2CD『SHEPHERD'S BUSH EMPIRE 1997 2ND NIGHT』は、英国の巨匠コレクションでも、特別な輝きを放つ大傑作ライヴアルバムでした。しかし、“1997年のボウイ”を捉えた巨匠作品は、その1本だけではありません。“もう1つの傑作”とも呼べるオーディエンス・アルバムが本作なのです。そんな本作が録音されたのは、2CDの前日「1997年8月11日ロンドン公演」。同じ伝統会場“シェパーズ・ブッシュ・エンパイア”です。“EARTHLING TOUR 1997”の英国公演は13回ありました(ウォームアップ・ギグを含む)が、シェパーズ・ブッシュ・エンパイアは、そのラストにしてハイライトの2日連続公演でした。巨匠テーパーは、その2日とも記録していたわけです。2CDは、巨匠ブランドを揺るがしかねない衝撃サウンドでしたが、本作は巨匠の個性が全開の“いつものサウンド”。会場の熱狂と空気感を大切にしたサウンドで、伝統会場の上品な音響も美しい逸品です。そのクリアさは2CDに肉薄しつつも、現場の空気感こそが暖かい。会場残響が楽音をほんのりと包み込みながらも、その響きは透き通っていて楽音のエッジをボカすことがない。観客の盛大な喝采も五月雨のように優しく、ボウイの上に降り注ぐかのようです。そのサウンドで描かれる“1997年のボウイ”は、2CDはまるで違う表情を魅せてくれる。もちろん、ドラムンベース/ジャングルを大胆に取り入れたデジタル路線は同じですし、1日違いのボウイ自身も大きく異なっているわけではない。しかし、サウンドボードさえ凌駕するダイレクト感とド迫力で迫る『SHEPHERD'S BUSH EMPIRE 1997 2ND NIGHT』に比べ、本作の空間感覚は迫力よりも現場を支配するダイナミズム、スペクタクルこそが鮮烈なのです。こう書くとやたらと遠いサウンドをイメージされるかも知れませんが、そうではありません。ボウイの故郷ロンドンだけに巨大なアリーナかと思いきや、名門“シェパーズ・ブッシュ・エンパイア”は、2,000人ほどのホール・クラスで決して大会場ではない。会場に充ち満ちていく感覚がたっぷりとあっても、決して“遙か彼方の楽音”ではない。そして、その空間に集っているのは、故郷ロンドンのファン。とても親密なムードの中で“1997年のボウイ・サウンド”が踊るのです。 本来であれば、2CDでは聴けない「V2 Schneider」をフィーチュアして書くべきところなのでしょうが、サウンドの違い自体こそが面白い。同じ録音家、同じ機材、同じ会場がそろっていて、(趣こそ違えど)どちらもクリアな名録音。それにも関わらず、サウンドのニュアンスによってこうまで音楽の味わいが異なるとは。これもまた、オーディエンス録音ならではの面白さ、醍醐味なのです。ド迫力で圧倒する2CDに対し、空間を沸かせるダイナミズムの本作。いずれ劣らぬ巨匠の逸品、ぜひ併せてお楽しみください。
Shepherd's Bush Empire, London, UK 11th August 1997 TRULY AMAZIZNG/PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(72:48)
1. Intro: Changes 2. Quicksand 2. Man Who Sold The World 3. Queen Bitch 4. Waiting For The Man 5. Jean Genie 6. I'm Afraid of Americans 7. Battle For Britain 8. Fashion 9. Seven Years in Tibet 10. Fame 11. Outside 12. Stay 13. Looking For Satellites 14. Under Pressure
Disc 2(63:46)
1. Hearts Filthy Lesson 2. Hallo Spaceboy 3. Scary Monsters 4. Little Wonder 5. The Last Thing You Should Do 6. Dead Man Walking 7. White Light White Heat 8. O Superman 9. V2 Schneider 10. Look Back in Anger 11. All the Young Dudes





























