今月はストーンズの1969年アメリカ・ツアー50周年月間です。その先陣としてオルタモントでのフリー・コンサートのアッパー版「ALTAMONT 1969」が大好評を博していますが、今回はさらに69年の玄人好みなライブ音源をベストバージョンにてリリース。このツアーは「ライバー・ザン・ユール・エヴァー・ビー」という、ストーンズ初のブートレグというだけでなく、ロック史上における初のオーディエンス録音ブートが生み出されています。11月9日のオークランド公演を収録した「ライバー」は当時としては驚異的なクオリティのオーディエンス・アルバムだったことに加え、1969年の内にリリースされたことで一大センセーションを巻き起こしました。この「ライバー」で聞かれたオークランド公演のインパクトが大きすぎてか、あるいは他にストーンズ・ショーをリリースできるブートレガー(ライバル)が存在しなかったせいからか、その他の69年ツアー音源がすぐにはリリースされなかった。「ライバー」を録音したTMOQチームが他の公演、つまりサンディエゴをリリースしたのはずっと後ですし、「STONED M.S.G.」も1971年以降。意外にも「ライバー」に次ぐ69年ツアーのリリースは11月24日のデトロイト公演を収録したアイテムだったのです。そんなデトロイト公演ですが、先の「ライバー」に次ぐストーンズの最初期ブートの一つでして、紫のレーベルの「"WE DIDN’T REALLY GET IT ON UNTIL DETROIT"」としてリリースされていました。その後レーベル表記なしの「R.S.」やコントラバンドがタイトルを変えて出した「"WE NEVER REALLY GOT IT ON TILL DETROIT"」といったコピー盤が生まれましたが、69年としては非常に珍しいステレオで録音されていた音源がモノラルにダウングレードするという大きな弊害が生じています。おまけに「"WE DIDN’T REALLY GET IT ON UNTIL DETROIT"」LPは「ライバー」のように元音源がトレーダー間に出回ることもなく、それどころか現在に至るまで69年のデトロイト公演を収録した唯一の音源として未だに価値が薄れていないという。それだけにCDでもいくつかLPを元にしたアイテムがリリースされてきましたが、その中ではDAC「SOME SATANIC TOUR VOL.2」が現状ベストだったかと思われます。とはいえ元の録音のヒスノイズを嫌ってか、いくつかの曲がモノラル化されていた上、何よりアメリカでのストーンズ・ショーらしい曲間での観客の歓声を嫌い、そのほとんどをカットするという編集が施されていました。しかもカットされたせいで「Little Queenie」が始まった瞬間に加え、さらにいくつかの演奏終了時の余韻が途切れてしまうという弊害も生じてしまったのです。そこで今回はコレクターからレアな「"WE DIDN’T REALLY GET IT ON UNTIL DETROIT"」LPを提供いただき、改めて丁寧なCD化を敢行。とはいえ所詮は最初期ブートLPです。盤質そのものが悪く、そこからのクリーンなトランスファーは困難を極めました。それを裏付けるように過去のアイテムもノイズ処理には手を焼いていたもの。だからこそ最新テクノロジーを用いたスクラッチノイズの除去は当たり前、研究書でも指摘されていた「Prodigal Son」以降のステレオ音像の変化も当然アジャスト。ピッチに関しては言わずもがな。そして何より今回は全体をLP本来のステレオ・オーディエンスにて収録していますので、1969年当時には極めて珍しかったステレオ録音にて、デトロイト公演の豊かな臨場感が蘇ります。確かに曲間における周囲の観客の盛り上がりが目立つのですが、それも当時のリアルなドキュメントとして十分に面白いもの。一番傑作なのは「Live With Me」辺りから場内が盛り上がり始めたことにテーパーが気をとられたか、何度かマイクをぶつけてしまいます。それだけならまだしも、いよいよ観客の熱狂ぶりがエスカレートしてきた「Honky Tonk Women」の前後で「testing! 1, 2…」と左右のマイクをチェックしているのだから、おかしいことこの上ない。まだコンサートを録音するという行為自体が珍しかった1969年、そこでステレオ録音を試みたテーパーの涙ぐましい姿がここにある。彼が苦労して録音してくれた音源は程よい距離感とステレオならではの臨場感が素晴らしいのです。もちろんモノラルながら超優等生オーディエンスだった「ライバー」と比べればヒスノイズを始めとした粗さがあり、全体的にマニア向け音源なのは事実。それでも69年で奇跡のステレオ録音は十分に魅力的。そして69年ツアー初期ステージの完成形だった「ライバー」と比べ、こちらは世紀の名演マディソン・スクエア・ガーデンを数日後に控え、バンドのボルテージが上がり始めた様子を捉えてくれている点も価値が高い。その時と違い「Sympathy For The Devil」ではテイラーのギター・ソロも設けられたアレンジへと進化していますし、「Midnight Rambler」ではキースの刻みとテイラーのカッティングが掛け合う展開が他のショーと違うパターンで聞かれます。ミックもツアーが中盤に差し掛かり自信たっぷりな様子で、例の盛り上がった「Honky Tonk Women」では「Detroit city」と替え歌して観客は大喜び。この場面や「Satisfaction」での会場が一丸となった盛り上がりはステレオ録音だからこそ際立つリアルな質感。今も価値の色褪せないビンテージLPを丁寧に封じ込めました。奇しくもデトロイト公演から50周年を目前に控え、今回こそ全編を自然で豊かなオリジナルのステレオ・サウンドでじっくりとお楽しみください!
(リマスター・メモ)★ピッチ調整。★イコライズ/左右バランス調整/音圧調整/針パチ除去しました。
Olympia Stadium, Detroit, Michigan, USA 24th November 1969 (67:59)
1. Intro. 2. Jumping Jack Flash 3. Carol 4. Sympathy For The Devil 5. Stray Cat Blues 6. Love In Vain 7. Prodigal Son 8. You Gotta Move 9. Under My Thumb 10. Midnight Rambler 11. Live With Me 12. Little Queenie 13. Satisfaction 14. Honky Tonk Women 15. Street Fighting Man





























