「アナログ時代のストーンズのベスト盤に良音ナシ」とはアナログファンの間ではよく呟かれてる合言葉です。 初の公式ベスト盤である『Big Hits [High Tide And Green Grass』や『Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)』のオリジナル盤の為に高額を工面しても購入して、いざターンテーブルからアンプを経由する音に「えっ!こんなシヨボイ音・・・本当にこれがあのデッカなのか!」と天を仰いだアナログファンは多いのでは。 70年代には60年代の意味不明な選曲のベスト盤のオンパレード。選曲、音質的にも満足できるのは『Hot Rocks 1964-1971』ぐらいでしょうか。一方ストーンズレコーズのベスト盤に目を向けるとなると、これがわずか『Made In The Shade』、『Time Waits For No One (Anthology 1971-1977)』、『Sucking In The Seventies』の3枚しか発売されていません。ただ後者2枚はこのアルバムでしか聞けない曲が含まれています。今回ご紹介するのはこの3枚のなかでも一度もCD化されずちょっと忘れられがちなベスト盤が『Time Waits For No One (Anthology 1971-1977)』です。 このアルバムの発売の経緯はストーンズレコーズの配給が米国以外の国々ではアトランテイックからEMIに契約が変更された為に、77年にアトランテイック最後の1枚として企画されたベスト盤です。翌78年には『Some Girls』がEMIから発売されたため、このアルバムが発売されていた期間は極めて短い期間となっていたことも、入手困難かつ忘れ去られがちな作品になってしまっているのかもしれません。また77年にはあるハズのレーベル面にWマークの表示がなく、Manufactued in the UKとなっています。さて、アナログファンにとって、このアルバムの最大の魅力はミック・テイラーのギターが大炸裂の表題曲でもありテイラーファンにとってのキラーチューン『Time Waits For No One』のリムショットの音が完奏するまで収録されていることです。それを目当てに針を落としてみると・・・これが意外や意外なことに全収録曲が全編にわたって極太のいい音が響き渡るのに驚かされます。これは何故なのでしょうか?ここからは推測のお話です。このアルバムを制作するにあたって各曲を既発のアルバムからのマスターを使用するのではなく、選曲されたそれぞぞれの曲を1曲づつマスターテープから抽出して再度マスタリングし直したのではないでしょうか?その結果アルバムではフェードアウトしながら収録されていた『Time Waits For No One』が完奏バージョンで間違って収録されてしまったのでは???但し、アルバムには一切その旨ののクレジット表記はありません。。。このアルバムを発売当時に入手したストーンズマニアには当然ともいえるオリジナルUK盤を使用しています。もちろん盤質も極上のものです。 Rolling Stones Records: Original UK Pressing Matrix: ATLANTIC STUDIOS D.K COC 59107 A / ATLANTIC STUDIOS D.K COC 59107 (47:35) 1. Time Waits For No One 2. Bitch 3. All Down The Line 4. Dancing With Mr. D 5. Angie 6. Star Star 7. If You Can't Rock Me/Get Off Of My Cloud 8. Hand Of Fate 9. Crazy Mama 10. Fool To Cry