1966年のビートルズは重苦しい雰囲気に包まれていた。大規模な全米ツアーは3年目に入り、演奏する側は惰性感と退屈感を覚え、ステージに立つ意欲を失いつつあった。ツアー中はホテルと会場を往復するのみで、そこに何ら音楽的な向上は望めない環境であった。 後の歴史ではこの年でビートルズはツアー活動の一切を停止し、スタジオ・ワークに専念することになる。しかし当時はマネージャーのエプスタインを含めそのような事をメンバーが考えているとは誰も想像だにせず、また聴衆もビートルズが永遠にコンサートを続けてくれる錯覚に陥っていたことであろう。 実際に1966年のビートルズのライヴ演奏は精彩を欠き、それはアンソロジーの中でも3人のメンバーが認めている。しかし6月のドイツでは例外的に素晴らしい演奏を披露している。前年の12月に英国ツアーを終えたビートルズは、その後長い休暇に入る。5月1日にNMEコンサートで一度だけステージに立つが、ツアーに出るのは6月末のドイツが最初であった。 ドイツ、日本、フィリピンでコンサートを行ない、夏のUSツアーでビートルズのライヴの歴史は幕を閉じる。その短い1966年のツアー、ライヴ本数の、最初の地がドイツなのである。我々日本人にとって特別な1966年日本公演のおよそ1週間前、ビートルズはミュンヘン、エッセン、ハンブルグの3都市でこの年初めてのツアーを開始する。ドイツのステージに立つのは意外や1962年以来となる。一節によるとデビュー前の「ワルさ」を知っている旧友が大勢いるためビートルズのメンバーたちにとって行きづらかったとも伝えらえているが、いずれにせよドイツは黎明期のバンドを鍛えてくれた思い出深い場所。会場には昔からの友人も多く訪れ、またコンサート後は夜の街に繰り出したと伝えられる。そのような解放感が功を奏したのか、ドイツ公演におけるビートルズの演奏は1966年の他公演に比べても素晴らしく熱の入ったもので、2か月後にツアーを辞めることを決めているバンドとは思えないものである。本作は、そのドイツ公演を集大成したタイトルになる。ドイツ公演の日程は以下の通り。
1966年6月24日 Circus-Krone-Bau, Munich, Germany 1966年6月25日 Grugahalle, Essen, Germany 1966年6月26日 Ernst Merck Halle, Hamburg, Germany
CDのディスク1は前座のクリフ・ベネットやピーター&ゴードンらから始まり、ビートルズの演奏は現存する7曲すべてを、今までにない最高音質のサウンドボードで収録している。この日ミュンヘンでは昼夜2回の公演が行なわれており、当時放送されたものは昼夜それぞれからのベストテイクを繋げたものだということが近年になって判明している。今まではこの昼夜の区別に関して研究が成熟していなかったこともあり、既発盤ではそれらをひとくくりに「6月24日ミュンヘン」としてクレジットされていたが、例えば「I’m Down」は夜の部で、「Baby’s In Black」は昼の部といった具合に、今回は1曲ごとに昼夜の区別を記載している。音質は、若干の差ではあるが、従来のものよりアップグレードしており、熱心なマニアは更なる音質向上に驚かれるのではないかと思う。さらに後半は、メインとなる映像由来の音源とは別ルートによる、ミュンヘン音源の別バージョンが収録されている。断片的ながら、昼の部の「I’m Down」や、昼の部の演奏前のチューニング、また今まで昼夜とも曲自体が未収録だった昼の部の「I Wanna Be Your Man」などを聴くことが出来る。
CDディスク2枚目は、6月25日エッセン昼夜2回公演のうち、昼の部をオーディエンス録音にて完全収録と、6月26日ハンブルグ昼夜2回公演のうち、昼の部を残存する音源の限りを収録している。エッセン昼の部のオーディエンス録音も近年になって発掘されたものだが、既発盤では不安定だったピッチを正確に調整しリマスタリング。けして音質的には恵まれたものではないながらも、今までの印象をぐっと変えるグレードアップした音質になっている。
AUDIO DISC ONE - MUNICH Circus-Krone-Bau, Munich June 24, 1966
01.setting noise
EVENING SHOW CLIFF BENNETT & THE REBEL ROUSERS
02. Good Good Feeling 03. You Can't Love'em All 04. C.C. Rider
THE RATTLES
05. Love Of My Life 06. Come On And Sing 07. Sha-la-la-la Lee 08. Shout 09. Auf Wiedersehen
AFTERNOON SHOW PETER AND GORDON
10. Woman 11. Let It Be Me
THE BEATLES
12. tuning evening show 13. Rock And Roll Music evening show 14. She's A Woman evening show 15. Baby's In Black afternoon show 16. I Feel Fine afternoon show 17. Yesterday afternoon show 18. Nowhere Man evening show 19. I'm Down evening show
ALTERNATE SOUCE
20. tuning afternoon show 21. I Wanna Be Your Man afternoon show 22. I'm Down afternoon show 23. Rock And Roll Music evening show - I Feel Fine evening show - Yesterday evening show- I’m Down evening show 24. Yesterday evening show 25. Nowhere Man evening show 26. Baby’s In Black afternoon show
AUDIO DISC TWO - ESSEN Grugahalle, Essen June 25, 1966 AFTERNOON SHOW
01. Introduction 02. Rock And Roll Music 03. She's A Woman 04. If I Needed Someone 05. Day Tripper 06. Baby's In Black 07. I Feel Fine 08. Yesterday 09. I Wanna Be Your Man 10. Nowhere Man 11. Paperback Writer 12. I'm Down
ALTERNATE SOURCE
13. I Feel Fine
EVENING SHOW
14. Interview in Essen 15. Paperback Writer 16. Essen Press Conference
HAMBURG Ernst Merck Halle, Hamburg June 26, 1966 AFTERNOON SHOW
17. Introduction
THE RATTLES
18. La La La 19. Come On And Sing
THE BEATLES
20. Introduction - audience noise 21. Tuning 22. Day Tripper 23. Baby's In Black 24. I Wanna Be Your Man 25. Nowhere Man #1 26. Nowhere Man #2 27. Paperback Writer #1 28. Paperback Writer #2 29. Paperback Writer #3 30. Hamburg Press Conference





























