2017年1月31日、ジョン・ウェットン永眠。2016年はさまざまアーティスが他界し、キース・エマーソンやグレッグ・レイクまで失ってしまった悪夢の1年でした。そのグレッグの訃報から8週間、今度はウェットンまで……。“悪夢は終わった”と思っていた矢先だけに、心が押しつぶされるような心境の方も多いのではないでしょうか。そんな想いにどう応えれば良いのか、何をお届けすれば分かち合えるのか……。そんな想いで迷いに迷った末、チョイスしたのが本作です。これは、オリジナル再編成を果たしたASIAの極上映像。「2006年12月3日ロンドン公演」の傑作オーディエンス・ショットです。2006年に再結成を果たした彼らは、8月からツアーを開始。12月までアメリカ/イギリスを回りました。本作のロンドン公演は、そのツアー最終日にあたります。私たちにとっては、2007年3月の来日公演こそがもっとも想い出深いわけですが、あれは2007年最初のショウだった。つまり、本作は“オリジナル初来日の直前”が詰まった1枚なのです。そんな本作は、まさに来日の光景が蘇る極上映像。デジタル機材による超ビビッドな映像美もさることながら、強烈なのはアングル。会場1階席の後方から撮影されているのですが、三脚を使っているらしく、視点が高く安定感が凄まじい。前列の腕や頭の影は一切入り込まず、ステージを直視。ウェットンはもちろんのこと、スティーヴ・ハウやカール・パーマー、ジェフ・ダウンズの姿もハッキリと映し出されるのです。そして、三脚ならではの手ブレ皆無の安定感のまま、果敢なズームで攻める。その鮮明さはベース弦の1本からハウの髪の1本1本まで鮮やかで、まるでプロショットの1アングルのようです。それだけのクオリティであっても、本作はオーディエンス・ショット。マルチカメラ・プロショットには望むべくもない“現場感”に溢れています。サウンドも光景と同じくステージから真っ直ぐ楽音が伸びてくるものの、そこには現場ならではの“鳴り”がほんのりと漂う。ハウのギターもダウンズのシンセも降り注ぐような美しさに彩られるのです。そして、演奏ぶりも素晴らしく、ツアー最終日だけに再開一発目だった日本よりもこなれている。そんなASIAを待ち望んでいた観客と共に美しいメロディに酔い、復活の喜びに心震わせる……。実際に“オリジナル初来日”を果たした彼らは、公式映像『FANTASIA: LIVE IN TOKYO』を残しました。恐らく、想い出を求めてご覧になっている方も多いのではないでしょうか。本作は、あの公式映像と同じセットリストはありますが、ここには公式映像にはない“目の前にいる”感がある。これこそ、今の私たちに必要なものだと思うのです。ASIAは2017年にも再始動を計画していましたが、ウェットンは治療のために開始前に離脱を表明。そのまま帰らぬ人となりました。もし、病魔がもう少し待っていてくれたなら、“ASIAのウェットン”にもう一度逢えたかも知れない。別れができたかも知れない。それが叶わなくなったからこそ、本作が必要なのです。あの2007年の想い出を蘇らせ、サヨナラを告げられる1本。あなたにお贈りいたします。新たにオーサリングを行い、オリジナル・メニューを付けました。 Live at Shepherd's Bush Empire, London, UK 3rd December 2006 AMAZING SHOT!!! 1. Intro. 2. Time Again 3. Wildest Dreams 4. One Step Closer 5. Roundabout 6. Without You 7. Cutting It Fine 8. Mood For A Day 9. Fanfare For The Common Man 10. The Smile Has Left Your Eyes 11. Don't Cry 12. In The Court Of The Crimson King 13. Here Comes The Feeling 14. Video Killed The Radio Star 15. The Heat Goes On incl. Drum Solo 16. Only Time Will Tell 17. Sole Survivor 18. Ride Easy 19. Heat Of The Moment John Wetton - Bass, Guitar & Vocal Steve Howe - Guitars Geoff Downes - Keyboards Carl Palmer - Drums & Percussions COLOUR NTSC Approx.114min.