2010年ROXY MUSICから9年ぶり、ソロとしては17年ぶりとなる来日公演が実現したブライアン・フェリー。その最新オリジナル録音が登場です。そんな本作に収められているのは「2019年3月11日なんばHATCH」公演。その極上オーディエンス録音です。今回の来日は大阪・東京の2公演のみでその両公演のライヴアルバムが同時リリース。本作は、その大阪編というわけです。フェリーと言えば、昨年『BITTER-SWEET』をリリースしただけでなく、2019年にはROXY MUSICがロックの殿堂入りすることが決定し、7月からは名作『AVALON』をフィーチュアした全米ツアーも発表。いつになく熱い注目が寄せられています。まずは、そんな近況の中から日本公演のポジションを確認してみましょう。 ●2018年《11月30日『BITTER-SWEET』発売》・11月30日-12月22日:欧州(17公演)●2019年・2月14日-3月7日:南アフリカ/オセアニア(8公演)・3月11日+13日:日本(2公演) ←★ココ★《3月29日:ロックの殿堂式典》・5月20日-7月21日:欧州(17公演)・7月30日-9月3日:北米(18公演)これが『BITTER-SWEET』リリース以降、現在までに公表されているスケジュール。2019年は南半球と日本公演を行い、今月末にはいよいよロックの殿堂式典が待っています。本作の大阪公演は17年ぶりの日本初日にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに極上のオーディエンス録音。モノにしたのは当店ではお馴染みの“西日本最強テーパー”氏。HR/HM系の名作で印象の強い録音家ですが、実は守備範囲が非常に幅広い。ジャクソン・ブラウンやジェフ・ベック、ブライアン・セッツァー、CHIC&ナイル・ロジャース等々、多彩な名録音を記録してきました。本作は、そんな幅広さを証明するような業物。フェリー特有のふんわりとした感触ではありますが、それはあくまで出音の個性。会場音響ではないのでクリアさとバランスが素晴らしく、距離感にもならない。そして何より、その真ん中を貫く芯が極太。ギターのエッジもキリリと立ち、飛び交うヴァイオリンやサックスも輪郭がクッキリとしている。「現場で聴くよりも良い音」と噂される手腕は本作でも全開で、まさに美音を極めるような名録音なのです。そのサウンドで描かれるショウは、まさに豪華絢爛。ROXY MUSICもソロも取り上げつつ、その焦点は70年代・80年代。ROXY MUSICは全アルバムから満遍なくセレクトされ、ソロは代表作『BOYS AND GIRLS』を4曲と厚めにしつつ『LET'S STICK TOGETHER』から『BETE NOIRE』までに限定している。唯一「Don't Think Twice It's Alright」だけは『FRANTIC』ナンバーですが、60年代ボブ・ディランのカバーですので違和感ゼロ。観客が望む一番美味しい時代を濃縮還元で披露してくれるのです。そんなセットを綴る演奏も鉄壁。ジェリー・ミーハン&ルーク・バレンのリズム隊は長年サポートを務めてきただけに揺るぎなく、ギターにはクリス・スペディングが参加。色っぽいトーンも、鋭く切れ込むフレーズも極上サウンドでたっぷりと味わえるのです。そして、色気と言えばフェリー。どの曲でも円熟の歌声を聴かせてくれますが、特に中盤で披露される「Don't Think Twice It's Alright」は絶品。ピアノだけをバックに切々と歌い、ハイライトでは滋味深いハープを披露する。その切なくも暖かいトーンがとにかく美しく、胸に迫る。その素晴らしさを目の当たりにした会場のムードもリアル。場内から一瞬どよめきが起きるものの、すぐ針の落ちる音も聞こえそうな静寂に包まれる。そして、演奏が終わると五月雨のように優しい喝采が場内一杯に降り注ぐ……。歌声や演奏はもちろん、そんな観客の息づかいまでもが美音で綴られるライヴアルバムなのです。とにかく美音を極める極上サウンドで豪華絢爛のショウを真空パックしたライヴアルバムの大傑作です。色気や滋味をたっぷりと振りまく歌声、円熟の演奏、濃縮された名曲群。そのすべてが頂点的に素晴らしく、名作『AVALON』のツアーでの再来日を祈りたくなる1本。 Live at Namba Hatch, Osaka, Japan 11th March 2019 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (48:34) 1. Intro 2. The Main Thing 3. Slave To Love 4. Don't Stop the Dance 5. Ladytron 6. Out of the Blue 7. Oh Yeah 8. Tokyo Joe 9. A Waste Land 10. Windswept 11. Bete Noire 12. Zamba 13. Stronger Through the Years 14. Don't Think Twice It's Alright Disc 2 (48:35) 1. My Only Love 2. In Every Dream Home a Heartache 3. If There Is Something 4. More Than This 5. Avalon 6. Band Introductions 7. Love Is the Drug 8. Remake/Remodel 9. Editions of You 10. Jealous Guy 11. Let's Stick Together Bryan Ferry - Lead Vocals Chris Spedding - Guitar Jorja Chalmers - Saxophone, Clarinet, Keyboards Marina Moore - Viola, Violin Richard Cardwell - Keyboards Jerry Meehan - Bass Luke Bullen - Drums Aleysha Lai - Backing Vocals Hannah Khemoh - Backing Vocals