名作『VICTIMS OF THE FUTURE』で独自のハードロックを極め、全世界に挑んでいた1984年のゲイリー・ムーア。そのハイライト公演を極太サウンドで現場体験できる新発掘ライヴアルバムが登場です。そのハイライト公演とは「1984年8月18日ドニントン公演」。英国最大のHR/HMフェスティバルであった“MONSTERS OF ROCK”の本国篇に出演した際の超強力オーディエンス録音です。このところ、1984年MORの名作がリリース・ラッシュとなっておりますが、本作もその一環。ショウ自体はコンピレーション・タイトル『MONSTERS OF ROCK 1984 VOL.1』の一部としてレポートした事もあるものの、本作はあの5枚組とは完全な別録音です。その気になるクオリティの前にショウのポジション。当時のゲイリーは“VICTIMS OF THE FUTURE Tour”の最中であり、細々としたメンバー交代も挟みつつ、公式作品『WE WANT MOORE!』『EMERALD AISLES』も制作されました。その辺の状況を整理する意味でも、まずはツアー概要から振り返ってみましょう。・1月16日-2月17日:英国#1(13公演)←※WE WANT MOORE!・2月24日-29日:日本(5公演)←※WE WANT MOORE!・3月10日-30日:欧州#1(17公演)《DRUMS:イアン・ペイス→ボビー・チョウナード交代》・5月8日-7月7日:北米(39公演)←※WE WANT MOORE! 《DRUMS:チョウナード→ポール・トンプソン交代》・8月15日-9月2日:欧州#2(6公演) ←★ココ★《11月『Out In The Fields』製作》《BASS:クレイグ・グルーバー→ボブ・デイズリー交代》・12月12日-20日:英国#2/アイルランド(5公演)←※EMERALD AISLES これが1984年のゲイリー・ムーア。『VICTIMS OF THE FUTURE』自体は1983年12月にリリースされましたが、ツアーは年が明けてから。主戦場はあくまでもヨーロッパでしたが、実はこの年の北米ツアーはゲイリーのソロ・キャリアで最大のもの。本作のドニントン公演は、そんな本気の全米侵攻から帰ってきた「欧州#2」の2公演目にあたるコンサートでした。ちなみに、このミニツアーの後フィル・ライノットとのシングル『Out In The Fields』や母国ツアーの映像作『EMERALD AISLES』の制作に着手。つまり、本作に永久保存されているのはアイリッシュ・ロックに開眼する寸前のゲイリーでもあるのです。 【過激なほどに強力な豪腕オーディエンス録音】そんなショウで記録された本作は、頭をブン殴られるような衝撃に酔いしれる強力オーディエンス。もうピンと来られている方も多いと思いますが、このところ“MONSTERS OF ROCK 1984”関係で名作を連発している「G.Mann」コレクションの一作で、とにかく芯が超極太でド密着。恐らくは会場内のPA塔へダイレクトにマイクを向けていると思いますが、すぐそこで鳴っている出音に距離感など皆無で、壁や天井のない野外だからこそ反響成分もゼロ。苛烈な演奏音の輪郭が切り立ちまくり、ベースもゴリッゴリならドラムはキットの構造が浮かぶほどに立体的です。そして何より、軋んで唸って泣き叫ぶギター! これがもう、超・強烈。マシンガン・ピッキングの一発一発が鮮やかなのは当たり前で、その一粒ずつに金属光沢があり、それがとんでもない速度で襲いかかってくる。そうかと思うと悲鳴のようなアーミングも弦がちぎれそうなチョーキングも凄まじいド迫力。ここまで来るとフレーズだの、音色だのといった次元ではない。「ギターってここまで《鳴る》物なんだ」と驚くほど。幾多のロック・ギタリストの無数の記録を扱ってきましたが、本作のゲイリーが弾いてるのはまったく別のモンスター楽器なんじゃないかと思えてしまう。正直にも申し上げますと、本作は「端正」や「美しい」といった表現は似合わない。あくまでもダイレクト感と迫力に特化しており、その意味で完成度が高いとは言えない。しかし、そんなものは「クソ食らえ」。ギターをここまでいたぶり、泣かせ、吠えさせる音楽が他にあるのか、そのド迫力を体感できる音楽盤が存在するのか。「さて、ゲイリーのライヴ盤でも聴くか」と思って再生すると、未知なる音楽感覚に不意打ちを食らって脳みそがかき回される……そんな衝撃の音楽体験盤なのです。 【HRでありつつ[未知なる音楽体験]でもある衝撃盤】あまりに凄いサウンド、凄いギターにネジがブッ飛んでしまいましたが、客観的に言えば本作はゲイリーのライヴアルバム。HR時代の名曲をたっぷりと楽しめる1枚です。そのレパートリーもここでご紹介しておきましょう。 大いなる野望・Rockin' Every Night(★)/Wishing Well(★)/Cold Hearted ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー・Murder In The Skies/Shapes Of Things/Victims Of The Future/Empty Rooms その他・バック・オン・ザ・ストリーツ:Parisienne Walkways ・White Knuckles/Rockin' And Rollin'(★)・その他:Majestuso E Virtuoso ※注:「★」印は『WE WANT MOORE!』では聴けない曲。……と、このようになっています。ざっくばらんに言って『ROCKIN' EVERY NIGHT』『WE WANT MOORE!』の2枚を足して2で割ったようなセットですが、やはり演奏の濃さは全然割ってる感じがしない。2枚を重ねて力ずくで1枚に濃縮し、更に煮詰めて粉になる寸前のドロッドロに濃いエキスのような極濃ハードロック。もはや自分でも何を書いているのかサッパリなのですが、そんな妄言が脳みそから次々と引っ張り出されてしまうほど爆裂テンションのハードロックと豪腕ギターの連続なのです。とにかく、とんでもなく強力なサウンドとブッちぎれたギター。それでいながらすぐ破綻へ向かってしまうハードコアやグランジとは違い、鋼鉄の剛性で楽曲が崩れないハードロックならではのダイナミズムが叩きつけられる。“ハードロッキン・ゲイリー”の魅力全開でありつつ、その次元を超えた「音楽の衝撃」にいたぶられる新体験アルバムです。サウンドボードか、オーディエンスかではなく、本作でしか味わえないサウンドとロック。「1984年8月18日ドニントン公演」の超強力オーディエンス録音。話題の「G.Mann」コレクションの一作で、とにかく芯が超極太でド密着。距離感など皆無で、壁や天井のない野外だからこそ反響成分もゼロ。特にギターが超・強烈。マシンガン・ピッキングの一発一発が鮮やかなのは当たり前で、その一粒ずつに金属光沢があり、それがとんでもない速度で襲いかかってくる。そうかと思うと悲鳴のようなアーミングも弦がちぎれそうなチョーキングも凄まじいド迫力。「ギターってここまで《鳴る》物なんだ」と驚くほどの異次元サウンドで“ハードロッキン・ゲイリー”絶頂の超名演をフル体験できます。Castle Donington, Leicestershire, UK 18th August 1984 TRULY PERFECT SOUND(NEW SOURCE) (65:55) 1. Intro 2. Rockin' Every Night 3. Wishing Well 4. Murder In The Sky 5. Cold Hearted 6. Shapes Of Things 7. Victims Of The Future 8. Empty Rooms 9. Majestuso E Virtuoso 10. White Knuckles 11. Rockin' And Rollin' 12. Parisienne Walkways Gary Moore - Vocals, Guitar Neil Carter - Guitar, Keyboards, Vocals Craig Gruber - Bass Paul Thompson - Drums