大好評『MSG 1977 FINAL NIGHT』も記憶に新しい中、さらなる傑作が早くも登場。「GRAF ZEPPELIN」マスタリングで磨き上げられた名録音が完全版。そんな本作に吹き込まれているのは「1977年7月3日マディソン・スクエア・ガーデン公演」。その一部始終を体験できる絶品オーディエンス録音です。1977年のMSGと言えば、前述の『MSG 1977 FINAL NIGHT』だけでなく『DEFINITIVE MSG 1977』も大定番。ツアーの全体像は『MSG 1977 FINAL NIGHT』の解説で触れたばかりですので、ここでは「北米#2レッグ」をさらに詳細に見てみましょう。・6月15日+17日(2公演)・6月19日『CHICAGO 1977』・6月21日+23日(2公演)・6月25日『ONE FLEW OVER THE BOARD(クリーヴランド)』・6月27日『DEFINITIVE BOSTON 1977』・6月28日:フィラデルフィア公演・6月29日『PHILADELPHIA 1977 2ND NIGHT』・7月1日:MSG公演・7月2日『DEFINITIVE MSG 1977』・7月3日:MSG公演 ←★本作★ ・7月4日『MSG 1977 FINAL NIGHT』・7月6日『ROAR ENDS(モントリオール)』※各日とも代表的な名盤のみ。これが1977年6月ー7月の「北米#2レッグ」。多彩なラインナップでアーカイヴしてきましたが、MSG公演はその終盤。「7月1日・2日・3日・4日」の4連続公演でした。その中で本作は3公演目。『DEFINITIVE MSG 1977』と『MSG 1977 FINAL NIGHT』の間を繋ぐショウでした。そんなショウは以前から名録音が残された事が知られており、『ANIMAL COPS(一部)』として愛されてきました。本作は、その名録音をベースにしつつ、他録音で欠けを補完。過去最長・最高峰を更新した1本なのです。そのアップグレード内容をご理解いただくためにも、現在までに知られている記録を整理してみましょう。・Source 1:モノ録音。3rdジェネで悪くはないものの、高音がキツめ。・Source 2:モノ録音。同日のベスト・サウンド。 ←★本作のメイン★・Source 3:モノ録音。ヒスがキツく、音的に厳しい。・Source 4:モノ録音。「Source 2」に次ぐクリア録音。 ←★本作のサブ★・Source 5:ステレオ。2ndジェネで音も良いが、親和性が悪い。2曲「Money」「Us And Them」のみ。以上の5種類。改めてリサーチし直しましたが、やはりベストは伝統録音の「Source 2」。本作は、その「Source 2」の欠けパートを多く記録しつつ、音も近い「Source 4」で補完したもの。極わずかな歓声が欠けてはいるものの、演奏パートはすべて網羅した初の完全収録ライヴアルバムなのです。もちろん過去最長だけでなく、全編を貫くサウンドも過去最高。「GRAF ZEPPELIN」の精密マスタリングで磨き直されており、ピッチも位相もノイズ処理もワウフラも最高精度で整えられています。特に聴いて一発なのは位相でしょう。これまでの既発を体験された方なら「MSG3日目は左寄り」というイメージをお持ちかと思いますが、それは誤って生まれた誤解でもありました。上記したように「Source 2」は元からモノラル録音。定位が左右にズレるはずもないのです。では、どうしてこのような事が起きたのか? ヴィンテージ録音の位相ズレは、主にステレオ・カセットへのダビングの際にヘッドの微妙な位置のズレて起こります。もちろんダビングを重ねれば重ねるほど、そのズレは大きくなっていきます。しかし、この録音はダビング痕がほとんどない事でも知られている。つまり、それほどダビングを経ていない若ジェネなのに、なぜか豪快に位相だけがズレていたのです。ここからは完全に推測ですが、もしかしたら流通の過程で「ステレオっぽくしよう」とわざと加工したのかも知れません。もちろん、現代においてこうした古臭い小細工は邪魔でしかない。本作では、位相補正の上でモノラル・サウンドに立ち返らせた。安定感が増しただけでなく、録音本来の姿がリアルに浮かび上がり、同じくモノラル録音であった「Source 4」との親和性も格段に向上。45年の生演奏に何の違和感もなく没入できるライヴアルバムに仕上げられているのです。そんな最長・最高峰サウンドで描かれるのはツアー完遂に向けて……いえ、後日の『ザ・ウォール』にも連なっていく緊迫のフルショウ。“IN THE FLESH Tour”は、ロジャーが爆竹騒ぎを起こすファンにフラストレーションを溜めていった事でも知られていますが、本作はその堪忍袋の緒がブチ切れ。観客に怒鳴り散らしているショウなのです。その不穏な空気は序盤から炸裂。「Pigs On The Wing Part 1」が始まって1分弱のところで爆竹が鳴るのですが、ロジャーは穏やかに歌いながらも思わず「You cunt!」とつぶやくように(しかし、ハッキリと)挟み込む。そのイライラが爆発するのが、続く「Dogs」。約2分半のところで再び爆竹(と言いますか、爆弾のような炸裂音)が鳴り響く。ロジャーもその場は曲と演奏に集中しようとしますが、演奏後の再爆発に遂に緒が切れる。声を震わせて「You stupid mother fxxker!」と叫び、爆竹野郎に暴言を叩きつけるのです。その言葉に観客はヤンヤの大喝采も送られるわけですが、ロジャーの怒りは収まらない。なんとか「Pigs On The Wing part 2」を始めるものの、怒りのカッティングが強烈に鳴り、思わず構成も見失う。「間違えちまった」と言いながら弾き直す当たり、激レアでありつつ生の感情も丸出しの超リアルなシーンなのです。その後もムードはピリピリ。「Pigs (Three Different Ones)」を終えて休憩に入る際にも「花火を鳴らすんじゃねえ!」と叫びますし、「Us And Them」前にも「花火を持ってこなかった人たち、今日は来てくれてありがとう。僕達も楽しかったよ」と嫌味たっぷりに挨拶している。翌日『MSG 1977 FINAL NIGHT』では諦めたのか、爆竹にウンザリしながら反応は鈍かったロジャーですが、本作ではかなりアグレッシヴに怒りをぶちまけているのです。これまで欠けが放置されていた名録音をブラッシュアップし、最長・最高峰を更新したフル・ライヴアルバムです。1本の音楽作品としても傑作で、ロジャーの怒りを間近体験するドキュメントとしても凄絶。そして、MSGの傑作3部作コレクションにも欠かせない1本です。どのような愉しみ方でも避けて通れない新名盤。リマスター・メモ メインソースはモノラルAudのRec2で、既発SigmaやSTTPと同じ音源。補填用のサブソースはモノラルAudのRec4で補填し、演奏パートは全曲完全収録 (補填しきれない曲間カットは二箇所ほどある)。既発では補填が一切なされてませんでした。よって、本盤が疑似ながらも初の演奏パート完全収録盤タイトルとなる。 メインソースは位相ズレが大きかったので位相修正。位相修正後、完全モノ化のうえ、EQで低域を若干補正 音源整理 Rec1・・・Mono Aud 3rd Gen 高域寄りでクリア(キンキン)・若干遠目 (ランク○)今回未使用 Rec2・・・Mono Aud Gen不明ながら音質一応ベスト★今回メイン *前回盤やSTTP盤のソース Rec3・・・Mono Aud Gen不明(Low記載あり) 低域出てるがヒス多めでMuddy (ランク△)今回未使用 Rec4・・・Mono Aud Gen不明 高域寄りでクリア・Rec1より近めだがAudノイズ多め (ランク○)★今回サブ音源 Rec5・・・Stereo Aud 2nd Gen 音が非常に近い高音質だが、MoneyとUSの2曲のみ(音は良いのだが今回未使用*)*Rec5が音も近く非常に音の良いステレオAudなのですが、あいにく終盤の2曲のみの収録。アイテム全体のバランスを考慮すると、メインソースがモノラルなので、これを混ぜると異物感が出る(Aud音源にピンポイントでSB音源を混ぜるような違和感に似ている)ため、今回は泣く泣く未使用。Disc2は収録時間がめいいっぱいなのでボーナス収録も不可能。「1977年7月3日マディソン・スクエア・ガーデン公演」の絶品オーディエンス録音。ベストとして定評ある名録音を別録音で補完。演奏パートはすべて網羅した初の完全収録ライヴアルバムに進化した決定盤です。「Pigs On The Wing Part 1」や「Dogs」で繰り返される爆竹にロジャーが何度もブチ切れ、怒りのあまり「Pigs On The Wing part 2」では演奏が乱れてしまう。そんな緊迫のフルショウを極上フル体験できる新名盤です。Live at Madison Square Garden, New York City, NY, USA 3rd July 1977 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(UPGRADE) Disc 1 (54:06) 1. Introduction ★0:13以降 Rec4で補填 2. Sheep ★0:00-0:02 Rec4で補填 3. Pigs On The Wing part 1 4. Dogs ★演奏後曲間で爆竹。ロジャー「Mother Fxxker!!!」」 5. Pigs On The Wing part 2 ★演奏がちょっと長い★ロジャー「Long verse」「Mother Fxxker!!!」 6. Pigs (Three Different Ones) ★12:41-13:06 / 18:13-18:19および18:34以降(曲間) Rec4で補填 Disc 2 (77:11) 1. Audience ★まるごとRec4 2. Shine On You Crazy Diamond Parts 1-5 ★0:00-0:04 Rec4で補填 ★7:49付近カットではない 3. Welcome To The Machine 4. Have A Cigar 5. Wish You Were Here 6. Shine On You Crazy Diamond Parts 6-9 ★8:15-8:40 / 20:46-21:56(曲間) Rec4で補填 7. Money ★10:42-10:55 (曲間) Rec4(但しテープ荒れあり)で補填 8. Us And Them