Name: Nick Mason ニック・メイソン/Canada 2019
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Nick Mason ニック・メイソン/Canada 2019

昨年、新プロジェクトで初期FLOYDミュージックを大胆に甦らせてみせたNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。新たな名曲も披露したツアー初日を現場レポートするライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年３月12日バンクーバー公演」。その傑作オーディエンス録音です。NICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETSは、昨年の５月に衝撃のデビューを果たしたわけですが、当店ではその当初からライヴアルバムでレポートしました。あれから半年。大英帝国勲位コマンダーの受勲も決まったニックは、遂にSAUCERFUL OF SECRETSを再始動。まずは、その歩みを振り返りつつ、2019年近況の中でショウのポジションを確かめてみましょう。 ●2018年・５月20日-24日：英国#1（４公演）・９月２日-21日：欧州（15公演）・９月23日-29日：英国#2（６公演）●2019年・３月12日-４月22日：北米（28公演）←★ココ★・４月29日-５月４日：英国（５公演）・７月３日-27日：欧州（14公演）これが初ステージから現在までに公表されている全ライヴ。昨年は英国を中心に大陸ヨーロッパを巡りましたが、今年は遂に大洋を渡って渡米。昨年の全日程を超える28公演規模の本格的なツアーを開始しました。本作のバンクーバー公演は、その「北米」の初日にあたるコンサートでした。まさに2019年の第一報となる本作は、実に美しいオーディエンス録音。何と言っても素晴らしいのは、端正な鳴り。サウンドボードと間違えるようなダイレクト録音ではないのですが、それが似合ってしまうのがNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。逞しい芯がまっすぐ手元まで飛び込みつつ、そこからオーラのように立ち上る会場音響が不思議と距離感にならず、艶が増している。ディテールも綺麗に届いており、客録では弱みになりがちなベースはラインもクッキリと描かれ、歌詞の１語１語まではっきり分かる。しかも、ホール鳴りが独特な幻想感、浮遊感も演出してくれるから素晴らしい。演奏を細部まで聴くにも十分にクリアで、無心に浸りきるにもムードたっぷり。気分によって万華鏡のように表情を変えてくれるサウンドなのです。そんなサウンドで描かれるのは、2018年とはまたひと味違った初期FLOYDの世界。メンバーの人選やアレンジ、おおよそのセットは絶賛を浴びた去年を踏襲していますが、更なる名曲が追加。ショウの中盤に『神秘』の「Remember A Day」が演奏され、アンコールにも『雲の影』の「Childhood's End」が披露されました。「Remember A Day」は2008年にデヴィッド・ギルモアがリチャード・ライト追悼で一度だけ演奏しましたが、それ以外にメンバーのソロでも記録がなくほぼ51年ぶりの復活。「Childhood's End」も1973年以来の46年ぶりの生演奏になります。昨年の基本セットからシングル曲「Point Me At The Sky」が落ちているので単純な追加ではありませんが、増量には違いなく、予想外の初期FLOYDナンバーが飛び出す衝撃が再び味わえる。昨年の例からするとこのまましばらく固定セットになると予想されますが、本作は初演だからこそ衝撃も瑞々しい。どちらの曲もイントロで喝采よりもどよめきやどの曲か迷うような静けさが漂う。今後、本当に固定セットになれば演奏もこなれていくでしょうし、会場ムードも違っていくはず。その変化も楽しみになる再始動初演アルバムなのです。そして、北米初上陸のムードも美味しい。客層から言ってバカ騒ぎになるはずもなく、骨太な演奏音が轟くとサッと聴き入るタイプ。しかし、ハイライトで沸き起こる喝采は盛大で、ところどころ飛ぶ声援も北米らしい。いかにネットの普及で事前に予習できるとは言え、一般ヒット曲が皆無なセットでもしっかりと付いていく観客たちの待ちに待った感が熱い。もちろん、ギルモアやロジャー・ウォーターズのステージのように大合唱になるわけではありませんが、北米ファンの層の厚さ、本気度も感じられるのです。新たな復活レパートリーを引っさげ、大洋を渡ったNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。その再始動ステージの第一報にして、２つとない初演を素晴らしいサウンドで封じ込めたライヴアルバムの大傑作です。 Live at Queen Elizabeth Theatre, Vancouver, BC, Canada 12th March 2019 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc 1 (50:19) 1. Intro 2. Interstellar Overdrive 3. Astronomy Domine 4. Nick Mason Introduction 5. Lucifer Sam 6. Fearless 7. Obscured By Clouds 8. When You're In 9. Remember A Day 10. Arnold Layne 11. Vegetable Man 12. Nick Mason Introduction 13. If 14. Atom Heart Mother 15. If (reprise) Disc 2 (54:24) 1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is The Colour 4. Gary Kemp Introduction 5. Let There Be More Light 6. Nick Mason Introduction 7. Set The Controls For The Heart Of The Sun 8. See Emily Play 9. Bike 10. One Of These Days 11. Childhood's End 12. A Saucerful Of Secrets Nick Mason - drums Guy Pratt - bass & vocals Gary Kemp - guitar & vocals Dom Beken - keyboards Lee Harris - guitar & vocals