「69RSTRAX」にはスタジオ録音だけでなく、1969年アメリカ・ツアーからの音源も多く含まれていました。当然マニアはそれらにも期待を寄せたものの、かのオークランドは従来のオーディエンス録音がそのまま使い回されて肩透かし。なーんだ、一大騒動となった「69RSTRAX」もライブ音源の方は大したことないのか…と思いきや、オフィシャル肝いりならではのとんでもない隠し玉が用意されていたのです。先のオークランドを収録した名盤「ライバー」に触発されてリリースされたライブアルバム「GET YER YA-YA'S OUT」におけるメイン・レコーディングと言えばマディソン・スクエア・ガーデンでの三公演。そのうち11月27日、さらに28日のセカンドショーは「ライバー」にこそ及ばないものの、十分に良好なレベルのオーディエンス録音が存在しており、それぞれのステージの素晴らしさを伝えてくれたものです。なるほど、さすがにライブアルバム用レコーディングが行われただけのことはある。となればこれら三回のステージはマルチトラック録音による音源の存在が確定している訳で、その登場は世界中のマニアにとって見果てぬ夢となっていたことでしょう。「収録になるとライブの気合が入る」あるいは「大都市になると気合が入る」というストーンズ伝説のスタート地点でもありました。そんな思いを「69RSTRAX」が遂にその夢を叶えてくれました。しかも一気に三ステージ全部!今回登場したそれらのライブ・レコーディングですが、まず27日に関しては「GET YER YA-YA'S OUT」(以下「GYYYO」と称します)用に録音されたマルチトラックをステレオにミックスする前の状態、実質的にモノラルで登場しました。「GYYYO」にはこの日からの採用テイクが少なかったことからも、そのような状態での登場となったのだと推測できます。とはいえ最初に録音が始まってカットインする音からして「GYYYO」のオープニングで聞かれたあの音そのもの。よってモノラルではありますが、いわゆるPAアウトの卓直結サウンドボードと比べると演奏のディティールがダイレクトすぎることもなく、はるかにバランスが良い。何より臨場感がしっかり伝わってくる。69年ツアーの卓直結サウンドボードといえば「OAKLAND SIXTY-NINE」音源が挙げられますが、それと聞き比べれば違いは歴然。むしろ「69RSTRAX」にアップロードされた際、音源が圧縮されたせいでチャーリーのシンバルの音がシュワシュワしてしまったのが玉に瑕かと。それでも非常に良好なサウンドボード録音であることに変わりはありません。27日のショーですが、先にも触れたオーディエンス録音においても、その際立ったボルテージの高さが際立っていた名演。それを今回のサウンドボード体験で改めて聞くといよいよ鮮烈。特に「Carol」はチャーリーのドラムを中心とした演奏の勢いが凄まじく、次の「Sympathy For The Devil」ではツアー前半と違いキースとミック・テイラーそれぞれがギターソロを分け合うアレンジとなった中、二人とも火を吹くようなフレーズを弾いていて鳥肌が立ちます。それに何と言っても「GYYYO」のオープニングである「Jumping Jack Flash」がこの日のテイクな訳ですが、ここではミックがボーカルを差し替える前のオリジナル歌唱を聞くことができる。彼の歌いっぷりがまるで違っていたことはオーディエンス録音にて既に証明されていましたが、やはりオリジナル・ボーカルがサウンドボードで聞けるのは格別。何よりキースがハモってないし(笑)。今からちょうど10年前にリリースされた「GYYYO」の40周年エディションに採用された「Under My Thumb」ですが、こうして聞いてみればイントロでビルのベースの音量が相当に大きくなってしまっていたことが分かって面白い。これもミキシングが施される前ならではというもの。同曲から「I’m Free」へと切り替わる際が「69RSTRAX」で公開された際には微弱なカットが生じていましたので、そこは40周年エディションをモノ化してパッチしました。カットと言えば「Midnight Rambler」が始まる前の曲間において、より大きな欠損が生じていますが、それがマルチトラック・テープの掛け替えであることは明らか(リーズ71でも同様のカットがありましたよね)。そこで同日のオーディエンス録音をパッチして完全を期しています。その一方、この「Midnight Rambler」は「GYYYO」に採用された翌日のテイクと比べると少しまとまりを欠いた演奏であったことがサウンドボードのおかげでよく解る。かといって演奏がダレている訳ではないのが69年ツアー。この後チャーリーを中心として「Live With Me」や「Satisfaction」で再びストーンズが爆発。こうしてサウンドボードで聞けばストーンズのみなぎる気合がヒシヒシと伝わってくる。何しろ69年ツアーにおける名演中の名演だったMSG初日のステージを全編サウンドボードで聞ける日が遂にやってきました。正に世界中のマニアにとってのdream come true!
Madison Square Garden, New York, NY, USA 27th November 1969 SBD (69:43)
1. Intro. 2. Jumping Jack Flash 3. Carol 4. Sympathy For the Devil 5. Stray Cat Blues 6. Love In Vain 7. Prodigal Son 8. You Gotta Move 9. Under My Thumb 10. I'm Free ★0:01 - 0:03 は欠落してるので「Get Yer Ya-Ya's Out」をイコライズ補填 ★2:48 - 最後まで 補填
11. Midnight Rambler★0:00 - 1:27 補填 12. Live With Me 13. Little Queenie 14. Satisfaction 15. Honky Tonk Women 16. Street Fighting Man
SOUNDBOARD RECORDING





























