伝説のスーパーグループ、ブラインド・フェイスの有名音源のファーストジェネレーションリールマスターが登場!エリック・クラプトンが1969年、クリーム解散後にスティーヴィー・ウィンウッドと結成した伝説のスーパーグループ「ブラインド・フェイス」。彼らのライブ音源にはデビューのハイド・パークコンサートの映像落とし以外にはサウンドボード録音は存在しません。そんな中、その後に行われたツアーを高音質オーディエンス録音で収録したソースとしては、イエテボリ、ウィスコンシン、サンタバーバラの3つが有名です(ウィスコンシン公演は、当店の「Midwest Rock Festival 1969」でリリース済み)。中でもサンタバーバラ公演は、かなりの高音質の上に、ツアー中盤以降の日程につき、セットにCrossroadsが加わったことで、非常に興味深いものです。アナログブートレッグ時代には、74年に「Along The U.S.Tour」のタイトルでスリックカバーにて逸早くリリースされ、マニアを喜ばせた有名音源でした。それがこのたびネット上に新たにアップロードされました。しかも驚いたのは、ファーストジェネレーションのリールマスターからデジタル化されたものだったのです。そのため開演前のアナウンスやバンドのチューニングシーンからノーカットで収録されています。そして肝心の音質の方は、さすがマスターリールだけあって、既発盤を完全にうっちゃってしまうような超高音質でした!現代のオーディエンス録音レベルでも「高音質」と評価できるような、まるでサウンドボード録音のようなクオリティです。もはやこれは「事件」と言ってもいいでしょう。しかしながら、今回のマスターには、注意深くチェックしていくと欠点が内包されていました。オープニングのTuning & Set UpとラストナンバーのDo What You Like はピッチがぐちゃぐちゃだったのです。従いまして、当店では細心の注意を払い、可能な限り改善しました。その結果、とても聴きやすくなっています(Sleeping In The GroundのカットインとDo What You Likeの途中カットはマスター時点からです)。ネットそのままのソースよりも本作を鑑賞いただく方がよりこの音源のリアリティを味わえると思います。僅か半年余りの活動期間だった彼らの真実の記録!さて、ここでこの音源がいかに貴重なものであるかを、69年のクラプトンの活動を振り返ることで見ていきましょう。・1969年3月18日、19日:ロンドン郊外ステインズで映像収録されたジャズ&ロックのクロスオーバーセッション「スーパーショウ」に出演。 ・1969年2月~5月:ロンドンにてブラインド・フェイスのデビュー・アルバムのレコーディング・1969年6月7日:ロンドン、ハイド・パークでブラインド・フェイスのデビュー・コンサートが開かれる。・1969年6月12日~19日:スカンジナビアン・ツアー・1969年7月11日~8月24日:全米ツアー ←★ココ★ ≪この間、1969年8月1日:アルバム「BLIND FAITH」リリース≫・1969年9月13日:トロントのヴァーシティ・スタジアムで行なわれた「ロックンロール・リヴァイヴァル・フェスティバル」に、ジョン・レノンが結成した「プラスティック・オノ・バンド」のメンバーとして出演。・1969年11月20日~29日:デラニー&ボニー&フレンズの一員として、ドイツ・ツアー・1969年12月1日~15日:デラニー&ボニー&フレンズの一員として、イギリス・ツアー この年はクラプトンにとって激動の一年でした。年頭からのS.ウィンウッドとのセッションを発展させてニューバンド結成に動いたのですが、そこにジンジャー・ベイカーが押しかけてきて、ごり押しで参加。プロダクションからリック・グレッチをベーシストに推薦され、一応のバンド形態を整えてアルバムをレコーディング。ここまではよかったのですが、レパートリー不足にもかかわらず、デビュー・コンサートから長期全米ツアーまでがマネージメントサイドに勝手にブッキングされてしまい、戸惑いの中で敢行したツアー中にクラプトンが遂にプッツン。サポートアクトに彼が指名したデラニー&ボニーに心酔するようになり、彼らと行動を共にしていく中でバンドはツアー終了とともに崩壊。クラプトンはさらにデラニー&ボニーに接近し、彼らのバンドに加入してしまう。といった目まぐるしい展開がこの一年の間に起こったのです。この年の半ばまでは、既にクリームで世界的な名声を確立していたクラプトンを擁するイギリスのスーパーグループが華々しくデビューしたにもかかわらず、年が終わってみれば、アメリカの無名のLAスワンプのバンドに一介のサイドマンとして居場所を見つけたクラプトンがいました。この劇的な変化・転身が後のクラプトンのキャリアには大きく影響したことが証明されていますが、その揺れ動くクラプトンの心を捉えていたのが、本作の日と言ってもよいのです!レパートリー不足を物語るように、アルバム収録ナンバー以外の未発表曲Sleeping In The Groundやウィンウッドのトラフィック時代のナンバーMeans to an Endを演奏していたり、やる曲がないために「受け」を狙い、クリームのライブバージョンで有名になったナンバーCrossroadsを演奏しています。公式アルバムは1枚のみ。馴染みのないベーシストとの意思の疎通も薄い中、無理やりやらされた長期ツアーでクラプトンのモチベーションは下がる一方でした。それを何とかもちこたえさせていたのがデラニー&ボニーとの付き合いだったのです。しかしながら、いくらモチベーションが低下していたクラプトンとは言え、さすがプロとしてのミュージシャンシップを発揮していることが確認できます。レギュラーセットでは弾き捲っています。ここにはクリームのように、延々とアドリブをすることはなく、曲に沿った歌心のある繊細なソロをコンパクトに弾いています。それを聴くだけでも、当時のクラプトンのギタリストとしての成長が窺えると思います。Can't Find My Way Homeでは、デビュー・コンサート以来、ステージではアコースティックギターが使いにくかったため、当時は未発表だった「エレクトリック・バージョン」アレンジで演奏しているのが興味深いところですし、ツインリードで新境地を拓いたナンバー Had To Cry Todayでは、ツインリードパートで幾分たどたどしいソロを展開するウィンウッドを、アンサンブルをキープしながらも力でねじ伏せるような圧倒的に流麗なプレイを聴かせています。本作の目玉とも言えるCrossroadsでは、ボーカルをクラプトンとウィンウッドで分け合い、クラプトンがテーマリフを幾分ユニークなフレーズに変更しつつ、味わい深いソロをとるのに対し、ウィンウッドはエレピでソロをとるなど、クリーム時代とはアレンジを変えているのも聴きどころとなっています。本作を聴かれ、あなたなりの彼らへの評価をしてみられてはいかがでしょうか。この素晴らしい音質で全編を聴くと、ブラインド・フェイスに対するこれまでの認識が変わるかもしれません。本当は「イギリスのザ・バンド」を目指し、ウィンウッドのキーボードとソウルフルなボーカルを獲得してスタートしたはずのクラプトンが、クリームとトラフィックの折衷のようになってしまった狭間でもがきながら、何とかプロフェッショナリズムを見せつけた貴重なコンサートの記録です。Earl Warren Showgrounds, Santa Barbara, CA, USA 16th August 1969 TRULY PERFECT SOUND(UPGRADE) (69:09) 1. Stage Announcements 2. Tuning & Set Up 3. Well Alright 4. Can't Find My Way Home 5. Had to Cry Today 6. Sleeping In The Ground 7. Crossroads 8. Presence of the Lord 9. Means to an End 10. Do What You Like Eric Clapton - Guitar / Vocals Steve Winwood - Keyboards / Guitar / Bass / Vocals Ric Grech - Bass / Electric Violin Ginger Baker - Drums