無数のラインナップがあるYES史でも“90年代最強”を評される時代の極上映像が登場です。“90年代最強”とは、ずばり『THE LADDER』時代。“黄金の5人”からリック・ウェイクマンが離脱しているものの、新星イゴール・コロシェフとビリー・シャーウッドが参加した“6人YES”です。本作が撮影されたのは、そんな“THE LADDER TOUR”の一幕。「1999年12月7日ニューヨーク・シティ公演」のオーディエンス・ショットです。まずは、ツアー概要の中から本作のポジションをイメージしておきましょう。 ・1999年9月6日-24日:中南米(9公演)・1999年10月15日-12月13日:北米(43公演)←★ココ★・2000年2月6日-3月25日:欧州(31公演) このようにツアーは三部に分かれており、本作のニューヨーク公演は「北米」の最終盤にあたります。このツアーからは『TORONTO 1999』をお届けしたこともありますが、本作のクオリティは(通常リリースに踏み切ったことからもご想像される通り)段違いに素晴らしい。ステージ正面のバルコニー席から見下ろしたショットなのですが、その光景は異常な次元。前列の腕や頭といった影がまったく入らないばかりかアリーナ席の観客すら映らず、ステージだけを直視。“6人YES”が画面いっぱいに占領する極上視点なのです。視界が以上なら安定感も異常。恐らく三脚を使用していると思われ、6人を1人ひとり表情が分かるまでズームするのですが、まったくブレず、ピントも瞬時に合う。まったくもって「会場設営カメラか? スタッフ撮影か?」と思うほどにビシッとした引き締まった映像が終始乱れることなく堪能できるのです。その果敢なズームでもボケない画質・マスター鮮度も見事。開演から怪しい医者のような出で立ちのクリス・スクワイアに寄りますが、その白衣のシワまで綺麗。そこからジョン・アンダーソンに移れば歯並びまで見えますし、スティーヴ・ハウを映し込めば指先どころかツメまで見えます。さらには音声まで素晴らしい。もちろん、オーディエンス・サウンドになるわけですが、光景と同じく遮蔽物ゼロ。回り込みもなく、キリッとディテールまで鮮やかです。そんなクオリティで描かれるショウがまた、本当に素晴らしい。このツアーからはオフィシャル作品『HOUSE OF YES』もリリースされていますが、そこではカットされた「Hearts」も収録した完全形。それ以上に素晴らしいのが“90年代最強”と言われるアンサンブルの妙。とにかく、タイトで緻密。新加入のイゴールとビリーは猛烈に巧いものの、トレヴァー・ラビンのように独自の世界を描こうとはしない。あくまでも“クラシックYES”への絶大なリスペクトを捧げつつ、アンサンブルは一層ぶ厚く、何よりもタッチがシャープなのです。そんな2人に支えられた、大御所の4人が絶好調。いつにも増してキレが良く、“クラシックYES”の名曲群も、『THE LADDER』の新曲も、小気味良いほどに鮮やかな演奏ぶり。特に必見なのがアンコールの「Owner Of A Lonely Heart」でしょうか。もちろん、ラビン役はビリーが務め、彼の独壇場……かと思いきや、後半で炸裂ハウのソロまでもが凄い。猛烈に燃え上がり、身をよじらせて弾き倒す大熱演。見ているこちらまで手に汗をかいてしまう凄まじいソロを魅せてくれるのです。もちろん、他の曲でもキレッキレなのですが、この曲まで凄まじい勢いで弾き倒すとは……このツアーからは何作ものライヴアルバム/映像をお届けしましたが、ここまでの名演はちょっと思いつきません。さらに、その名演を目の当たりにした観客までもが凄い。猛烈な盛り上がりは、黄金の70年代か、大ヒットの80年代かという大声援。冒頭の「Yours Is No Disgrace」が終わるや、盛大どころでは済まない大歓声が巻き起こり、ジョンも次の曲になかなか進めなくなる。「ナニがそれほど受けているんだ!?」と不思議になってしまうほどです。これほどの歓待を受けたら、終始ご機嫌でノリにノリまくるのも当然だ……。まさにライヴは観客と作るもの。そんな当たり前の事を思い知らされるショウなのです。映像・サウンド・撮影技術・観客、そして演奏……すべてが最高。“90年代最強のYES”を極上席で体験できるオーディエンス・ショットの大傑作。これを見ずして“YESの90年代”は語れない! Beacon Theate, New York City, NY. USA 7th December 1999 AMAZING SHOT Disc 1(70:25) 1. Firebird Suite 2. Yours Is No Disgrace 3. Time and a Word 4. Homeworld 5. Perpetual Change 6. Lightning Strikes 7. The Messenger 8. Nous Sommes du Soleil 9. And You and I 10. It Will Be A Good Day Disc 2 (62:06) 1. Face To Face 2. Hearts 3. Awaken 4. I've Seen All Good People 5. Cinema 6. Owner of a Lonely Heart 7. Roundabout Jon Anderson - Vocals Steve Howe - Guitars Billy Sherwood – Guitars Chris Squire - Bass Alan White - Drums Igor Khoroshev - Keyboards COLOUR NTSC Approx.133min.