テリー・ポジオとのトリオで奇跡の再結成を果たした2012年のU.K.。その来日公演を伝えるオリジナル録音が本邦初公開です。そんな本作に記録されているのは「2012年6月19日:なんばHatch公演」。その極上オーディエンス録音です。2012年と言えば、ウェットンはU.K.だけでなくソロやASIAとの三足のわらじで活動し、そのすべてで来日も実現しました。いつもなら日本公演の詳細からご紹介するところですが、それは同時リリースとなるソロ篇『Amity 605』の解説を参照していただくとして、ここでは活動の全体像からショウのポジションを確かめてみましょう。◎1月17日+18日:日本#1(2公演) 5月1日-21日:北米#1(14公演)5月24日-30日:欧州(5公演)※ポジオ不参加 6月14日-21日:日本#2(6公演)←★ココ★ 6月24日:NEARfest出演 ※ポジオ不参加《6月29日:ASIAの『XXX』発売》・9月2日:WEYFEST 2012出演・9月24日-27日:日本#3(4公演) ・10月11日-11月23日:北米#2(31公演)※注:「◎」印はソロ公演、「◆」印はU.K.公演、「・」はASIA公演。 これが2012年のジョン・ウェットン。ASIAの『XXX』リリース直前となる5月-6月にU.K.での活動を実施。ただし、そのすべてでポジオが参加したわけではない。トリオ再結成が実現したのは「北米#1」と「日本#2」だけでした。そして、日本公演はほぼほぼクラブチッタのみ。本作の大阪公演だけが唯一の例外でした。そんなショウで記録された本作は、ソロ篇『Amity 605』の姉妹作でもある。今週同時リリースとなる2作は、どちらも“西日本最強テーパー”氏の秘蔵コレクション。常に「まるでサウンドボード」「現場より良い音」と絶賛される名手中の名手ですが、本作はその名声を一層高める業物なのです。実際、本作のサウンドも超クリア&超端正。スネアの鳴りにオーディエンスらしい軽さを感じつつ、その鋭くクリアな輪郭は客録離れ。しかも、他のサウンドは丸っきりサウンドボード・クラスで、ベースはブリブリとしたアタックもぶっといグルーヴも超鮮明で、ヴァイヴを風圧で感じる。そして、エディ・ジョブソンのヴァイオリン&シンセ。これがもうすんごいのなんの。距離感など微塵もなく、高音をキレイに伸びに伸び、重低音は五臓を揺るがし六腑を振るわせる。それこそ「本当はエディのIEMsに歓声をオーバーダブしたんじゃないの!?」と思ってしまうほどです。そんな極太&美麗サウンドで描かれるのは、33年ぶりに奇跡のトリオ再編を果たしたU.K.のフルショウ。トリオ再結成と言えば、極上サウンドボード・アルバム『DEFINITIVE WILMINGTON 2012』が象徴として君臨していますが、本作は似て非なるセット。ここでは比較しながら整理してみましょう。憂国の四士(5曲)・Alaska/Thirty Years/In The Dead Of Night/By The Light Of Day(★)/Presto Vivace And Reprise デンジャー・マネー(6曲:全曲)・Nothing To Lose(★)/Rendezvous 6:02/Carrying No Cross/Danger Money/Caesar's Palace Blues/ The Only Thing She Needs その他(2曲)・Night After Night/As Long As You Want Me Here(★)※注:「★」印は象徴サウンドボード『DEFINITIVE WILMINGTON 2012』でも聴けない曲。……と、このようになっています。大阪ではKING CRIMSONの「Fallen Angel」が無かったのですが、基本的には増量。しかも、「Nothing To Lose」が増えたことにより『デンジャー・マネー』が全曲披露にまで拡大され、『NIGHT AFTER NIGHT』の「As Long As You Want Me Here」も盛り込まれ、3人だからこそのレパートリーがすべて網羅されているのです。しかも、そのセットを綴るアンサンブルも最高。前述したようにポジオとのトリオ再編は限られた公演だけであり、その初期にはアンサンブルが崩れかける危ういショウもありました。しかし、本作は北米14公演に加え、東京もこなしたジャパンツアー5公演目。2012年の再編でも最後期にあたり、急速にバンドとしての完成度を高めていったアンサンブルがたっぷりと楽しめるのです。貴重にして二度とは実現しないトリオU.K.。その短い活動歴の中でも進化した名演を名手中の名手が腕によりをかけてフル記録した奇跡のようなライヴアルバムです。まさに日本初の文化遺産。 Live at Namba Hatch, Osaka, Japan 19th June 2012 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (75:36) 1. Alaska 2. Night After Night 3. Nothing To Lose 4. MC 5. Thirty Years 6. Rendezvous 6:02 7. Carrying No Cross 8. Kimitachi Saikodayo 9. Keyboard & Violin Solo 10. Drum Solo Disc 2 (45:05) 1. MC 2. As Long As You Want Me Here 3. Danger Money 4. In The Dead Of Night 5. By The Light Of Day 6. Presto Vivace And Reprise 7. Caesar's Palace Blues 8. The Only Thing She Needs John Wetton - Bass, Vocal Eddie Jobson - Keyboards, Electric Violin Terry Bozzio - Drums, Percussion