BUFFALO 2016(以下2CD)は、世界中のYESマニアから「北米ベスト(=現存ベスト)」と太鼓判を押された美麗サウンドをさらに磨き上げた決定盤。まさに、きたる来日公演の予習には絶好の最高峰アルバムなのですが、イメージトレーニング(?)には“光景”も不可欠。そこで、2CDの“向こう側”に広がる光景を目撃できる映像集をお贈りします。本作は2CDと同じ「2016年11月2日バッファロー公演」のオーディエンス・ショット集。3台のカメラで収められた曲単位の映像を集めたものです。全編収録ではないものの、実に77分以上に渡って新生YESミュージックをたっぷりと味わえます。しかも、そのクオリティが凄い。各カメラとも最新デジタル機材ならではの極上画質で、3人の“今の姿”を鮮やかに映しだしてくれる。逆に、各カメラの元音声は今ひとつなものばかりだったのですが、本作では本編プレス2CDの極上サウンドをシンクロ。そのおかげで美麗光景が一層美しく感じる“本作だけの美世界”が生まれました。まず、登場するカメラ1。これは「Cinema」「Hold On」「Changes」「Owner Of A Lonely Heart」の4曲を収めたもので、これはステージのやや左寄り、トレヴァー・ラビンの真正面から撮影。2階席の最前席撮影なのか、視界には前列の頭や腕が一切映り込まず、思いっきり引きになっても1階席の観客すら映らない。文字通り、視界全部がARWに占領される極上視野です。主にステージ全景を収めており、青や紫で彩られたARWのカラフルなステージが目に染みる鮮やかさで見られます。次なるカメラ2はさらに凄い。カメラ1とは逆の右寄り(リック寄り)から撮影されており、同じような極上視野。しかし、カメラ1より更に近くから撮影されており、各メンバーの表情までバッチリ分かる。カメラ1とは違って興奮した観客の影が一瞬映り込んだりはしますが、その映像美はもはやプロショットかのようです。「Perpetual Change」「Long Distance Runaround」「The Fish」「Roundabout」のいずれもが超美麗なわけですが、中でも必見なのが「Rick MC」。演奏ではなくリックのMCシーンなのですが、これが実に面白い。リックがあのマントに身を包みながら、ユーモラスな語りで会場中を爆笑させまくる。そのリックの背後ではジョン・アンダーソンが我関せずとギターをイジっているのですが、マイクを渡されると「終わった?」というような表情を見せる。ついさっきまで火花散るスリリングな演奏を繰り広げておきながら、このリラックス感。今のARWが本当に良いムードに包まれているのが肌触りで感じられるシーンなのです。最後のカメラ3は、幻想的な「The Meeting」「Awaken」。これはステージ中央3階席(?)と思しき高角度からの見下ろしショット。その角度がかなり急でして、リック・ウェイクマンの指さばきも上からのぞき込むように見られるアングルです。こちらも全景を基本としており、サポートを含め5人のポジションが立体的に見え、複雑なアンサンブルがそのまま視覚化されたように味わえます。 幻想的なライティング、未だ衰えぬ3人の妙技、そして歴史を知るからこそ心くすぐられるユーモア。音だけでは伝わりきれない呼吸感が美しい“光景”となって目の前に広がる映像集です。2CDのイメージを描き出し、きたる来日公演の期待を大いに膨らませてくれる1枚。 The UB Center for the Arts, Buffalo, NY. USA 2nd November 2016 Various taper's video(synched with CD Audio) 1. Cinema 2. Perpetual Change 3. Hold On 4. Rick MC 5. Changes 6. Long Distance Runaround 7. The Fish (Schindleria Praematurus) 8. The Meeting 9. Awaken 10. Owner Of A Lonely Heart 11. Roundabout Jon Anderson - lead vocals Trevor Rabin - guitars Rick Wakeman – keyboards Lee Pomeroy - bass Lou Molino III - drums COLOUR NTSC Approx.77min.