろん、同じモニター上に並べて表示してやっと気付く程度の違いではありますが、それでも現時点で望みうる最も美しい映像美が通常リリース版『2000 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』というわけです。 滑らかさの違い では、なぜ本作もリリースされることになったのか。実は本作には本作の強みがありまして、それは「動き」です。『2000 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』の解説でも触れましたが、この配信は超極上クオリティではあるものの、動きの面でわずかにコマ落ち感も否めなかった。それは通常リリース版も本作も同じなのですが、本作の方が(わずかに)滑らかに感じられるのです。 音声ミックスの違い そして決定的なのが音声。基本的には同じものなのですが、一部でバランスが違ったり、ポールの声が消えたりしている。一番分かりやすいのはオープニングの「Detroit Rock City」。恐らくはマイクが拾ってしまったステージ上の機械音を消す段階で違いが生まれたようにも聞こえますが……原因や他にも種類があるのかといった詳細は今のところ不明です。 ムードたっぷりの告知映像 一番大きいのがコレ。本作ではショウ本編の前に、配信を告知する広告映像が挿入されているのです。これがハリウッドの劇場映画ばりの作り込みで、カウントダウンして一気に開演するムードが凄まじくカッコイイのです。 あくまで違いを述べるために重箱の隅のような話になりましたが、ぶっちゃけてしまえば通常リリース版だろうと本作だろうと所謂「完全オフィシャル級プロショット」です。そして、そんな超絶の映像美で描かれるショウは、“END OF THE ROAD WORLD TOUR”を踏襲した究極のグレイテスト・ヒッツ。もちろん、比較になり得るのはオフィシャル作品しかあり得ませんので、ここでは『KISS ROCKS VEGAS』と比べながらセットを整理してみましょう。70年代クラシックス(15曲)・KISS:Deuce/100,000 Years(★)/Cold Gin(★)/Black Diamond/Strutter(★)・DESTROYER:Detroit Rock City/Shout It Out Loud/God of Thunder/Beth(★)/Do You Love Me ・その他:Parasite(HOTTER THAN HELL)/Rock And Roll All Nite(DRESSED TO KILL)/Calling Dr. Love(★:ROCK AND ROLL OVER)/Love Gun(LOVE GUN)/I Was Made for Lovin' You(★:DYNASTY)80年代以降(7曲)・CREATURES OF THE NIGHT:I Love It Loud/War Machine ・その他80年代:Lick It Up(LICK IT UP)/Heaven's on Fire(★:ANIMALIZE)/Tears Are Falling(ASYLUM)・再メイク時代:Psycho Circus(PSYCHO CIRCUS)/Say Yeah!(★:SONIC BOOM)※注:「★」印は公式映像『KISS ROCKS VEGAS』では観られない曲。病魔に対して忍耐で戦ってきた人類はワクチンを開発して反撃を開始した一方、新型コロナも変異種で対抗し始めている。戦況は一切の予断を許さず、今年6月のツアー再開が本当に実現するかは神のみぞ知るところです。しかし、そんな地球規模の怒りとフランストレーションがあったからこそ、このショウが実現した。ギネスも認める世界一の超スペクタクル・ロックンロール・ショウ。『2000 GOODBYE: LIVE FROM ATLANTIS, DUBAI』とは別マスターである本作で存分にご体験ください! Live at Atlantis, the Palm Jumeirah, United Arab Emirates 31st December 2020 PRO-SHOT (2:18:27) 1. Intro ★トールDVDにない2分のイントロ 雰囲気は抜群 2. Countdown ★トールDVDにない箇所(独自編集)3. Detroit Rock City 4. Shout It Out Loud 5. Deuce 6. Say Yeah 7. I Love It Loud 8. Heaven's On Fire 9. Tears Are Falling 10. War Machine 11. Lick It Up 12. Calling Dr. Love 13. 100,000 Years 14. Drum Solo / 100,000 Years (reprise) 15. Cold Gin 16. Guitar Solo 17. Bass Solo 18. God Of Thunder 19. Psycho Circus 20. Parasite 21. Love Gun 22. I Was Made For Lovin' You 23. Black Diamond 24. Beth 25. Strutter 26. Do You Love Me 27. Rock And Roll All Nite 28. End Credits: God Gave Rock 'N' Roll To You II PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.138min.