大好評を博している大傑作ドキュメンタリー・シリーズ“SONG TO SOUL”。そのDEEP PURPLE篇が2作同時にリリース決定。本作は、その第一弾「Smoke On The Water」です。1曲に絞り込んだ日本制作ドキュメンタリー 本稿に目を留められた方ならもうご存知とは思いますが、このシリーズは、近年まで放送されていた伝説的な深夜番組。普通、音楽系ドキュメンタリーはバンド/ミュージシャンの長い歴史を追うのが一般的ですが、この番組のテーマは「1曲」に絞り込んでいる。この番組でDEEP PURPLEが取り上げられたのは「Smoke On The Water」と「Highway Star」の2回で、本作は前者をDVD化したものなのです。そして、この番組のもう1つの特徴なのが「独自インタビュー」。日本の洋楽番組はBBCやMTVなどの海外番組を翻訳するのがメインなのですが、この番組は日本の独自製作。海外ロケも敢行し、他では聴けないインタビューも楽しめるのです。本作の場合、番組の進行に沿ってインタビューも大きく3種に分けられます。まず、冒頭は曲の魅力。エンジェルギターのギタリストや沖縄出身のキーボーディストといった日本人が登場し、それぞれDEEP PURPLEや「Smoke On The Water」に引き込まれていった体験を語っていく。もちろん、外野ですのでエピソードとしての貴重度はありませんが、リスナー側の共感を呼ぶ導入になっています。貴重なジム・サリヴァンの独自インタビュー 次のセクションはDEEP PURPLEの略歴。ここでは音楽ジャーナリストやお馴染みサイモン・ロビンソンが登場して当時の世相を解説する。まあ、これもドキュメンタリーの正道で目新しさはないのですが、重要なのはジム・サリヴァン。リッチー・ブラックモアにギターを教えた師匠としてバイオグラフィに欠かせない人物ですが、本人が登場して若き日のリッチーや「Smoke On The Water」について語る。特に面白いのは後者でして「わたしも大好きさ」を大前提としつつ「あのリフはそれほどオリジナルには聞こえないな」と断じてしまうのです。この言葉だけなら単なる言いがかりにも思えるのですが、ジムは実際にギターを弾きながらブギ・フレーズから「Smoke On The Water」のリフに発展させたり、様々なパターンに変化させてみせる。そのフレーズの1つひとつにリッチーと同じルーツが感じられ、伝説リフの着想の源泉に迫るのです。有名な歌詞を可視化していく正道ドキュメンタリー 最後のセクションは、モントルーの火事をテーマにした歌詞について。ここでは当事者ジョン・ロードとイアン・ペイス、それにモントルー音楽協会のノーバート・ミューラが登場。当時の体験者として火事や録音の様子を語っています。カジノがどのように燃え広がっていったのか、モービル・ユニットの鍵が見つからずに手押しで避難させた事、水上の煙がどう見えたのか、警察に押しかけられながら録音した事、「ダンダンソング」なる仮題で呼んでいた事などなど……実際に「Smoke On The Water」の歌詞と照らし合わせながら語られていく。ここでは有名な話も多いのですが、やはり当事者たちの言葉は生々しく説得力も抜群。特にジョン・ロードは嬉しい。この特集のために海外ロケを行ったのか、あるいはDEEP PURPLE来日に同行した際に収録したのかは分かりません(放送は2010年で、2009年のDP来日ではゲスト共演していました)が、彼の人生で最も有名な曲を誇らしげに語る姿が胸に染みるのです。有名すぎるリフと個性的すぎる歌詞で、単なる有名曲の枠を超えた「Smoke On The Water」。その魅力と誕生秘話に迫った日本独自ドキュメンタリーの傑作です。日本独自ドキュメンタリー・シリーズのパープル編がリリース。カジノの火事だけでなく、リッチーの師匠ジム・サリヴァンが伝説リフを「オリジナルには聞こえない」と断じるなど、必見シーンは満載です。Featuring exclusive interviews with Jon Lord (RIP) & Ian Paice, Simon Robinson, Big Jim Sullivan(RIP), 1. Programme Intro 2. Segment 1 3. Segment 2 4. Segment 3 5. Segment 4 6. Segment 5 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 47min.