RAINBOW復活でロックシーンを揺るがしたリッチー・ブラックモア。そんな歴史に残る「2016年」の最後を飾るコンサートを極上サウンドで収めたライヴアルバムが登場です。兎にも角にも、衝撃だった2016年6月の復活RAINBOW。あまりの大反響に、リッチーも2017年の活動に意欲を見せていますが、彼の本道はあくまでもBLACKMORE'S NIGHT。RAINBOW3公演の後も、すぐさまBLACKMORE'S NIGHTのコンサート活動に戻っていきました。当店では『STARGAZER IN ARLINGTON 2016』で早速“RAINBOWの後”をレポートしましたが、更なる極上のライヴアルバムが到着したのです。日本にはなかなか情報が入ってこないBLACKMORE'S NIGHTだけに、ここで“RAINBOWの後”をまとめてみましょう。 ・7月1日:プラハ(チェコ)・7月3日:マクデブルク(ドイツ)・7月8日:ベルリン(ドイツ)・7月13日:ボーフム(ドイツ)・7月15日:クロイツブルク(ドイツ)・8月12日:リッジフィールド(米国)・8月14日:アーリントン(米国)『STARGAZER IN ARLINGTON 2016』・8月19日:ストラウズバーグ(米国)・8月21日:ウィルミントン(米国) ・10月14日:パッチョーグ(米国)・10月16日:レイクウッド(米国)・10月29日:ハリスバーグ(米国)【本作】 以上、13公演。これが現在までに発表されているスケジュールで、復活RAINBOWの後に行われたギグの総て。並べると多そうにも見えますが、考えてみると半年でわずか13公演。音楽性からして手作り感のあるBLACKMORE'S NIGHTですが、日程からも至ってマイペースな活動ぶりが伝わってきます。本作が録音されたのは、その中でも「2016年10月29日ハリスバーグ公演」。最終日のオーディエンス・アルバムです。そのサウンドは、まさに極上。ギフト・アルバム『STARGAZER IN ARLINGTON 2016』も素晴らしいサウンドでしたが、本作も甲乙付けがたい。現場となった“スノコ・パフォーマンス・シアター”は700人規模の会場ですが、アットホームな親密感が暖かく伝わりつつ、その空気はクリスタル・クリアに透き通っている。7人編成の大所帯がさまざまな楽器を駆使してもクッキリと鮮明に分かれ、1楽器どころか1音1音の表情までも克明に伝わる。もちろん、リッチーの奏でるギター、マンドリン、ドムラ、ハーディガーディも鮮やかに染み入る素晴らしいサウンドです。そのクオリティで描かれる“ブラックモア音楽”の見事なこと。復活RAINBOWではキメのフレーズを思い出し切れていないリッチーに「衰えた」との声も聞かれましたが、それはまずない。どの曲でも繊細かつダイナミズムたっぷりなフレーズが溢れ出し、即興の閃きも眩しいほど。トーンはトロけるような美しく、滑らかに動く指先はどこまでも淀みない。これこそ、リッチーが20年の長きにわたって追及し、浸りきっていた音楽世界。RAINBOW復活に心動かされたとは言え、彼の魂を掴んで離さない美の世界が極上サウンドで紡がれていく。20年の積み重ねを感じさせるのはリッチーだけではありません。伴侶キャンディスも実に素晴らしい。かつて日本公演で披露したのは可憐な歌声でしたが、今やリッチーとの間に2児をもうけた彼女は強い母。その母性が暖かく、優しく、それでいて美しさも微塵も失われていない歌声を聞かせてくれる。もちろん、ショウ運びの主役もキャンディス。ジョークで観客を笑わせ、親しげに故郷を訊ね、暖かい空気で会場中を包み込む。キャンディスが「みんな世界中から来てくれたのね。あなたはどこから? テネシー?」と言うと、リッチーが「リパブリック賛歌」をつま弾く。そんなやりとりも極々自然なライヴアルバムなのです。こうした暖かくも極上の音楽空間は『STARGAZER IN ARLINGTON 2016』でも味わえましたが、本作ではそこでは聴けなかった「Dance Of The Darkness」「Ghost Of A Rose」「Wind In The Willows」「All Because Of You」もたっぷりと味わえます。復活RAINBOWに心震えた方はもちろん、そうでなかった方にもぜひ触れていただきたい傑作ライヴアルバムです。RAINBOWが復活した今でもなお、「RAINBOWより素晴らしい」と言われるBLACKMORE'S NIGHT。その溢れるインプロヴィゼーションは、実はRAINBOW以上に「あのリッチー」に会わせてくれるのです。来年はRAINBOWも本格的に動き出すかも知れませんが、その虹色を読み解く上でも欠かせない最終公演。そして、RAINBOWヌキにしても寒さの募る今を暖めてくれる極上の音楽アルバム。 Live at Sunoco Performance Theater at the Whitaker Center for Science and the Arts, Harrisburg, PA. USA 29th October 2016 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND Disc 1(78:04) 1. Dancer and the Moon 2. Darkness 3. Dance of the Darkness 4. Under a Violet Moon 5. Soldier of Fortune 6. Durch den Wald zum Bach Haus 7. World of Stone 8. Allan Yn N Fan 9. Renaissance Faire 10. Piano Solo 11. Drum Solo Disc 2(66:58) 1. Toast to Tomorrow 2. Barbara Allen 3. The Peasant's Promise 4. Diamonds & Rust 5. Ghost of a Rose 6. Wind in the Willows 7. All Because of You 8. Fires at Midnight 9. Dandelion Wine 10. Home Again / Drink Drink Drink / The Happy Wanderer / Reprise Ritchie Blackmore - guitars, mandolin, domra, hurdy-gurdy Candice Night - vocals, chanter, cornamuse, shawm, rauschpfeife, tambourine Bard David of Larchmont (David Baranowski) - keyboards Earl Grey of Chimay (Mike Clemente) - bass, mandolin, rhythm guitar Troubadour of Aberdeen (David Keith) - drums, percussion Scarlet Fiddler (Claire Smith) – violin Lady Lynn (Christina Lynn Skleros) - harmony vocals, shawm, flute, and recorder