“謎の極上ライヴアルバム”の正体が判明いたしました! 正式タイトル・新ジャケで新装再リリース決定です。本作の正体は、昨年春にリリースされ、大ヒットを記録した名作『TOUR ‘86』。凄まじいハイクオリティ・サウンドを誇りながら、MCでも地名や会場名を一切口にせず、これまでに知られていたいかなるライヴ録音と比較してもまったく違う。いつのどこのライヴがまったく分からない謎のオーディエンス・アルバムだったのです。さる有名な録音家から譲られたマスターだったのですが、この録音家はその後に行方不明。それから1年半。なんとか録音家の行方を突き止め、この度、公演日の確定に至ったのです。その現場とは「1986年9月20日マディソン・スクエア・ガーデン」公演(従来、MSG公演と言われていた録音の方が間違っていました。恐らくそちらは「9月13日イースト・ラザフォード公演」と思われます)。。「音にしか興味ないよ」という方は無視して下さって結構ですが、歴史の真実を残すべく新装ジャケで再リリースを決断いたしました。EL&POWELLの頂点に輝くフル録音と言うと、“1986年9月12日フィラデルフィア公演”の『HEADING FOR GLORY』と“9月16日マンスフィールド公演”の『FABULOUS SHOW』が2大巨頭。しかし、本作はその2大録音にも匹敵し、堂々と「3大録音」と呼べるハイパー・サウンドなのです。実際、そのクリア極まりない楽音は、光り輝くサウンドボードのよう。うっすらと会場残響をまとってはいますが、それさえも透き通っており、踊り狂うキース・エマーソンの指先もグレッグ・レイクのゴリゴリ・ベースも、コージー・パウエルのヘヴィなキックも鋭いエッジが微塵も損なわれていない。シンセがスペーシーな世界観を創造し、そこへ歌声は荘厳に響き、重戦車のごときドラムが突進する。この3人にしか描き出せない音世界が見事に広がるのです。録音が素晴らしいだけでなく、鮮度も絶品。録音した当人由来のマスターだけにジェネレーションは最高峰。冒頭「The Score」でボリュームを確かめるように音量が(わずかに)変化し、「Pictures At An Exhibition」の4:27でテープチェンジのカットもあるものの、それ以外に欠点らしい欠点がまるでない。歪みもノイズも一切なく、安定感も素晴らしい。いかに名録音とは言え、30年という時間の試練はそうそう超えられるものではありません。しかし、本作は見事にその離れ業をやってのけているのです。そのクオリティで描かれるEL&POWELLの世界は、まさにキーボード・トリオの桃源郷。もちろん「カール・パーマーよりも云々……」等と野暮なことは申しませんが、唯一無二のエマーソン音楽を一打一打も強烈なビートで突き上げるアンサンブルは、このユニットしかあり得ない。しかも、コージーはただのパワーヒッターではなく、キャリアを通してドラムソロにチャイコフスキーやホルストをテーマにするほどクラシックに精通し、派手な演出をこよなく愛してきた人。それだけに“より劇的に”・“より派手に”の演出はお手のもの。アタックの強いエマーソンの鍵盤と時に渡り合い、時にサポートしてどこまでもドラマティックに彩る。実際、このショウはコージーも大満足の熱演、彼は非常にマメで、ツアー中にも日記を書き、毎晩のショウの出来を残しています。その日記によると、この日は「9.5点(10点満点)」。オフィシャル盤でも有名なレイクランド公演は「3点」ですから、いかに満足していたかが分かろうというもの。エマーソンが七色に輝く宝石だとすれば、コージーは言わば強力なスポットライト。自身も強烈な光を発しながら、それをぶつけることでエマーソンも目映く輝かせているのですっ!………少々、興奮して筆が走ってしまいました。申し訳ありません。ただ、そう書きたくなるほど、筆が止まらなくなるほどに、本作のサウンドは美しく、パフォーマンスが眩しい。そういうことなのです。そんなショウを目の当たりにしたアメリカ人の熱狂も凄い。完全に楽音が掌握しきってはいるものの、そこに沸き立つ大歓声は、間違いなく客席録音ならではのリアリティ。日本では絶大な人気を誇るコージーですが、当時のアメリカではほぼ無名。RAINBOWやMSGはアメリカで苦戦続きでしたし、WHITESNAKEは大ブレイク直前に辞めてしまった。おおよそ「元JEFF BECK GROUPの人」としてコアなロックファンにしか知られていない存在でした。EL&POWELLでも最初は「誰?」という扱いだったのが、ツアーが進むほどに「コイツは誰だ!」に変わっていったそう。本作でも、そんな逸話が1公演に凝縮されたようで、ショウが進むほどに新たなEL&Pサウンドに驚き、熱狂していくのが手に取るように伝わるのです。遂に謎のベールが払われた、光り輝く名録音。キースもコージーも既に亡く、もうこのサウンドは二度と現れません。しかし、たった11週間だけとは言え、奇跡のようなユニットはこの地球上に存在した。そして、そこに居合わせた人々を確実に熱狂させていったのです。その貴重にして極上の記録。
Live at Madison Square Garden, New York, USA 20th September 1986 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(56:27)
1. The Score 2. Learning To Fly 3. Pirates 4. Knife Edge 5. Tarkus 6. Pictures At An Exhibition
Disc 2(47:56)
1. Still You Turn Me On/Watching Over You 2. Dream Runner 3. Creole Dance 4. From The Beginning 5. Lucky Man 6. Fanfare For The Common Man 7. Touch And Go 8. Mars, The Bringer Of War 9. Welcome Back/America/Rondo 10. Finale