ヴィブラフォン奏者のロイ・エアーズ。ポスト・バップ・ジャズで音楽キャリアを始め、70年代に入ってユビキティを結成。Ubiquity、普遍的なものを普及させることを意味する英語ですが、ジャズとファンク、相性の良い音楽性をいち早く融合させ、ジャズ・ファンクというジャンルをしっかり確立させた功績は計り知れないものがあります。そんなロイ・エアーズのプロショット・ライブ演奏を3つ、1080PのHDクオリティーでトータル3時間、ブルーレイにてリリースします。まずは11年ノース・シー・ジャズ・フェス。ロバート・グラスパー・エクスペリメントの演奏がまずあって、キャセイ・ベンジャミンの心地良いサックスのフレーズが引っ張る前半、ロバート・グラスパーの流麗なピアノで酔わせるジャズ・インスト「Beautiful Changes」がプレイされます。バンマスのロバートの紹介からの、ロイ・エアーズらが入ってきつつの「Everybody Loves The Sunshine」は、嗄れ声のロイのボーカルとレイ・ガスキンのサックスが哀愁の空間を一気に提供してくれています。そしてヒップホップDJのピート・ロックをクリス・ロックと紹介してしまうロイ、そのピートが女性コーラスとバッキングを任された形で「Don't Stop The Feeling」が披露されます。クリス・デイブのドラムとレイのサックス、ロイのヴィブラフォン、これら適度な生音のブレンドから、気が付くとグラスパーのバンドが入ってきて、徐々にジャム感が増していく様が気持ち良いです。グラスパーのエレピに満足気な顔で見守るロイが居て、ピートのJB声のサンプリングが入り、キャセイがヴォコーダーを駆使する、72年の『He's Coming』収録の「We Live In Brooklyn, Baby」がヒップホップ寄せで演奏されます。唯一無二のロイのヴィブラフォーンの調べが蕩けます。そしてアル・グリーン、ビージーズ、キャメオ、ホール&オーツ、マイケル・ジャクソン等のダンクラ曲を観客に向けて流すピート・ロックのDJセット、そこから「Running Away」が飛び出すと、レイのサックスがまたもや大暴れ、バンド演奏のジャムの様相を呈してライブ終了まで突き進みます。そして16年のTerminal Music & Arts Festival。これは完全にロイ・エアーズのバンドによるライブです。特にThe B.B. & Qバンドのドラム、バーナード・デイヴィスのタイム感、歌も入れる器用さには圧倒されるはず。73年のアルバム・タイトル曲「Red, Black & Green」のスリリングさ、スピリチャル且つメロウで解脱性ありありの絶対名曲「Everybody Loves The Sunshine」もこのバンドだと神々しいです。75年『Mystic Voyage』収録の「Spirit Of Do Do」、「Life Is Just A Moment」、そしてフィリップ・ウーがキーボードだった78年のアルバム『You Send Me』から「I Wanna Touch You Baby」の優雅さたるや。83年の『Lots Of Love』からの「Black Family」はロイの即興的なボーカル、そしてヴィブラホーンの流れるようなソロが入って最高です。ラストは79年の『No Stranger To Love』のオープニング曲、R&Bチャート32位の最早ダンクラ界の重鎮曲「Don't Stop The Feeling」のジャズ・ファンクとディスコの絶妙なバランス配合グルーブで閉め。クールさに特化した最高のライブです。そして18年シンプルな編成でのTiny Deskの演奏。ボーカルはロイのみ、しゃがれ声がダイレクトに生々しく伝わってきます。「Black Family」でのビブラフォーンは神懸り的ロイを観ることが出来ます。また多幸感たっぷりの「Everybody Loves The Sunshine」はキーボードのマーク・アダムスがコーラスのサンプリングを入れて毛色を変えています。バンド・メンバーによってロイ・エアーズのサウンドは無限に変化していきます。そしてどれもこれも受け止めてしまうロイの懐の深さ。3時間があッという間に過ぎてしまいます Beautiful Changes Everybody Loves The Sunshine Don't Stop The Feeling We Live In Brooklyn, Baby Pete Rock DJ Set Running Away Roy Ayers - vocals, vibraphone Pete Rock, John Pressley - vocals Raeford Gaskins - saxophone Robert Glasper - piano Derrick Hodge - bass Chris Dave - drums Casey Benjamin - saxophone, vocoder Ahoy Hall, Rotterdam, The Netherlands, July 9. 2011 Intro Searchin' Running Away Red, Black & Green Everybody Loves The Sunshine Spirit Of Do Do We Live In Brooklyn, Baby I Wanna Touch You Baby Black Family Life Is Just A Moment Don't Stop The Feeling Roy Ayers - vocals, vibraphone John Pressley - vocal Donald Nicks - base Bernard Davis - drums Everett Freeman Jr - keyboards Letnja Scena Kabare, Sombor, Serbia, Aug 4, 2016 Serching Black Family Everybody Loves The Sunshine Roy Ayers - vocals, vibraphone Mark Adams - keyboards Trevor Allen - bass Christopher De Carmine - drums NPR Music Tiny Desk Concert, March 1, 2018 Pro-shot 182min