今回「BORN TO RUN」のレア音源をまとめたタイトルをリリースするとなれば、やはり同アルバムリリース時のライブ音源もリリースしないわけにはいかないでしょう。1975年のツアーからは当店も人気爆発直前の時期「READY TO RUN」と歴史的名演「VINTAGE BROADCAST 75」をリリースしておりますし、今やオフィシャルではハマースミスの映像と大晦日のタワー・シアターが配信リリースされるまでになりました。これは「BORN TO RUN」リリース前後とツアーの終盤という状況となっており、その間を埋める音源が近年見過ごされがちな状況だと言えるでしょう。もちろん「BORN TO RUN」リリース後は注目を浴びたこともあり、ラジオ放送や流出サウンドボード録音が充実しています。そんな中で異彩を放つのが10月2日、ミルウォーキーでのライブをキャッチしたサウンドボード録音でしょう。人気を獲得したことで精力的なライブ活動を続けていたスプリングスティーンとE・ストリート・バンドですが、この日も手慣れた調子でいつものごとくご機嫌なライブをスタートしています。ところがです。ライブが中間に差し掛かろうとしたことろ、会場であるミルウォーキーのアップタウン・シアターには「そこに爆弾を仕掛けた」という脅迫電話がかかり会場は騒然、当然ながらライブが一時中断となってしまいます。「爆弾を仕掛けた」というのがいかにも昔の脅迫電話的なノリではありますが、とりあえず真意を確かめる為にライブは中断。そこでスプリングスティーン達は近くのバーで時間をつぶしていたと伝えられています。結局のところ脅迫電話がいたずらだった(何ともアメリカらしいですよね)ことが判明し、ライブが無事に再開されました。スプリングスティーン達もそれがいたずらであると感づいていたのでしょう、バーから戻ってステージに上がって来た彼らが何ともいい感じに酔っぱらっています。おかげで本来ならば「Kitty’s Back」で始めるべきライブの再開を、何とチャック・ベリーの「Little Queenie」のカバーから始めてしまいます。おまけに酔いのせいもあって、まるでストーンズのようにラフでルーズな演奏。それを裏付けるかのように、スプリングスティーンが「are you loose?」を連発。これは最高に楽しい!それに続いて「The E Street Shuffle」を演奏するという展開もレアですが、それが20分を超えた長大さにもかかわらず、思いのほか聴き通せてしまうのも楽しげな雰囲気のおかげでしょう。スプリングスティーン達によるごきげんなカバーもさらに続き、今度はマンフレッド・マンの「Sha La La」がアッパーな調子で演奏されています。それを終えたところでライブがやっと平常営業へ戻ったのですが、思いもしないハプニングからライブが暴走してしまったという伝説の一日でした。しかも驚いたことに、この文字通りハプニング・ショウがスタッフによってサウンドボード録音でキャッチされていたのです。とはいっても脅迫騒ぎが起こる前パートは録音されておらず、何と酔いに任せたライブ再開後から録音が行われたというのだからなおさら。そんな伝説的な一日のサウンドボード録音ですので、以前「WE HAD TOO MUCH TO DRINK TONIGHT」や「MILWAUKEE BOMB SCARE SHOW」といCDタイトルがリリースされていたことを記憶しているマニアがいらっしゃるかもしれません。もっとも、それらのタイトルが流通していた時期が大昔過ぎて、今となってはそれらの存在を知らない人の方が多いのではないでしょうか。かく言うわたくしもそれらのCDを持っておらず、今回の文章を書くにあたってマニアの方からお借りした次第です…そんな過去のアイテムでしたが、残念ながら今回のリリースで用なしとなってしまうことでしょう。何故ならば今回はJEMSが発掘してくれたセカンド・ジェネレーション・コピーの音源を使用し、音質が飛躍的な向上を遂げてしまったからです。これぞ音質アッパーと呼ぶにふさわしい。過去のタイトルで見られたクリアネスの欠如やピッチの不安定さ(さらに今回のリリースに当たってアジャストを加えています)を一気に解決。まるで別次元な状態でCDに封じ込めました。このキシング卓経由のサウンドボード録音ですが、そうしたハプニングのせいもあってか、スタッフがいくつかの箇所をステレオ・ミキシングで遊んでおり、曲によっては左右にセパレートしたサウンドが楽しめるのも大きな魅力。中でも「It's Hard to Be a Saint in the City」におけるスプリングスティーンとスティーブ・ヴァン・ザントのギター・バトルが左右に分けられ、しかも生々しく聴こえる様は整理されたマルチトラック・レコーディングとはまたちがった迫力が素晴らしい!そしてボーナスには二週間前のオースティンでのライブをキャッチした同じくサウンドボード録音から、レアなカバー曲を収録という贅沢さ。絶対にオフィシャルではリリースされないであろう、伝説のハプニング・ショウをリアルでクリアーな音質アッパー版サウンドボード録音にてじっくりとお楽しみください。Are You Loose?
Uptown Theatre, Milwaukee, WI. USA 2nd October 1975 STEREO SBD
Disc 1 (59:48)
01. Little Queenie 02. The E Street Shuffle (inc. Having A Party) 03. It's Hard To Be A Saint In The City 04. Sha La La 5. Kitty's Back
Disc 2 (55:34)
01. Jungleland 02. Intro to Rosalita 03. Rosalita (Come Out Tonight) 04. Detroit Medley 05. 4th Of July, Asbury Park (Sandy) 06. Quarter To Three
bonus tracks Municipal Auditorium, Austin, TX. USA 12th September 1975
07. It's Gonna Work Out Fine 08. Twist And Shout (inc. Save The Last Dance For Me)
STEREO SOUNDBOARD RECORDING
Bruce Springsteen (vocals, guitar, harmonica) Roy Bittan (piano, keyboards) Clarence Clemons (tenor, baritone, and soprano saxophones, backing vocals, percussion) Danny Federici (organ, accordion, glockenspiel, piano) Garry Tallent (bass, percussion)
Steven Van Zandt (guitar, backing vocals) Max Weinberg (drums)





























