1971年・1972年、2回のジャパンツアーでLED ZEPPELINの側らに立ち、サポートしていた日本人たち。そんな彼が集って、当時を振り返る深夜番組が登場です。その放送は、民放の深夜枠で放送されていた音楽番組“音響美学”。空中に吊されたグランドピアノが落ちるオープニングをご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。本作は、そのLED ZEPPELIN特番「来日の軌跡」を収めたもの。メンバーたちは一切出てきませんが、当時の関係者たちがその目で見た“ZEP IN JAPAN”語り合うのです。ペイジが「日本ではあらゆることしまくったよ。唯一やらなかったのは人殺しくらいさ」と語っていますが、それらの現場に居合わせ証人たちの話がたっぷりとつまっているのです。武道館ステージ上での乱闘、ホテルでの乱痴気騒ぎ、寝ないメンバーたち、ファンが押し寄せて落ちたステージ、黒塗りされたパンフレット等々など………有名な話も意外なエピソードも交えつつ、1日1日、ライヴや移動、オフでのエピソードを語る。その現場で目撃した人間だからこその証言が恐ろしいほどに生々しいのです。もっとも、研究の進んだ現代の感覚で見ると中には事実誤認もあったりするのですが、それさえも“目撃者の記憶”のリアリティを醸しています。また、その語り口も凄い。ZEPの来日当時は下っ端だったり、アルバイト、単にファンだった人たちも、この番組では40代以上。企業の部長や役員、音楽評論家等々、それぞれに人生を重ねた彼らが語りまくる。座談会の場ではほとんど同窓会か飲み会ノリですし、個別のインタビューではまるで企業の説明会のような口調。まさしく見た目は“その辺にいるオッサン”なのですが、その話の内容はロックの伝説証言ばかり。このギャップに猛烈な時代感覚がムキ出しになるのです。また、間に挟まるCMや深夜番組ならではのつくりも、いかにも90年代。「録るのも聴くのも、これからミニ・ディスク(しかも75,000円!)」と語るCM、唐突に挟まる日本のコピーバンドの演奏、安っぽい画像処理や編集……。もう、隅から隅にまで時の流れが刻み込まれています。語られる証言内容もさることながら、サラリーマン丸出しなマジメな語り口、「LED ZEPPELINに出会って人生が狂った」と笑い、メンバーの暴れっぷりをまるで自分の武勇伝のように熱く語る顔。現場に立ち会った日本人たちの表情や声、歩んだ人生にZEPの凄味が透ける番組なのです。初来日からも23年後に制作された番組ですが、それさえも今から22年前。放送された当時からさらに時を重ねた今、現在もなお光輝き続けているLED ZEPPELIN。今見るからこそ、ZEPのプレゼンスが一層リアルな手触り感覚で味わえる傑作映像。ぜひ、LED ZEPPELINに人生を狂わされたあなたへ。
Broadcasted in March 1994 (28:51)
1. CM 2. Introduction feat. The Song Remains The Same & Fool In The Rain 3. CM 4. Talk Session #1 5. CM 6. Talk Session #2 7. Immigrant Song 8. Talk Session #3 9. Laurance Ratner(Led Zeppelin Photographer) Interview 10. CM/Ending (feat. Fool In The Rain) /CM